受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ何でも相談室

 3年生から学習が始まる社会科について、休日に家族で過ごす余暇の時間や旅行を利用して体験と知識を積み、地理や歴史の力を高めたいと考えるご家庭も少なくありません。そこで、仙川校校舎責任者の山中貴裕先生に、旅先としてお薦めの場所や、現地での過ごし方についてアドバイスを頂きました。

第77回 「休日にできる社会科の力を高める方法は?」回答者/仙川校校舎責任者・山中 貴裕先生

「見る」「触れる」「食べる」をキーワードに、 まずは社会科を学ぶための土台作りを

 まず、社会科を学ぶための土台作りの期間である1・2年生で大切なのは、体験を伴う場所を訪れ、世の中とのつながりを少しでも実感することです。そこでお勧めしたいのが工場見学です。ふだん使っている身近な製品が、どのような材料を使って、どのように造られているのか。一連の作業を実際に目にして、できあがった製品に触れることで、興味・関心が引き出されます。
 また、見学先が食品類の工場であれば、最後に「食べる」という体験も加わるので、特に強く印象に残るのではないでしょうか。その意味では、そば打ち体験などもお勧めです。「自分で作った」という喜びと味の感動が鮮明に残り、そうした体験が後の社会科の学習で生かされることもあります。
 このように低学年のうちは、社会科に対する苦手意識をつくらないための準備として、「見る」「触れる」「食べる」をキーワードに、お子さんが興味・関心を抱きやすい場所を選んで、さまざまな体験を積んでいくとよいでしょう。
 それは、社会科の勉強が始まる3年生以降も大きく変わることはありません。実体験と知識をつないでいくことが大切です。授業で学んだ場所を実際に訪れ、「ここが関東平野だよ」と言われても、まるで実感が湧かず、知識として定着しにくいのではないでしょうか。そこで訪問先では、その地域に根付いた産物を使って、その地域独自の調理方法で作られた郷土料理を食べるのはどうでしょう。その際、「夏でも涼しい気候だから、こんな農産物が育つんだね」などとお子さんに話し掛ければ、本人には「地理の勉強をしている」という感覚がないままに、自然と地理の知識が頭に入っていくでしょう。
 さらに4年生以降は、アトラス(地図帳)を持っていくとよいでしょう。親子で目的地までの経路を記録しながら地図を眺め、車窓から見える実際の景色を目に焼き付けていくことで、知識に深いつながりが生まれます。大事なのはどこに行くかではなく、行った先で何をするかです。そういった意識があれば、どこに出掛けたとしても無理なく社会科の力を高めることにつながるでしょう。

「比べる」ことで引き出される興味・関心 その後の学習姿勢も大きく変わる

 歴史の勉強も加わる5年生以降になると、具体的に目的地を絞り、史料館や博物館のほか、お城やお寺・神社といった歴史的建造物を訪問することをお勧めします。その際に最も大切にしてほしいのは、お子さんに建造様式の違いなどを実感させる機会を与えることです。
 たとえば、お城の場合、建造された時代によって石垣の石の積み方が異なります。戦国時代など争いが頻繁に起こっていた時代に造られたお城であれば、少ない人手で急いで築城したために、自然のままの石や粗削りしただけの石を積み上げた石垣となっていることが多いようです。一方で、天下が統一され、争いがなくなり人手と時間を割くことができる江戸時代に造られたお城であれば、きれいに加工された石が規則正しく積まれていることが多いようです。
 まずは、こうした理由を説明しないで、それぞれのお城を訪れてみてください。すると、以前行ったお城との石垣の積み方の違いに気づき、「どうして違うの?」という疑問から自然と興味・関心が湧いてきます。そのときに初めて積み方の違いを説明することで、歴史を苦手とするお子さんでも素直に驚くとともに、歴史の奥深さも感じて、その後の学習姿勢が大きく変わることもあります。
 お寺や神社なども同様で、建立された年代や宗派によって様式はさまざまです。そんな違いをじっくりと感じられるように、一つの場所をゆっくり掘り下げて見学していきましょう。“弾丸ツアー”のように、一気に要所を巡ることはあまりお勧めしません。1年間のうち、夏と冬に、違いに気づきやすい場所を1か所ずつ訪れるだけでも、効果は十分に期待できると思います。
 このように5年生以降では、そんな気づきや発見ができるような旅のプランを、保護者の方が計画的に考えていくとよいかもしれません。そして旅から帰ったら、現地で撮った写真や見学した感想をまとめる旅行記を、家族で一緒に作ってみましょう。そうすれば旅先で学んだ知識が、より確実に定着すると思います。

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