受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ仕事カタログ

第62回 教師

イメージ画像 幼稚園から高校まで、子どもたちを教える先生のことを「教師」または「教諭」といいます。なかでも今回は、皆さんに最も身近な存在である小学校の先生を紹介します。教室で授業をするほかに、どんな仕事をしているのでしょうか。小・中学校の先生を経験した後、東京学芸大学で先生を養成している大村龍太郎准教授にお聞きしました。 イメージ画像

教師は
どんな仕事をしているの?

国立大学法人 東京学芸大学
教育学部 総合教育科学系
教育学講座 学校教育学分野

大村 龍太郎 准教授

大村 中学校・高校の先生は、自分が専門とする教科を教えるのに対し、小学校の先生は原則として、受け持っているクラスの子どもたちに、ほぼすべての教科を教えなければなりません。先生は子どもたちの理解度に合わせて、いかに楽しく学べるかを常に考えており、みんなが興味を持って授業に参加してもらえるように、いろいろな工夫を施しています。

 勉強だけでなく、集団生活のルールや、友だちへの思いやりなどを教えるのも、先生の大切な仕事です。たとえば、給食当番や教室の掃除などを子どもたちと一緒に行いますが、そうすることで、自分の役割に責任を持つ意識や、チームワークの大切さなどを学べるようにしているのです。

 子どもたちが下校した後も、先生は学校に残って仕事をします。主なものは翌日の授業の準備ですが、日によっては、テスト問題の作成や答案の採点をしたり、学級通信をまとめたり、職員会議に出たりもしています。職員会議では、子どもたちの状態を話し合ったり、学校行事の打ち合わせなどを行ったりしています。

 また、子どもたちの安全と健康の管理も大切です。校舎内や運動場に危険なところはないか点検したり、教室の換気に気を配ったりもします。水泳の授業などは特に安全に気をつけます。新型コロナウイルスの感染が拡大してからは、放課後に教室の机を消毒するなど、清潔を保つための仕事がとても増えました。

夏休み中の先生は何をしているの? 子どもたちは学校に来ない夏休みの間にも、先生はいろいろな仕事をしています。先生たちが交代で学校に来る「代表勤務」という日がありますが、それ以外でも来ていることが、かなりあります。まず、夏休み中には、先生が学ぶための研修がたくさんあります。学校内で行う研修もありますが、遠方に出張して参加する研修も多いです。また、校内の環境整備など、子どもたちが学校にいないからこそできる仕事もたくさんあります。

 さらに、先生は受け持つ子どもたちの保護者としっかりとつながり、連絡も取り合っています。保護者会や授業参観の機会が定期的にあるだけでなく、個別に保護者に電話をして、その子どもの気になることや、良かったことなどを伝えます。学校を休んだ子どもの体調を聞くこともよくあります。

 「研修」という先生のための勉強会に参加することも大事な仕事の一つです。研修は、教育委員会や学校が行うものもあれば、先生たちが自主的に行うものもあります。新しく加わる学習内容の説明を受けたり、ほかの先生たちの前で授業をして、より良い授業について考え合ったりするなど、研修のタイプはさまざま。このように、先生とは、なってからもずっと学び続けることが必要な職業なのです。

夏休み中の先生は何をしているの?  子どもたちは学校に来ない夏休みの間にも、先生はいろいろな仕事をしています。先生たちが交代で学校に来る「代表勤務」という日がありますが、それ以外でも来ていることが、かなりあります。まず、夏休み中には、先生が学ぶための研修がたくさんあります。学校内で行う研修もありますが、遠方に出張して参加する研修も多いです。また、校内の環境整備など、子どもたちが学校にいないからこそできる仕事もたくさんあります。

教師になるには?

大学の教職課程で学ぶこと 大学の教職課程では、先生になるために必要な科目を学びます。それらは大きく三つの領域に分けられます。

教育の基礎的なことを理解する科目:教育の歴史や教育そのものの社会的な意義と、子どもの心身の発達について学びます

各教科の指導法や、生徒指導の方法、教育相談について学ぶ科目

教育実践に関する科目:主に教育実習を行います。教育実習とは、実際に小学校に行って先生の仕事を見たり、自分で授業をしたりするものです。期間は、大学にもよりますが、3~4週間のことが多く、3年生の秋や4年生の春に行うのが一般的です

大村 小学校の先生になるには、教職課程のある大学・短大・大学院に進学し、小学校教諭の養成課程を履修して、「小学校教諭免許状」を取得するのが一般的です。また、通信教育や「科目等履修生制度」というものを利用して取得する方法もあります。

 免許状を取得し、教員採用試験を受け、合格すれば、小学校の先生として働くことができます。採用試験は、公立校なら都道府県や政令指定都市ごとに行われますが、私立校は学校ごとに実施され、国立校は地域や学校によっていろいろなパターンがあります。また、採用試験の内容は、地域や公立・私立といった学校の設置者によっても異なります。

 音楽・図工・理科などの専門教科は、その学校に勤めている先生たちの中から、その専門教科が得意な先生が担当している学校もあれば、その専門教科だけを担当する先生がいる学校もあります。しかし、都道府県によっては、専門教科の中学校教諭の普通免許状を取得していることを条件として、その専門教科の先生として採用されるケースもあります。最近は、小・中学校間での先生の異動が増えてきているので、小学校と中学校の両方の教諭免許状を持っていることを重視して採用を行うところも多くなりました。

教師に求められる資質は?

大村 子どもが好きで、人とかかわるのが好きなことが、絶対条件です。また、いろいろなタイプの人に興味を持ち、前向きに接することができるのも大切です。なぜなら、先生は「この子は好きだけれど、この子は嫌い」という気持ちではいけないからです。どんな子どもでも大切にし、愛情を注ぐことができなければなりません。

 さらに、小学校の先生は、未来の社会ではどんなことが大切になるのかを想像して、そのために子どもたちがどんな資質や能力を身につけたらよいかを考えられる人であってほしいと思っています。それを、いかに授業や教育方法に結びつけられるかが、腕の見せどころです。

 将来、先生になりたいと思う小学生の皆さんは、人のことを決めつけで判断しないで、「どんな人にも良いところがある」という見方で接してほしいです。自分とは異なる価値観の人に出会ったときは、「そういう考え方もあるんだ」という姿勢を持つように心がけましょう。そして、今学んでいることはなぜ必要なのか、どのような価値があるのかを、常に考えながら学び続けてください。

「第62回 教師」:
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