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最新中学入試情報

緊急分析 2023年度首都圏中学入試の動向:
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2023年度中学入試特集/緊急分析首都圏

開成が近年で最も多い応募者数を記録
栄光学園、聖光学院①はともに増加

 2月1日からの東京都・神奈川県の一般入試の応募状況を見ると、男子校ではまず開成の増加が目立ちます。昨年の1206名から今年は1289名になり、近年では最も多くなりました。これは応募者数ですが、実際に受験した人数で見ると、昨年の1050名が今年は1193名になっており、欠席率が下がったことがわかります。現在、新校舎を建設中で、間もなくより充実した教育環境が整うということへの期待もあるのでしょう。これに対して、昨年は増加した麻布と武蔵はやや減少しました。

 昨年、大きく減少したのが駒場東邦と桐朋①ですが、この両校はそろって増加しました。どちらも一昨年の数には届いていませんが、桐朋は2日の②も増えました。ともに1日と3日に入試を行う海城、早稲田も両日とも増加しました。両校の共通点といえば新校舎です。海城については、2021年秋から使われ始めたサイエンスセンター(新理科館)が人気を集めているようです。

 1日午後入試校として代表的な存在といえば、東京都市大学付属です。同校の一般入試・グローバル入試の日程は、昨年は1日午後、2日午前、4日午前、6日午前でしたが、今年は1日午前・午後、3日午前、5日午前に変更しました。結果的に、2月1日午前には338名の応募があり、1日午後は、昨年の1242名が今年は1285名になりました。1日午後の募集人員を減らしても応募者が減ることはありませんでした。

 2日校では、栄光学園と聖光学院①がそろって増加しています。以前は、この両校の一方が増えるともう一方が減るという傾向がありましたが、最近ではそのような現象は見られなくなりました。都内の学校では本郷②の増加が目立ちます。昨年の1165名が今年は1385名にもなりました。巣鴨Ⅱと世田谷学園②も100名以上増加していますが、これは今年、東京都市大学付属の2日入試がなくなったことが影響していると考えられます。

 慶應義塾湘南藤沢中等部は男女とも減りましたが、特に一般入試の男子の減少が大きく、応募者は200名を切るほどになっています。慶應義塾横浜初等部からの内部進学者受け入れが始まり、中等部からの募集人員が少なくなったことも影響しているのかもしれません。2日の大学付属校としては、ほかに明治大学付属明治①、明治大学付属中野①、学習院①もありますが、そろって減少しています。立教池袋①は50名増加しました。

 3日には国立中学校の入試が行われます。昨年、1次応募者が600名を割った筑波大学附属駒場は、やや回復して627名になりましたが、依然として少数精鋭による戦いになっています。昨年、男子が大きく減少した共学の筑波大学附属は、今年は300名を超えた一昨年ほどではなかったものの、やや応募者を戻しています。浅野は、ほぼ昨年並みでした。

 慶應義塾中等部は今年、男子の募集人員を20名削減し、約120名としました。慶應義塾幼稚舎から内部進学する男子が増えたことが影響しているようです。応募者は昨年の1012名が今年は856名に、約15%減少しましたが、これは募集人員の減少とほぼ同じ割合でした。

 4日には聖光学院②が行われます。この入試は、3日午後になって併願校の結果がわかってからでも応募できるため、例年、そこで数百人も応募者が増えます。今年は最終的に、昨年の数を90名上回り、718名になりました。

 このように桐朋、海城、早稲田、聖光学院は2回ある一般入試の両方とも応募者を増やしたわけですが、芝も1日、4日の両日とも増加し、城北、子開成、本郷は3回とも増加です。巣鴨と世田谷学園は、2月1日午前以外で増加しました。巣鴨Ⅰは昨年と同数でしたが、世田谷学園①の減少には、東京都市大学付属の1日午前参入の影響があったと思われます。

 1日は女子が多く、2日は男子が多い状況が続いている渋谷教育学園渋谷は例年、男女で異なる動きをします。今年は①②③とも男子は増加、女子は減少でした。

新校舎建設中の桜蔭の応募者が600名超
豊島岡女子学園、洗足学園はやや減少

 女子校では、例年は応募者が500名台の桜蔭が大きく増加し、629名になりました。2024年に百周年を迎える同校では、今秋に新しい東館が完成しますが、その新校舎への期待があるのでしょう。また昨春、東京大学理科Ⅲ類に13名の合格者を輩出し、注目を集めたことも影響していると思われます。それに対して女子学院は減少し、700名ちょうどになりました。雙葉はやや増加、フェリス女学院はやや減少ですが、大きな変化ではありません。

 ほかにも、学習院女子A・Bのように昨年増加した学校は減少し、東洋英和女学院A・Bや立教女学院(一般)のように、昨年減少した学校は増加するという現象が多く見られました。これに当てはまらなかったのが横浜共立学園A・Bです。両日とも連続して減少し、近年では最も少なくなりました。神奈川県の学校で復調したのが、近年、1科目入試や英語資格入試を始めた湘南白百合学園です。今年はすべての方式で昨年より増加しました。1日午後と2日の4科は、ともに100名以上の増加でした。

 1日午後入試も完全に定着し、恵泉女学園、品川女子学院をはじめとして増加した学校が目立ちますが、昨年大幅に増加した普連土学園と、応募者数が特に多かった山脇学園は減少しました。2日校については、男子では増加した学校が多かったのですが、女子では、大きく増えたところは見当たりません。

 近年、注目されているのが豊島岡女子学園、鷗友学園女子、吉祥女子、洗足学園といった、大学合格実績を伸ばしている学校群です。難度が大きく上昇しているため、年によっては敬遠される傾向も見られます。豊島岡女子学園と洗足学園は、今年は全日程で応募者を減らしましたが、その数はわずかです。豊島岡女子学園①の応募者数は1060名でしたが、女子だけでこれだけの人数が集まる学校は、都内には、ほかにはほとんどありません。3日の②と4日の③は例年、①よりは受験者が少ないものの、昨年は実質倍率が10倍前後になりました。今年も7~8倍になっています。一方、増やしたのは吉祥女子で、①②とも2年連続での増加となりました。鷗友学園女子は①が減少、②が増加でした。

(取材協力/森上教育研究所)

2月入試主な男子校・共学校男子の応募者の増減(2022年→2023年)
2月入試主な男子校・共学校男子の応募者の増減(2022年→2023年)
2月入試主な女子校・共学校女子の応募者の増減(2022年→2023年)
2月入試主な女子校・共学校女子の応募者の増減(2022年→2023年)
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2023年度
中学入試特集目次
2023年度中学入試特集

首都圏2023年度中学入試レポート緊急分析 2023年度首都圏中学入試の動向

関西圏2023年度中学入試レポート緊急分析 2023年度関西圏中学入試の動向
速報 主要校の2023年度入試結果DATA一覧

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