受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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 理科は、お子さんの興味・関心があるかどうかが成績に大きく影響する科目。低学年の場合、知識項目が多い生物分野を苦手とする傾向があるようで、「植物の種類を覚えるのに悪戦苦闘しています。良い覚え方はありませんか」という声をよく聞きます。そこで今回は、植物に関する学習方法について、下高井戸校校舎責任者の大津和弘先生にお聞きしました。

第76回 「理科の植物の良い覚え方を教えてください」回答者/下高井戸校校舎責任者・大津 和弘先生

身近な植物に実際に触れるのが近道。 図鑑や小学校の教科書も良い題材に

 植物に限らず、理科の知識分野に関しては、ただ机に向かってテキストをじっと眺めているだけでは、なかなか覚えられないものです。たとえ、そのときは「わかった」「覚えた」と思っても、しばらくしたら忘れてしまっていることも少なくありません。ある程度の時間を割いて、覚える努力をしているのに、それがすぐに頭から抜けてしまうのはとても残念ですし、これが「悪戦苦闘」ということばに表れているのでしょう。
 特に植物に興味がないお子さんは、テキストに植物の名前が羅列されているのを見ると、「嫌だな」と思うかもしれません。そんなお子さんの興味・関心を引き出すには、実物を見せるのがいちばんの近道といえます。
 授業のなかで、子どもたちに「ツユクサって見たことがある?」と聞くと、大半が「ない」と答えます。ところが、ツユクサは空き地や道端などに生えている、とても身近な植物。校舎から最寄り駅までの間でも見ることができるくらいです。一度でも自分で見つけた経験があると、ツユクサという知識がすっと頭に入ってきます。授業で学んだことが現実の世界で確認できれば、より強い印象として記憶に残り、なかなか忘れないものです。
 実際に見ることができないのであれば、図鑑を使って、どんな形をしているのか確認するのもよいでしょう。また、小学校の教科書も良い題材です。特に、3、4年生の理科の教科書には植物の写真がたくさん載っており、中学校の先生も小学校の教科書を見て、子どもたちがどんなことを学んでいるのか、どんなものに触れているのかを確認しながら入試問題を作っている可能性が高いからです。入試では、ジャガイモ、サツマイモ、アサガオ、タンポポなど身近なものが出ることが多いので、少しでも機会があれば実際に触れて、テキストや図鑑などと比較しながら観察することで、親しみも増していくと思います。

名前を書き出したり、スケッチしたり、 手を動かすことでさらに知識が定着

 このようにして視覚的に理解した後、さらに受験に必要な知識を身につけるには、手を動かすことも大切です。植物の名前が覚えられないのであれば書き出してみたり、形態的なことであれば、花のつくりや葉の形などをスケッチしたりすることで、さらに理解が深まります。
 たとえば、アサガオのつぼみを上から見ると、花びらは時計回りに巻いていて、つるはその逆に反時計回りに巻いていることがわかります。スケッチすると、そうしたことに気づくこともできます。また、一つのものをじっくり観察する目も養われるでしょう。そうやって、ジャガイモとサツマイモは同じイモなのに、ジャガイモはナス科で、サツマイモはアサガオと同じ仲間のヒルガオ科であるなど、意外な結びつきを知ることで「植物っておもしろいな、もうちょっとやってみようかな」と思うかもしれません。そうなればしめたものです。
 植物は知れば知るほど興味深い分野です。授業では、そういうおもしろさを伝える工夫をしていますが、ご家庭でもお子さんと一緒に花を育てたり、気になったことを調べたりして、触れる機会を増やしていただきたいと思います。博物館や植物園に行くのも、良い刺激になるでしょう。一緒に買い物に行って、野菜の話をするだけでも違ってきます。親が楽しそうにやっていることに子どもは興味を持つものです。春らしい陽気になり、これから公園などで草花を目にする機会も多くなるので、まずは近所を散歩しながら、身近な植物について話をするところから始めてみてください。

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