受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2021年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 芝中学校

挫折と成功を通して

T.Nさん お子さんの名前 Kくん

 増上寺の本堂で手を合わせ、息子の中学受験生活を静かに振り返っていると涙が出て、そして晴れやかな気持ちになりました。
 息子は3年生の春に武蔵中の学園祭に行ってから、ずっと武蔵にあこがれてきました。「自由な校風で大学受験のための勉強ではなく『本来の学び』ができる学校。そんなところで中学・高校時代を過ごしたい」。これをモチベーションにがんばることができました。5年生までに10校以上の学園祭に参加して、併願校も決めていました。芝中は、男子を伸び伸びと育ててくれる教育方針や雰囲気が好きで、ぜひ通わせたい学校でした。息子も学園祭に行くたびに、雰囲気が自分に合っていると感じていました。また、栄光学園中の特徴的な入試問題や、海城中の社会の入試問題にも興味があったので、ともに併願することにしました。
 息子は社会が大好きで、4・5年生のころは、授業から帰るとすぐに私に黒板を使って授業をしてくれました。社会の勉強は、ほかの科目の気分転換。それに対して、算数には苦労していました。4教科合計の成績で上のクラスになってしまうと、算数の処理速度についていけず、つらそうでした。でも中学受験は4教科バランス良くできなければいけないし、特に算数は1問の配点が大きく、差がつくことは明らかです。中学受験に必要な解法を学ぶ必要もあるし、計算力をアップさせなければなりません。とにかく訓練。はっきりと目標があったからがんばれたのでしょう。6年生の秋ごろから武蔵中の対策プリントや過去問を解きましたが、その姿はとても前向きで、解けたときのうれしそうな様子は、私も見ていてとてもうれしかったです。武蔵や栄光学園の算数の問題は、時間に追われずにじっくり考えてこつこつ解くタイプで、楽しめるようになっていました。先生も毎回とてもていねいに添削してくださいました。辛口コメントも、うれしいほめことばもあり、息子の励みでした。明らかに算数の力は伸びていました。
 ところが、武蔵、栄光学園、海城すべて、残念な結果になってしまいました。最初の2校の不合格を知ったとき、息子は本当に行きたかった学校だったので泣きじゃくりました。でも、私は息子のチャレンジ精神を誇りに思っていたので、しっかりと受け止めることができました。
 芝中は2月1日と4日に受験するようにすれば、確実に合格できる成績でした。それに対して武蔵の合格可能性は五分五分で、試験は2月1日のみ。一度だけ、さりげなく息子に第一志望校を変える気持ちがあるか聞いてみました。すると「そんなことありえない。だってそれで芝に受かっても『武蔵を受験していたら受かっていたかもしれない』って、ずっと思い続けるのは嫌だもん」と言うのです。2日の栄光学園についても、同日の桐朋中に変えることを提案しましたが、まったく同じ返事。息子はチャレンジすることしか考えていませんでした。何事も最終的には自分で判断して自分で決定できる子になっていたんです。今回も自分の意志がしっかりしていました。
 海城の結果が出ていないまま、芝を受験することになりました。息子は芝のサイトを見ながら気持ちを切り替えていました。そして私が最初にお薦めした学校は芝だったことを思い出してくれました。
 しかし、正直言って心配でもありました。12月ごろまで芝の第2回試験の過去問を甘く考えていたのです。国語は武蔵対策の効果で記述が得意になっていたし、理科や社会も幅広い範囲から出題されるタイプだから大丈夫と。ところが、算数はかなり処理速度が必要な問題で、過去問を解いてみると驚くほど点数が取れなかったのです。万一に備えて、その後、芝の過去問演習もして、点数が取れるようになってはいましたが、私は直前まで不安でした。でも息子にはそんな気持ちを悟られないように気をつけました。
 芝の試験会場から出てきた息子は笑顔でした。親をからかうほどです。試験の後は、それまでは振り返りはしないようにしていましたが、最後の試験だったので問題ないと思い、その日だけは振り返りをしてもらいました。すると、60%合格できると言うのです。微妙。しかし、その後だんだん不安になってきたらしく、50%の可能性だと言い出します。「2回受験の優遇もないし、算数ができたと思ったけれど、おかしな間違いをしていたらどうしよう…」。合格発表まで親子とも何もできませんでした。その日の夜、芝から合格を頂き、親子で跳び上がって喜び、そして大泣きしました。喜びの涙は見せてもよいと思っていたので、私も抑えませんでした。息子は本当の力を発揮できたのです!
 中学受験のサポートは大変でしたが、すばらしい経験でした。困ったときは、悩む前にサピックスの先生に相談しました。新型コロナウイルス感染症防止のため、先生に直接お会いできませんでしたが、それ以上に速やかな対応をしていただき、本当に感謝しています。私がサポートをするうえで気をつけたことは、「成績の結果では怒らない」「親の見栄で勉強をやらせない」「睡眠時間は削らせない」「王様扱いせず、自分のことは自分でやらせる」こと。息子は中学受験を通して大きく成長しました。目標に向かってみずからがんばれる。自分でやるべきことを考えられるようにもなりました。時間を意識できるようになって行動も早くなりました。精神力もさらに強くなりました。これからの人生を歩んでいくために必要な多くのことを学べたので、息子の中学受験は大成功です!
 ご縁のあった学校で、大切な中学・高校の6年間を、充実したものにしてほしい、息子の成長が楽しみです。これからは離れたところから静かに見守っていきたいです。

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