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最新中学入試情報

緊急分析 2023年度関西圏中学入試の動向:
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2023年度中学入試特集/緊急分析関西圏

関関同立の付属校は引き続き堅調
“関大系列”は増加が目立つ

図表5 関関同立系の直近3年間の応募者数の推移(全日程合計)

 次に、大学付属校を見ていきましょう。図表5は関関同立の付属校・系属校の応募者数の推移をまとめたものです。表に掲載した12校の総応募者数は8548名で、昨年度よりもやや減少したものの、おおむね例年の水準を維持しており、近年の傾向どおり「関関同立の付属校・系属校は少子化が進むなかでも堅調」といえる状況でした。ただ、学校ごとに見ると、今年度は“関大系列”の3校が好調だった一方、“関学系列”の学校は応募者数の減少が目立ちました。この現象が一過性のものなのかどうか、今後の動向に注目です。

 表には掲載していませんが、産近甲龍の付属校にも触れておきましょう。産近甲龍の付属校では近年、応募者数の減少傾向が顕著でした。今年度、京都産業大学附属と龍谷大学付属平安は応募者数を維持しましたが、近畿大学附属、甲南、甲南女子は応募者を減らしています。次年度以降、減少傾向に歯止めをかけられるかどうかがポイントになりそうです。

「前受け入試」の状況
12月の受験が一般化

 統一解禁日前の入試、いわゆる「前受け入試」についても触れておきます。新型コロナウイルスの感染拡大によって、前受け入試の状況は大きく変わりました。

 以前は、統一解禁日の直前、つまり1月の第1週から第2週くらいに受験をするのが一般的でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大以降、本番入試の直前にリスクを回避したいと考える受験生が増加し、12月中に前受け入試を済ませてしまう動きが目立つようになりました。

 もちろん、1月に前受けする受験生がいなくなったわけではありませんが、その数が減った結果、1月に入試を行う前受け校のなかで、応募者数の格差が大きくなっています。愛光、北嶺、香川誠陵の関西圏会場には、依然として多くの受験者が集まりますが、それ以外の学校のなかには、応募者が極端に少ないところも見られます。

サピックス生の受験状況
午後入試の活用が続く

図表6 サピックス生の日程・時間帯別受験率(2023年度)
図表6 サピックス生の日程・時間帯別受験率(2023年度)

 ここからは、今年度の関西校舎のサピックス生(以下、サピックス生)の動向に触れていきたいと思います。まずは、前受け入試からです。2023年度は、全体の約70%の生徒が前受け入試を受験しました。そのうち、約6割が12月中に、約3割が1月中に受験し、残り約1割が12月中と1月中の両方に受験しました。先ほど述べたとおり、12月中の受験にシフトしている様子がこのデータからも読み取れます。

 続いて、統一解禁日以降の動向を見ていきましょう。直近3年間の受験生1人当たりの平均受験校数は3.94校→4.41校→4.20校と推移しています。なお、2日間の入試を行う学校を受験した場合や、同じ学校を2回受験した場合は、いずれも2校とカウントしています。

 図表6は、今年度のサピックス生の各日程・時間帯ごとの受験率(全生徒の何%がその日程・時間帯に受験したのか)を示したものです。近年、初日午後と2日目午後の受験率が上昇傾向にありますが、今年度も同様の結果になっています。関西全体で午後入試を活用した受験パターンが浸透してきているので、早ければ最初の2日間で受験が終わってしまう、「超短期決戦」になっています。最近は、1日目の午前・午後、2日目の午前・午後と2日間で4回入試を受けることも珍しくなくなってきており、とにかく早い段階で合格校を一つは確保できるように、午後入試を駆使して受験パターンを組むのが一般的です。その際、午前入試の終了時刻と、午後入試の集合時刻によっては、移動が間に合わない場合も出てきます。学校の立地も考慮したうえで、検討していきましょう。

図表6 サピックス生の日程・時間帯別受験率(2023年度)
図表6 サピックス生の日程・時間帯別受験率(2023年度)

 また、3日目以降は、前の日程の入試結果によって、複数の受験パターンを想定しておくことも大切です。インターネット出願が主流になった今、出願自体は直前でも間に合うケースが多いですが、直前の出願ができない学校もいくつかありますので、慌てないためにも、事前の情報収集とシミュレーションはしっかりとしておきましょう。

志望校選びは急がなくてもよいが
学校訪問は早めに行うのが吉

 コロナ禍において、最もネックとなるのが学校訪問です。志望校自体は、5年生の後半から6年生にかけて決めれば十分なのですが、実際に学校に行ったことがないと、「ホームページや学校ガイド、偏差値表などで名前は知っているが、具体的な学校のイメージが持てない」ということが起こりえます。ところが今の状況下では、必要になったときにすぐに学校訪問ができるとは限りません。今後、どのように状況が変わっていくのかはわからないので、学校訪問は早い段階から始めるのがよいでしょう。

 実際に学校を訪問し、「この学校に合格したい」という思いを抱いたことが、受験を乗り切る大きなモチベーションになったと話す卒業生は少なくありません。有意義な受験にするためにも、早い段階から計画的に動いていきましょう。

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中学入試特集目次
2023年度中学入試特集

首都圏2023年度中学入試レポート緊急分析 2023年度首都圏中学入試の動向

関西圏2023年度中学入試レポート緊急分析 2023年度関西圏中学入試の動向
速報 主要校の2023年度入試結果DATA一覧

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