受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2022年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 聖光学院中学校

自由への恋の代償と聖母の慈愛

A.Kさん お子さんの名前 Hくん

 息子は、5年生で麻布中を熱望した後もひたすらがんばりました。6年生の合格力判定サピックスオープンでは偏差値65~67と史上最高値を叩き出しました。学校別サピックスオープンでも80%をたたき出しました。
 しかし、過去問やSS特訓を進めていくと、SS特訓は悪くないのですが、マンスリーテストや合格力判定サピックスオープンの4回目だけでなく、学校別サピックスオープンの2回目までもが悪化しました。これがいわゆる麻布病かと苦々しく感じていましたが、悪いとはいっても偏差値60程度、合格可能性70%だったので、第一志望校は変更不要と判断して、息子を信じて支えていました。過去問は毎回合格点を超え、SS特訓でもクラスで1番の回数が増えてきました。
 家庭でも社会の記述対策として、「時論公論」を見て家族間で意見交換をしたり、課題を設定して模範解答を考えたりもしました。そのなかには外国人労働者問題もありました。国語も、記述内容の充実と時間配分について試行錯誤を繰り返しました。4科目とも過去問は10数年分を振り返り、特に国語と社会はテーマの経年分析を実施しました。このように、深いテーマを設定し、中身の充実した記述を求める麻布に対して、徹底的に対策できたと自負しておりました。
 しかし、2月3日の結果は無残にも散りました。掲示板に番号がないのを見て、いつも強気でお調子者の息子が、泣く寸前まで動揺していました。過去問では毎回合格点以上だった渋谷幕張中にも落ちており、麻布をめざすことで競合校への代替が効かなくなると身をもって体感し、高い恋の代償を支払いました。
 今回の経験から、私と妻が考える麻布の求める人物像を記します。それは本の虫であり、自分の思考や物事を整理して表現し、高い共感力を有する精神年齢の高い人物です。
 本来ならここで終わりですが、息子は広尾駅で聖光学院中への受験を決意しました。精神的に最悪な状態でも、このままでは終われないという気持ちだったと思います。
 果たして2月5日の朝、画面にはマリアさまがほほ笑んでいました。最後の最後に、ドラマが待っていました。息子は厳しい試練に打ち勝ち、第一志望校より格上に合格するという最上の結果をたたき出しました。報われない傷心の少年に聖母の慈愛が届き、誇りを取り戻しました。
 勝因としては、平常授業と土曜志望校別特訓にも一生懸命がんばって食らいついたことだと思います。サピックスには、手を抜かずにがんばった者は報われるような仕組みがあると実感しました。ただ、もう一度やり直せるなら、算数での間違い直しの際、正解であれば放置していたところを、解く過程や書き方まで確認するべきでした。正しい手順、より良い解法を早くから身につけておくと、算数はもっと楽にたたかえたと思います。
 最後に、サピックスで最後まで走り抜くためには、親が子どもに最大限に寄り添うことが必須です。子どものことをいちばん理解できるのは親です。自分たちができる最大限のフォローを子どもにしてあげることが、勝利への近道だと思います。これを読まれた方に少しでも役立つことを祈りつつ、締めのことばと致します。

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