受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2021年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 聖光学院中学校

やる気スイッチ

Y.Nさん お子さんの名前 Kくん

 わが子のやる気スイッチはいつ入るのだろう、どうやったら押せるのだろうと考える保護者の方は多いと思う。私もその一人だった。
 やる気スイッチがなかなか入らない息子に焦りを覚え、何度となく声を荒らげることもあったが、ある日、「やる気スイッチを親が押せる可能性はかぎりなく低く、周囲の友だちの影響によるものが大きい」と聞き、納得するとともに安堵した。
 1月になり、栄東中、渋谷幕張中の受験が近づくと、息子に多少の焦りも見え、やる気スイッチが入ったのかと思えた。しかし、両校から合格を頂き、息子は弾みがつくというより大きく安堵してしまい、何が何でも合格するぞという気迫が薄らいでしまった。これは私も同様であり、どこからも合格を頂いていないときの気持ちにはそう簡単に戻れなかった。
 そして迎えた2月1日の開成中受験。手応えはなかったそうだ。「明日はなんとかなるさ」と思った2月2日の聖光学院中受験。まったく手応えがなかったとのこと。さすがにまずい!と思ったようで、あらためて復習を行ったうえで臨んだ2月3日の筑波大附駒場中受験。この3日間ではいちばんよくできたと思ったのもつかの間、開成および聖光学院の不合格を知り、大きく落胆していた。
 結果を知った直後、息子は、これ以上つらい思いをするより、すでに合格を頂いていた渋幕に入学することにしたいと思っていたようだったが、しばらく考え、当初より志望順位が高かった聖光学院を、翌日2月4日に再び受験すると宣言した。
 このときの息子の目の輝きは忘れられない。本当の意味での「やる気スイッチ」が入ったのだ。体力・気力は限界にきていたと思うが、不安と興奮で仮眠をとることもできないまま机に向かった。それまで受験勉強に費やしたトータルの時間からすれば、この日の勉強時間は、ほんのわずかであったが、頭のなかを整理し、試験においてすべきことを今一度考えていたようだった。
 息子はほとんど眠れないまま一夜を過ごし、聖光学院の受験に臨んだ。今日もやる気スイッチは入っている。この状態なら必ず合格できると、私には不思議なぐらい自信があった。
 試験が終わり、校舎から出てきた息子は笑顔だった。「やれるだけのことはした。気持ちよく終われたから、結果はどうでもいい」と言う。このことばどおり、帰り道から「帰宅後、何をして遊ぼうか」と考え始め、家に着くとすぐに、受験勉強中は封印していたゲーム機で楽しそうに遊んでいた。疲れているだろうに幸せそうに遊ぶ息子の様子から、本当に気持ち良く受験を終えることができたのだなと、うれしく思った。
 そして合格。サクラは咲いた。当初の第一志望校ではなかったが、息子も家族もこの上なく喜んだ。何でも何となくできてしまう息子が、必死になって自分の力でつかんだ合格。何ものにも替え難いすばらしい経験だ。
 自分で心から欲したものに真摯に向き合えば、何らかの形で必ず花開く。これからも、ここぞと思う場面で自分のやる気スイッチを入れ、豊かな人生を歩むことを願う。

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