受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2021年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 聖光学院中学校

落ちたけど…、快晴!

A.Mさん お子さんの名前 Rくん

 「聖光学院中も受験してみませんか? Rくんの性格に合う学校だと思うんです。6年間でさらにRくんを伸ばしてくれる学校ですよ」
 担当の先生にそう言われたのは6年前期、初めての個別面談のときでした。これには息子も主人も私もとても驚きました。これまでまったく考えたことのない学校だったからです。
 「どんな学校なんだろう?」
 家族でまず学校紹介動画を観たのは昨年6月。すると、ユニークな校長先生がみずから、学校のいたる所を紹介してくれる楽しい内容に大爆笑! 先生の学校愛が伝わる温かい動画に家族全員、ハートをわしづかみされてしまいました。それは、第二志望校が決まった瞬間でもありました。
 息子が初めて開成中を訪れたのは、まだ3年生のときです。それ以降、毎年の文化祭や運動会、説明会と何度も訪問し、息子は行けば行くほど魅了され、自然に第一志望校としてめざすことになりました。
 6年生になるまでは、比較的安定して上位クラスにいましたが、6年生7月の組分けテストで大事件!が起こります。大切な夏期講習のクラスを決めるこのテストで、それまで見たこともないような成績をたたき出してしまったのです。いくつクラスが下がったことでしょうか…。入室以来、比較的安定して上位クラスにいたので、受験生になってもいまひとつ緊張感がなかったのだと思います。
 私は激しく動揺してしまい、フラフラに。ショックのあまりそのまま寝込んでしまいました。ふだんはわりとのんびりしている息子も、このときばかりは相当落ち込んでいました。そんなとき、お受験で有名な○○ママのことばを思い出します。
 「受験は長い旅のようなもの。お母さん方は子どもの成績が良いときは喜んで手を取りますが、成績が悪いときこそしっかり寄り添って手を握ってほしい」
 今こそそのときだ!とハッとしました。息子はこのタイミングで唯一の娯楽であったゲームをみずから「やめる」と封印しました。それならば私もと、毎晩の一人時間で楽しんでいたワインを手放すことに。この日から受験が終わるまで、再び私がコルクを抜いたことはありません。そして、もっと真剣に息子の旅の伴走者になることを決意します。「また必ず元のクラスに戻ろう」と息子と誓い、熱い夏を過ごしました。
 怒濤の秋はさらに大試練の連続でした。夏明けに少しは挽回したものの、開成の算数は難しく、SS特訓でも過去問でも思うように点数が取れません。一方、10月の聖光学院中の学校別サピックスオープンでは合格可能性が30%でした。息子は開成の勉強で手一杯だったため、聖光学院の対策プリントにはまったく手をつけていませんでした。当然の結果です。
 このころの私の悩みは、①第一志望校を麻布に変更したほうがいいのではないか、②聖光学院の勉強まで手が回らないため、聖光学院の受験は見送るべきではないか、の2点でした。このご相談を先生に何度したことでしょう。

①についての答えは「Rくんはタイプとして麻布型というより開成型。あきらめるのはまだ早いし、もったいない。だから、変更しないほうが逆によい」でした。

②についての答えは「今は合格可能性30%でも、本番までまだ時間がある。子どもたちの最後の伸びはすごいんですよ! Rくんは苦しいときこそ結果を出せるタイプ。このままでいきましょう!」でした。

 以上のアドバイスを頂き、私はこの受験プランでいこうと、ようやく腹をくくりました。
 算数については、1月まで開成対策を中心に、聖光学院も最低限のフォローはできるよう、1週目~4週目まで学習計画を立てていただき、1月31日までしっかりやりました。私の故郷にあるラ・サール中受験では、久しぶりに飛行機に乗ったり、ホテルに泊まったりと、入試とはいえ、親子でちょっとしたリフレッシュができました。飛行機の中では「入試注目文章」を読みました。この中から的中。聖光学院第2回の入試に出題され、息子は落ち着いて問題を解けたと言います。「入試注目文章」には必ず目を通しておくことをお勧めします。
 そして迎えた2月1日。開成の入試を終えて出てきた息子は、とてもすがすがしく、いい顔をしていました。入試がとても楽しかったのだそうです。私は合否は関係ない、開成を受験させて本当によかったと、心から思いました。
 2月3日。慶應中等部の1次試験を終えた後、開成と聖光学院の合格発表を見ました。結果は2校とも不合格。家族みんな、心の重たい日となってしまいました。聖光学院の結果に関しては「やっぱりそうだよね」というのが私の素直な感想でした。しかし、その日の夕方、担当の先生から息子に1本の電話が入ります。「Rくん、明日聖光学院の第2回の入試受けるよね?」「はい」と即答する息子。「いや、絶対無理でしょ」と私は思いましたが、翌日また横浜へ向かうことに。
 2月4日、聖光学院第2回の入試の朝、息子は静かな声で「絶対に合格したい」と言いました。私にではなく、自分自身に声をかけているようでした。とても落ち着き払ったその姿を鮮明に覚えています。翌日の合格発表。主人が笑顔で見せてくれたスマートフォンにはきれいな桜色の画面が映っていたのです。泣き崩れる息子が私に抱きついてきて我に返りました。気持ちを切り替えて、よくがんばった、本当に強かったと思いました。「苦しいときこそ結果を出せるタイプです」。あのときの先生のことばどおりとなりました。
 先生方はどんなときも息子の開成への想いを大切にしてくださり、その時々にベストな方法を親身になって考えてくださいました。結果的に、開成にはご縁を頂けませんでしたが、そこに向けてがんばってきたからこそ聖光学院から合格を頂けたと思っています。あの秋に志望校を変更していたら、今ごろどうなっていただろうと思います。息子をこんなにも奮い立たせ、夢を持つことや、努力すること、あきらめないことの大切さを教えてくれたサピックス、ありがとうございました。わが家の受験は「落ちたけど…、快晴!」でした。
 悔いなくたたかい抜いた息子は今、横浜で春を迎えることを楽しみに、すでに前を向いて歩み出しています。

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