受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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 サピックスの「討論式授業」で必要なのは、自分の意見をはっきり述べることだけではありません。人の意見に耳を傾けることも大切です。これは、小学校の授業でも同じことがいえます。その姿勢がもたらす学習効果について、センター南校校舎責任者の萩原信幸先生に説明していただきました。

第92回 「「人の意見に耳を傾ける」がもたらす学習効果とは?」回答者/センター南校校舎責任者・萩原 信幸先生

人の解き方と比べることが、 “引き出し”を増やし、思考力アップにつながる

 サピックスでは、模範解答だけを一方的に解説するのではなく、子どもたちが考えた別の解き方も積極的に発表させ、それについて活発に討論させるような「討論式授業」を大切にしています。
 授業においては、以前習ったことのある単元をもう一度学習する際に、速く正確に正解にたどり着く解き方を覚えていたお子さんが、それ以外の別の方法で解いたお子さんのやり方について、「そんな時間のかかる解き方は間違っている」と決めつけてしまうことがあります。そのように決めつけてしまうと、別の解き方の良いところまでが頭に入ってこなくなる恐れがあります。これでは、思考力を高めるせっかくのチャンスを逃してしまいます。
 そんなときこそ、ほかの人の解き方が、自分の解き方とどのように違うのか比較してみましょう。どう考えれば別の解き方になるのか、その人になったつもりでイメージしてみてください。そのように検証すると、ほかの人の解き方のなかにとても大事な考え方が潜んでいると気づくことがあります。それが新たな“引き出し”を作ることになり、確かな思考力を育んでいきます。
 また、ほかの人が考えた解き方が間違っていた場合でも、それを検証することで、「ここが間違いやすいのか」とわかり、その単元における“つまずきやすいポイント”を確認することができます。
 一方、人の意見に耳を傾けることを苦手とするお子さんによく見られるのが、テストにおいて、「問題文の条件を読み間違えたり、読み落としたりする」というミスを繰り返すことです。問題文を読み、いったん「こうだ!」と思い込んでしまうと、早合点して勘違いをしたまま解いてしまう傾向があります。これも、さまざまな意見にしっかり耳を傾けて引き出しを増やすことで、少しずつ改善されていくものと思われます。「きちんと問題文を読んでみよう」「時間が残ったから、別の可能性も考えてみよう」などと、一つひとつの問題に落ち着いて取り組めるようになっていくことでしょう。

小学校でも「人の意見に耳を傾ける」 ご家庭でも視野を広げる問い掛けを

 人の意見に耳を傾けることは、小学校の授業でも心がけていただきたいことです。サピックスの授業のほうが速く進むため、すでに学んだ内容を一から聞くことは、初めて学ぶときより、忍耐力が必要かもしれません。しかし、小学校の授業であらためて内容を振り返り、先生やクラスメートたちの話を聞くことで、思いがけない勘違いをしていたと気づかされることもあるでしょう。
 その意味でも、小学校の教科書を軽視しないでください。塾で優秀な成績を収めるお子さんほど、小学校の授業をおろそかにしがちで、結果として小学校の教科書の内容を把握していないこともあります。理科や社会の教科書には、写真やイラストがたくさん載っており、じっくり読むと新たな興味・関心が湧いてくることもあります。それも、さらなる学習意欲の向上につながります。
 また、中学校の先生方も、小学校の教科書を見て、子どもたちがどんなことを学んでいるのか、どんなものに触れているのかを確認しながら入試問題を作っている可能性が高いので、できれば隅々まで読み込んでほしいと思います。
 このように、人の意見に耳を傾けることをきっかけにして、毎日の小学校やサピックスでの学習を、より有意義な時間にしていってください。
 この姿勢は、ご家庭でのコミュニケーション次第で養っていくこともできます。たとえば、ニュースを見て親子で意見交換することも一つの方法です。ある社会問題について、賛成の人もいれば、反対の人もいます。保護者の方は、それぞれの立場でものを見たり、考えたりできるように、さまざまな視点から問い掛けてください。そうした会話から「正解が一つではないこともある」「自分と異なる意見のなかに、自分が気づいていない重要な考え方もある」と気づき、お子さんが視野を広げていけば、自然と人の意見に耳を傾けられるようになるでしょう。

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