受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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 算数は、得意・不得意の意識を持ちやすく、得点差がつきやすい教科です。そんな算数でつまずかないようにするには、思考力を高めていくことが一つのポイントです。そのためには、どんな取り組みをしたらよいのでしょうか。大宮校校舎責任者の重川俊夫先生にアドバイスをいただきました。

第86回 「思考力を育みながら、算数を得意にするには?」回答者/大宮校校舎責任者・重川 俊夫先生

さまざまな問い掛けから、 思考力のベースとなる力を育む

 算数で必要とされる思考力を高めるには、まずはそのベースとなる「頭を使う癖」を身につけることが大切です。パズル的な算数の問題を解くのもよいのですが、親子の会話から養うこともできます。クイズやなぞなぞを親子で一緒に楽しむのも一つの方法ではないでしょうか。正解が一つではなく、何通りもあるような問題を保護者が出して、考える楽しさを感じてもらうのです。これならお子さんが就学前であってもできます。
 たとえば、父、母、本人、弟(妹)の4人家族で1ホールのケーキを食べようとした場合、「みんなが楽しく食べるためには、どんな切り分け方が考えられる?」という問題はどうでしょうか。ここでのポイントは、各々の好みや年齢などを考慮すること。そうすれば、お子さんから、「お父さんは甘いものが苦手で、みんなよりも少なくていい」「弟(妹)も、まだ小さいから少なくてもいいが、果物が好きだから、イチゴを多めに」などと、さまざまな答えが返ってくるはずです。このような会話からも、「頭を使う癖」が自然と身につくように思います。
 1~2年生であれば、思考力のベースとなる「全体の数を大まかに把握する」という“概算”の感覚を養うことも大切です。一緒に買い物に行った際に、決められた予算内で今日の夕食のメニューに必要なものを選ばせてみるのもいいでしょう。ほかにも、袋いっぱいに詰まった豆やキャンディーのように、たくさんあるものの大まかな数を、素早く数える方法を考えさせてみるのもいいかもしれません。たとえば、コップなどの容器を使って、一杯分にどのくらいの数が入るのかを調べ、おおよそ何杯分で全体の数になるのか考える、という方法があります。

試行錯誤しながら粘り強く取り組み、 考え抜くことが大切

 また、サピックスの復習やテスト直しのなかで、思考力が必要とされる問題に取り組む際や、『きらめき思考力パズル』シリーズ(発行:主婦と生活社)に収録されているような問題をやってみる際に心がけてほしいことは、「すぐに正解を見たり、教えたりしない」ということです。保護者の方は、ヒントを小出しにしながら、本人が自力で正解にたどり着くように誘導してあげてください。試行錯誤することが重要であり、そうした経験の積み重ねが、思考力を鍛えます。
 もう一つ心がけていただきたいのが、「見守る」ことです。思考力が必要とされる問題は、解き方が一つとは限りません。その解き方のなかには、時間がかからない効率的なものもあるはずです。しかしお子さんが、それ以外の解き方で正解に達した、あるいは答えを出そうとしたとき、そのことを絶対に否定してはいけません。「もっと効率的な方法があるから、そのやり方を覚えて」などと言いたくなるとは思いますが、まずは自分なりに精いっぱい問題を解こうとした姿勢をほめてあげましょう。
 また、効率的な方法を教え過ぎないことは、思考力を育むうえで、大事なポイントです。効率的な方法を知り過ぎてしまうと、そればかりを追い求め、試行錯誤しなくなってしまいます。
 サピックスの授業でも、効率的な方法を安易に教えたりはしません。たとえば、3年生の授業では『場合の数』の単元を学びますが、そこで扱う問題には、計算だけで解けるものもあります。そんな問題も、「一つひとつていねいに数え上げて、調べるように」と指導しています。
 それは、中学入試では、パターンに当てはまらない問題や、さまざまな複合問題が数多く出題されるからです。そのような問題を解くには、試行錯誤しながら粘り強く取り組んで、考え抜く力が求められます。だからこそ、「調べる」という経験を積み重ねていくことが大切なのです。
 高学年になっても同様です。解法が決まっているような問題でも、なぜその方法で解けるのかを考えながら復習していきましょう。効率的に正解を得る方法を覚えるだけでは、確かな思考力は身につきません。この点に留意しながら、算数の学習に取り組んでいただければと思います。

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