受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2018年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

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進学校 麻布中学校

坂道の先にあるもの

S.Yさん お子さんの名前 Tくん

【はじめに】
 2月3日午後3時、私たちは麻布中学の中庭にある合格発表掲示板の前で、安堵の涙を流し、満開の笑顔のときを迎えることができました。

【入室から6年生の夏まで】
 サピックスには、4年生の5月に入室しました。それまでサッカーや絵画のお教室には通わせていましたが、学習面では特別なことはさせていませんでした。ですから、「授業についていけないようならやめてもいい。サピックスが続かないならば、中学受験はしないだろうな」と思っていました。ところが、物怖じしない性格が討論型の授業に合っていたのかもしれません。実際に入室してみると、息子はサピックスの授業が楽しくて仕方がないといった様子でした。ただ、このころは、本人も私たちも、自宅でこなさなければならない勉強量に圧倒されていました。

 5年生の夏ごろから、中学受験を意識し、息子を学校見学に連れていくようになりました。「これだけ勉強しているのだから、本人が心から行きたいと思える中学に出合えるとよい。直観でもなんでも、きっと肌に合う中学は見つかるはず」と、自宅から通学しやすそうな学校から、文化祭や体育祭、学校説明会などに連れ出し始めました。しかし、6年生の5月に麻布中学の文化祭に連れていくまで、息子は〝ここ〟と思える志望校に出合うことはありませんでした。見学した学校は、どの学校も「楽しそうだな」と思ったようですが、「どうしても通いたい」と思うほどではなかったそうです。このころまでにはすでに何度かサピックスに志望校調査用紙を提出していましたし、土曜志望校別特訓では具体的な学校名を冠したコースにも所属していました。この時期にまだ志望校が決まっていないことに、本人も私たちもなんとなく焦りのようなものを感じていました。麻布中学の文化祭から帰る電車の車内で、息子が「ぼく、麻布中学に行きたい。やっと志望校が見つかった!」と言ったときには、私たちは、正直なところ、かなり安心しました。ホッとした様子ながら、それでも少し決意の見える引き締まった表情をしている息子の姿は、今も印象に残っています。

 よく言われるように、わが家においても中学受験の天王山は「6年生の夏休み」だったと思います。「麻布中学に合格したい」という明確な目標、授業と復習(家庭学習)の繰り返しというわかりやすいサイクル、それらに加えて、日々の試験結果でクラス昇降があるという緊張感も手伝い、ペースを崩すことなく、毎日、本当によく勉強しました。この期間、もちろん学力も向上したと思いますが、それよりも何よりも、この夏期講習をきっかけに自立的に学習できるようになったことがいちばんの変化でした。

【親のかかわり方の変化】
 わが家の場合、親のかかわり方は息子の成長とともに大きく変化していきました。4年生は一緒に勉強する並走者。隣で同じ問題を解き、一緒に四苦八苦していました。遊び感覚でワイワイガヤガヤと問題を解き、一緒になって「できた!」「できない!」と純粋に楽しみ、冗談も交えながらリビングで盛り上がったりもしていました。

 5年生になると、私たちはコーチのような役割に変わっていきました。目的意識もまだ高くないこの時期、コンスタントに学習をさせるにはそれなりの工夫が必要でした。「友だちと遊びたい」「ゲームをやりたい」。そんな気持ちもわかるだけに、成績が落ち込まないように最低限の学習内容を週ごとに定め、こま切れの時間で何をどのくらい学習するかを親が主導して決めるようにしていました。

 コーチのようなかかわり方は6年生の夏休みに入る直前までゆるやかに続きましたが、6年生の夏期講習以降は、息子は自然と、いつ何を学習するかを自分で決めるようになっていました(このように書くと、息子がとてもしっかりしているように見えますが、下の子が言うには、私たち親がいないところでは、ゲームをしたり、Webで動画を見たりと、変わらず息抜きを優先していたようです)。この時期から親の役割はもっぱら健康管理と声かけに変わりました。直前期は「手洗い・うがい」や「早寝」を促すために声をかけ、また、自信を持って入試に臨めるように、「できる」「大丈夫」と繰り返し伝えることに徹していました。最後は、私たちは応援することしかできませんでした。

【サピックスについて】
 サピックスが息子の成長の助けになったことは言うまでもありません。クラス昇降が頻繁に起こるシステムのなかでも、たくさんの良き友、良きライバルに出会えたようです。とりわけ、SS特訓が始まってからのクラスの一体感は相当なもののようでした。9月以降、息子は本当に毎週日曜日を楽しみにしていました。志(志望校合格)が同じ仲間たちと切磋琢磨する時間がこのうえなく楽しかったようです。息子が最後まで楽しんで受験に取り組むことができたのは、間違いなくこの環境に身を置けたからだと思います。

 さかのぼりますが、5年生の秋ごろから保護者会には主人と私の二人で出席し、勉強の方向性を確認していました。あるとき、先生に「今よりも算数の成績を伸ばすためには息子は何をすべきでしょうか?」と尋ねたところ、「息子さん、整理整頓が苦手ですよね? まずは日常生活で整理整頓に取り組んでみてください。算数の勉強の仕方は…まあ、今までどおりでいいですよ」と言われ、驚きました。算数の勉強の仕方について細かく指導されると想像していたからです。サピックスに入室する前までは、「受験勉強」に対して、もっとテクニックを学ぶものだというイメージを持っていましたが、勉強とは精神的な成長であり、サピックスはそうしたより本質的なことを教えてくださる場所なんだということを再確認させられた出来事でした。

 先生は、麻布中学入試前日の激励電話に始まり、本命の入試の翌日は、気が抜けている息子に次に向かう気持ちを持たせるために、さらにその次の日には、「麻布は不合格かもしれない」という息子の不安な気持ちを和らげるために、きめ細かいサポートを毎日してくださいました。初めての受験に臨み、経験したことのない緊張感や、大きな不安のなか、息子が普通の状態でないことは、私たちもかたわらで感じていましたが、私たちがどのように声をかけても、息子が安心した様子になることはありませんでした。しかし、先生と電話で話をした後は、いつもの息子の様子になり、そういうところからも先生と息子の間に強い信頼関係があることがよくわかりました。大事なときにきちんと手を差し伸べてくれ、私たちもとても心強く感じました。

【終わりに】
 幸運なことに、私たちは息子が希望をかなえる形で中学受験を終えることができました。息子はこの3年間で心も体も大きく成長しました。サピックスの先生方には息子の成長を助けるアドバイスをたくさん頂きました。子どもの知的好奇心を喚起し、ほどよい緊張感を与え、夢がかなう瞬間まで伴走してくれたサピックスの先生方には、ただただ感謝しかありません。心からお礼を申し上げたいと思います。

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