受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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2022年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 開成中学校

走り続けた3年間と、その先に待っていた予想外の結末

M.Iさん お子さんの名前 Yくん

 チャレンジ校として、半ば記念受験のつもりで受けた開成中に合格し、進学を決めました。夢のようでまだ完全にこの現実を消化できていません。「息子により良い環境を」という想いから、特定の志望校もなく漠然と始めた中学受験。難関校への合格実績と問題の質の良さから選んだサピックス。息子は授業の様子を細かく教えてくれるような子ではなく、ノートもぐちゃぐちゃ。テストの成績も極端にムラがあり、そのたびに一喜一憂。特定の教科が強いわけでもなく、うまくいかないとふてくされる。理解しているのかいないのかも不安なまま、とにかく与えられた教材をこなすことだけをしていました。息子は私の過干渉が当然気に食わないようでしたが、とにかくサピックスの授業は楽しかったようで、どんなときも車から出ると小走りで校舎に向かっていきました。
 6年生の夏休みまではこれでも何とかなったのですが、9月に志望校の過去問を解き始めたときから状況が一変しました。何度やっても解けない。特に算数がひどく、3割取れればいいくらい。これには私も焦り、「今まで何をやってきたんだ」「こんなんじゃ第一志望どころか1月校にも受からないよ」とネガティブなことばを並べ立て、泣きわめいたこともありました。息子の反抗期も加速し、ついには「この先一緒に生活するのは無理だ」とまで思い詰め、寮のある地方の学校の併願を決めました。9月からの2か月間、特にできなかった算数を中心に、サピックスの先生には何度も電話で相談しました。そのたびに、私の感情も多分に混ざった相談を冷静に聞いてくださり、「目の前の課題を解決するしかない」と、息子の家庭学習や過去問の答案をていねいに見て、事細かにコメントを書いてくださいました。また「こういうところがまだ幼くてかわいいんですよ」と授業中の様子を教えてくださり、ただ成績を伸ばすためだけではなく、人間としての息子を見てくださっているのだと、私も忘れていた感情を取り戻すことができ、救われた気持ちになりました。ぎりぎりでしたが、冬期講習のころにはようやく集中力が高まり、過去問やSS特訓の演習問題も正答率が上がってきました。そして迎えた本番では、5校中4校に合格。惜しくも第一志望の聖光学院中にはご縁がありませんでしたが、開成という大金星を獲得しての予想外の幕引きとなりました。
 焦りや不安を子どもにぶつけまくった私は、けっして良き伴走者ではなかったと思いますが、文字どおり走り続けた3年間でした。フルタイムで仕事をしながら車での送迎往復、車中で食べさせる夕食の準備、教材の管理。息つく暇もありませんでしたが、ようやく今、報われました。サピックスの先生方には、時には厳しいことばも交えてご指導くださったことに心から感謝いたします。
 最後に息子へ。9月までピアノを続け、1月は毎日9時間寝て、受験前日まで学校に行って勝ち取った合格。最後まであきらめずによくやった! これからも自分らしく、全力で走り続けてくれ!

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