受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2022年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 芝中学校

芝が俺を呼んでいる

Y.Hさん お子さんの名前 Kくん

 2月3日午前9時、武蔵中の合格発表。固唾をのんで見守るなか、表示されたのは「不合格」の文字。
 「これまででいちばんの出来だった、すべての力を出し切れたから絶対に受かってる!」
 試験後、そう言って会心の笑みを浮かべていた息子。現実が受け入れられず、何度も何度も受験番号を入れ直す姿に、胸が締めつけられる思いでした。
 解き方を学んだり、ひたすら暗記をしたりするという勉強法に嫌気がさしていた息子は、理科の観察問題に代表されるような、思考そのものを問う入試問題に魅了され、自分自身を表現できる学校だと感じ、武蔵をめざしました。
 しかし、武蔵への挑戦は苦難の連続でした。問題の特性から、併願校の対策が難しく、武蔵の対策を増やせば増やすほど、併願校の対策時間は減っていきます。そうかと言って全力で取り組まなければ当然、合格はできません。
 そのような状況のなかで併願校は、武蔵対策で培った記述力を少しでも活かせる点から、桐朋中と三田国際中を選択することにしました。
 もともと第一志望にするかどうか迷った芝中は、武蔵とは問題傾向が異なる点から併願校にするには厳しいという判断で、あきらめざるを得ない状況でした。
 しかし、2日に受けた2校も不合格となりました。
 武蔵に続き、不合格の連続に失意のどん底にいた息子に、親としても苦しい思いのなか、「かなり厳しいと思うけど4日の芝にチャレンジしてみる?」と聞いたところ、「俺、絶対に芝に行く! 芝が俺を呼んでるってことだよ」との返答。目が輝くとは、このことをいうのでしょうか?
 思い返せば、中学受験を志したのは芝の学園祭に行き、「ここに通いたい」と思ったのが始まりでした。
 桐朋や三田国際から合格を頂いていたら、もちろん芝に挑戦することはなかったですし、武蔵に挑戦することなく、芝を第一志望にしていても、同じ結果になったとは限りません。武蔵への挑戦で身につけた記述力や、最後まであきらめずに挑み続ける精神力、平常授業で養った知識力、どれ一つ欠けても成し得なかった結果だと思います。まさに、芝が息子を呼んでくれたんだと思います。
 武蔵に全力でチャレンジできたこと、失意の底から気持ちを立て直し、もう一つの第一志望ともいえる芝に合格できたことで、これ以上ない何かを得られた、かけがえのない経験となりました。

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