受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

この人に聞く

17年10月号 この人に聞く①
1|

21世紀型教育がますます進化! インターナショナルな環境で
「世界標準」の人材を育成

 グローバル社会で求められる「英語力」「コミュニケーションスキル」「サイエンスリテラシー」「ICTリテラシー」、そして、それらに裏付けられた「思考力」。この五つの力を伸ばすことを主眼に、世界標準の教育を実践しているのが三田国際学園中学校・高等学校です。なかでも、帰国生を積極的に受け入れるインターナショナルコースや、「聞く・読む・話す・書く」という4技能をバランス良く養う独自の英語教育は大きな注目を集めています。その内容について、学園長の大橋清貫先生に伺いました。

三田国際学園中学校・高等学校
学園長 大橋 清貫先生

多様性あふれる環境で国際感覚を磨く
インターナショナルクラス

サピックス小学部教育情報センター部長広野 雅明
サピックス小学部
教育情報センター部長
広野 雅明

広野 貴校においては、中学校では、本科クラスとインターナショナルクラスの2コース制を敷いていますね。まず、インターナショナルクラスの特色をお聞かせください。

大橋 多様なバックグラウンドを持つ生徒たちが交じり合うインターナショナルスクールのような環境を作りたい。そんな発想から生まれたのがインターナショナルクラスです。英語を自由に操る帰国生を積極的に受け入れており、英語の授業が週10コマと充実しているほか、ネイティブの教員が副担任を務めるなど、日常的に英語でコミュニケーションする環境が整っています。

広野 英語の学習経験がまったくない生徒も授業についていけるのでしょうか。

大橋 英語力に応じて3段階の授業を用意し、レベルに応じた教育を行っています。ネイティブレベルの英語力を持つ生徒を中心とした「アドバンスト」、英語の学習経験の有無を問わない「スタンダード」、さらに、その二つの中間に当たる「インターミディエイト」の三つです。

 アドバンストでは、英語だけでなく、数学、理科、社会の授業もオールイングリッシュで行い、英語の授業も批判的思考力や分析力などの向上をめざす高度な内容になりますが、スタンダードの英語の授業は日本人教員とネイティブ教員のチームティーチングが中心となっており、他の教科は日本語で授業を行っています。また、実技教科などを行うホームルームクラスは英語力に関係なく編成しているため、どのクラスでも教室内にはいつも英語が飛び交っています。その結果、ゼロベースから英語を学び始めた子どもでも、「聞く力」を中心に、短期間で英語力が大きく伸びます。英語力がアップすれば、スタンダードからインターミディエイト、アドバンストへとレベルを上げていくこともできます。実際に今の中3のアドバンストクラスには、スタンダードから上がってきた生徒が数人います。

広野 ネイティブスピーカーの先生は何人いらっしゃるのですか。

大橋 18人です。そのうち12人が英語科の教員で、残りの6人は理科、社会、数学の教員です。

広野 英語以外の教科指導ができるネイティブの先生が6人もいらっしゃるのはすばらしいですね。高い英語力を持つ帰国生が、日本の学校ではABCからの学び直しを強制されて英語が嫌いになる例もあると聞きますが、このような環境なら安心ですね。

大橋 わたしたちも「せっかく英語が身についたのに、日本に帰国すると、スキルがさびついてしまう」という帰国生の保護者の声を以前から聞いていました。また、「海外在住時は楽しそうに学校に通っていたのに、ルールに厳しい日本の学校に通うようになってから元気がなくなった」という声も少なくありません。本校では、語学教育だけでなく、子どもたちが持っている本来の力をきちんと伸ばせる多様性のある場を提供したいと考えています。

広野 国際生入試や英語入試で合格するためには、どの程度の英語力が必要でしょうか。

大橋 「英検」2級が一つの目安になります。ただし、本校の入試は「英語で表現する力」を重視しており、「英検」とはかなり問題の傾向が異なっているので、単純には比べられないと思います。この点は、サンプル問題を確認していただいたほうがよいと思います。

学ぶ楽しさ、考える喜びを追求し
主体性と創造性を育む本科クラス

外観写真2

Profile三田国際学園中学校・高等学校
(MITA International School)

所在地:〒158-0097 東京都世田谷区用賀2-16-1
東急田園都市線「用賀」駅より徒歩5分、小田急線「成城学園前」駅、東急東横線「田園調布」駅よりバス

TEL:03-3707-5676

http://www.mita-is.ed.jp

広野 一方、本科クラスにはどのような特色がありますか。

大橋 本科クラスも英語が週8コマと充実しており「聞く・読む・話す・書く」の4技能をバランス良く養うカリキュラムとなっています。また、深く物事を考える思考力のある生徒を育てるために、すべての教科で「相互通行型授業」を実践しています。

広野 「相互通行型」とは、具体的にはどのような進め方をするのでしょうか。

大橋 単元の重要なテーマに対して興味や関心を引き出すために、まず教員が議論の〝引き金〟となる「トリガークエスチョン」を投げ掛け、それに対して、5〜6人のグループで考えを出し合います。その意見について全員で議論し、役割を決め、プレゼンテーションを行います。議論をまとめるファシリテーターや、結論をわかりやすく発表するプレゼンターについても固定せず、全員に経験させるようにしているので、リーダーシップも育むことができます。こうした経験を土台に、中2・3生は「基礎ゼミナール」に取り組みます。自分で研究テーマを設定し、調査・研究を進めて最終的に論文にまとめるという、まさに大学のゼミのような授業なのですが、こうした自主的な学びを通じて論理的思考力が磨かれるのです。

広野 ただ暗記するだけの単調な学びではないのですね。予想外の課題にも対応できる力が身につくのではないでしょうか。

大橋 はい。入学したばかりの頃は、教室全体に「すぐに答えを聞きたがる空気」がありますが、授業の中で繰り返し「答えのない問い」に取り組むうちに「答えは与えられるものでなく、自分で考えてたどりつくものだ」ということが理解できるようになるのです。

高校にも新コースが誕生
海外大学への進学もサポート

イメージ01

広野 来年度から高校にも新コースが誕生すると伺いました。

大橋 本校は、2015年度に戸板中学・戸板女子高校から三田国際学園中学・高校に改称し、共学化しました。このときに入学した1期生が高1に上がるのに合わせて、中学のアドバンストから接続するインターナショナルコースアドバンスト(ICA)を新設します。英語、数学、理科、社会の授業をオールイングリッシュで行い、大学進学適性試験(SAT)やTOEFLの対策はもちろん、ボランティアなどの課外活動までトータルにサポート。海外大学へ進学する準備もできるコースです。

広野 本科クラスでも、メディカルサイエンステクノロジーコース(MSTC)が始まりますね。

大橋 こちらは研究者や医療関連職をめざす生徒のためのコースです。といっても、単純に医学部受験対策を行うのでなく、医師や研究者に求められるマインドや思考法まで系統的に学べるプログラムを組み立てています。「偏差値が高いから」という理由で医学部を志望するのではなく、「社会に有用な医師」を志してほしい。そんな思いから、コースの立ち上げに当たっては、医療系や理系を専門的に研究してきた質の高い教員を集めました。みんな、大学の研究室で後輩を指導するような気持ちで生徒に向き合い、向学心を最大限に引き出したいと意気込んでいます。

広野 サイエンスを学ぶための先進的な設備も充実していますね。

大橋 大学の研究室レベルの理科設備を導入した二つのサイエンスラボがあります。電子黒板やタブレット端末といったICT環境も整っているので、実験の記録やデータ分析なども自在に行うことができます。本校には「理科好き」の生徒がとても多いのですが、このように充実した環境が整っていることもその要因の一つだと思います。

広野 レベルの高い授業を行うためには先生方の研さんも必要かと思います。この点はいかがですか。

大橋 はい。「相互通行型授業」では、生徒の知的好奇心が全開になるようなトリガーを仕掛け、議論を深めていかなければならないので、特に授業の進め方に関しては周到に研修を行います。教員相互の授業見学も活発で、空き時間ができた教員は当たり前のように他の教員の授業を見学しています。そして、生徒の反応の良かったものを参考にしてバージョンアップし、互いに高め合うのです。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

17年10月号 この人に聞く①
1|

ページトップ このページTopへ