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緊急分析 2018年度関西圏中学入試の動向:
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2018年度中学入試特集/緊急分析関西圏

2018年度関西圏中学入試の動向
緊急分析

4年連続の「応募率上昇」と「応募者減」
大学入試改革を見据えた動きも

2018年度の関西圏私立中学入試の結果が出そろってきました。少子化が進むなか、中学進学熱は回復傾向を示し、応募率が上昇する一方で、応募者数そのものは減少するという「ねじれ」現象が昨年に続き見られました。目立った大きなニュースはなかった2018年度の中学入試ですが、2020年度からスタートする大学入試改革に対応した動きが加速しており、今後を占う入試となったようです。 〈文責・CLUMPON 萩原渉〉

進行する少子化
応募率は4年連続で上昇

 関西二府四県(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山。以下「関西圏」)の2018年度中学入試の全体概要を見てみると、すべての日程を合わせた延べ応募者数は昨年度より568人(1.02%)増えて5万6438人でした。一方、実受験者数に近い、統一入試解禁日である1月13日午前(昨年度は14日)の応募者数を見ると、昨年度より223人(1.28%)減の1万7190人(応募率9.79%)となりました。このように全体の応募率は4年連続で上昇し、高い水準であった昨年度をさらに上回りましたが、受験者数の実態に近い解禁日午前の応募者数は4年続けての減少となりました(2月5日までの発表分で集計)。

 なお、関西圏の小学校6年生児童数は7年続けて減少(6276人、3.45%減)しており、2017年度(2018年受験)は17万5566人とついに18万人を割り込みました。2011年度の小6児童数が20万333人ですから、その後の6年間で実に2万5000人近くの児童減少が起きたことになります。来年度(現小5)はおよそ3800人の増加が見込まれますが、当面18万人を回復する見通しはありません(図表1)。

 一方で、延べ応募者数は今年度もわずかながら増加しました。新たな午後入試の実施校があったのに加えて、受験しやすいようにと、本校とは別に、主要な鉄道駅の近くに試験会場を設ける「駅前入試」を実施する学校の増加などもあり、1人当たりの受験校数が増加しているのです。

【図表1】関西圏の小学校在籍者数と解禁日午前の応募率の推移

【図表1】関西圏の小学校在籍者数と解禁日午前の応募率の推移

「2020年度」に向けて変わる入試
大学付属校の人気が高まる

 「明治以来の大改革」とも呼ばれる高大接続(大学入試)改革が2020年度から本格的にスタートします。関西圏の多くの中学校でも、21世紀の教育にふさわしい入試を模索しています。実際、知識や解法を身につけているかを試す従来型の入試だけではなく、教科横断的な出題、思考力や表現力を問うような問題を中心にした「適性検査型」の入試を実施する学校が増えました。英語を入試科目に組み入れる学校も増加傾向にあります。

 今年度、灘(兵庫・男子)の算数において、文章で理由を説明させる問題が出ました。同校らしいオリジナリティーの高い作問でしたが、今後は、このように感覚的にわかっているだけでは正解とはならない、理由を文章で説明させるタイプの出題が増えていくのではないでしょうか。

 今年度入試で適性検査型や思考力を問うタイプの入学試験を実施した学校は図表2のとおりです。学校によっては応募者が1名しかいなかったというケースもあります。この結果を見ると、一部の人気校や事前の告知を十分に行っていた学校を除き、受験生が新型の入試について十分に理解していないように思われます。一部では、適性検査型入試に対する塾の対応が追いついていない点を指摘する声も聞かれます。

 今回は各校の入試改革ばかりが先行した感がありますが、これからは併せてカリキュラム改革も行われますので、新しいタイプの入試も徐々に浸透していくでしょう。早く着手した学校にはその分だけ、大学入試改革が始まる2020年度以降のアドバンテージが蓄積していくものと思われます。

 一方で、受験生と保護者にとっては、6年後の大学入試が不透明な状況で、志望する中学校を選び、受験に挑まなければなりません。実際に新しい方式での大学入試が始まってみないと、わが子にとって有利にはたらくのか不利になるのか、保護者の方にも見当がつかないのではないでしょうか。

 そのため、大学までの進路が保証されている大学の付属校を選ぶご家庭が増えています。図表3に関関同立の主要系列校の入試結果をまとめました。減少傾向にある立命館系列の付属校と、女子校である同志社女子を除いて、応募者の増加が目立ちます。特に関西大学、関西学院大学の系列校は3年連続での応募者増となっています。

【図表2】 2018年度に実施された主な新型入試と応募者数
学校名 所在地・性別 入試内容 日程 応募者数
京都光華 京都・女子 適性検査型 1月13日午後 10
大谷[京都] 京都・共学 適性検査型 1月14日午後 25
京都学園 京都・共学 適性検査型 1月13日午後 1
京都橘 京都・共学 適性検査型 1月14日 39
花園 京都・共学 総合力テスト 1月14日午後 63
1月15日 72
龍谷大学付属平安 京都・共学 適性検査型 1月14日 93
大谷[大阪]※ 大阪・女子 未来力 1月13日午後 30
アサンプション国際 大阪・共学 思考力テスト 1月13日午後 10
上宮学園 大阪・共学 適性検査型 1月13日午後 48
香里ヌヴェール学院※ 大阪・共学 思考力テスト 1月13日 50
1月14日 50
羽衣学園 大阪・共学 適性検査型 1月14日 1
初芝富田林 大阪・共学 融合問題 1月14日 50
滝川 兵庫・男子 適性検査型 1月13日午後 18
親和 兵庫・女子 適性検査型 1月13日午後 279
夙川学院※ 兵庫・共学 思考力テスト 全日程 23
蒼開 兵庫・共学 適性検査型 1月14日午後 17
滝川第二 兵庫・共学 新学力観テスト 1月13日午後 223
西大和学園 奈良・別学 適性検査型 1月13日午後 90
近畿大学附属和歌山 和歌山・共学 適性検査型 1月13日午後 320

※は他の入試方法との選択制

健闘した大阪の女子校
増える関西圏外からの受験者

 関西圏の小学校6年生の動きを男女別に見ると、男子は前年に比べて2616人(2.82%)の減少となっているのに対して、女子は3660人(4.12%)減と減少幅が大きくなっています。特に減少が激しかったのは大阪府と兵庫県の女子で、それぞれ1724人(4.64%)、1080人(4.42%)の減少となっています。

 こうして昨年度に続いて〝女子校冬の年〟が予想されましたが、大阪府と兵庫県とでは明暗が分かれました。初日午前の応募者数を比較すると、兵庫県が116人(9.36%)減だったのに対して、大阪府は138人(10.28%)増と対照的な結果となりました。

 大阪府の女子校の好調をけん引したのは医学部進学系のコースが例年以上に人気を集めた大谷(初日午前157名→166名、全日程818名→957名)と四天王寺(519名→634名)、そして「標準コース/舞台芸術コース」を「進学チャレンジコース/舞台芸術エレガンスコース」へと改編し、よりコースの役割を明確に打ち出し、英語入試も導入した梅花(初日午前47名→71名、全日程112名→160名)、そして系列高校を開校し、名実ともに中高一貫校となる堺リベラル(初日午前22名→44名、全日程46名→88名)でした。

 また、首都圏をはじめとする関西圏外の受験生が関西圏のトップ校を受験する例が増えています。たとえば灘では、東京都(88名→103名)など首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)からの応募者が170名から194名へと増加。東大寺学園(奈良・男子)でも関西圏外からの応募者が115名から2名増えて117名となりました。多くは首都圏での入試前の力試しが目的だと思われますが、なかには、合格すれば実際に入学へと至る受験生も少なくないようです(東大寺学園で首都圏からの応募者の1割、合格者の2割程度)。関西圏の受験生にとっても手ごわいライバルとなっています。

【図表3】関関同立系列校の2018年度の入試結果
学校名 試験区分 日程 応募者数 (2017年度)
関西大学第一 1月13日 484(404)
関西大学中等部 前期 1月13日 109(106)
後期 1月15日 238(316)
関西大学北陽 1次 1月13日 83(80)
2次A 1月13日午後 491(447)
2次B 1月14日午後 322(283)
関西学院中学部 1月13日・14日 301(288)
啓明学院 A方式 1月13日 226(206)
B方式 1月15日 334(297)
同志社香里 前期 1月13日 468(407)
後期 1月15日 891(740)
同志社 1月13日 494(471)
同志社国際 国内一般G 1月16日 269(260)
同志社女子 前期 1月13日 367(396)
後期 1月14日 420(442)
立命館 前期 1月13日 203(225)
後期 1月14日 506(561)
立命館宇治 A日程 1月13日 161(171)
B日程 1月15日 219(248)
立命館守山 前期午前 1月13日 130(165)
前期午後 1月13日午後 154(116)
後期 1月16日 99(106)
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