受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

母校再訪

(「22年10月号」より転載/22年9月公開)

母校再訪

江戸川学園取手中・高等学校

中西 優奈さん(2022年卒業)
沖 達也さん(2005年卒業)

勉強に部活に行事に全力で取り組み
確かな学力と人間力を培った6年間

 1978年の創立以来、「心豊かなリーダーの育成」を教育理念に掲げ、「心力」「学力」「体力」の三位一体の教育を実践する江戸川学園取手中・高等学校。生徒の興味を引き出す魅力的な授業や、一人ひとりの人格を磨く道徳教育などを通じて、確かな学力と豊かな人間力を養成しています。そんな「江戸取」で6年間を学んだ2人の卒業生に、母校の魅力や思い出について語っていただきました。

夢に向かって挑戦できる環境のなか
さまざまな活動を通じて視野を広げる

中西 優奈さん筑波大学医学群医学類1年江戸取で生徒会役員を務めていた経験を生かして、筑波大学の全代会(全学学類・専門学群・総合学域群代表者会議)と、国際医学生連盟 日本(IFMSA-Japan)の一員として活動。勉学に励みつつ、大学生として今しかできないことに全力で取り組んでいきたいと思っています。

 幼いころからあこがれていた医師をめざし、今春、筑波大学医学群医学類に進学した中西優奈さん。「江戸取」を第一志望校に決めたのは、中等部に医科ジュニアコースが開設されるという話を聞いたからでした。「高等部に医科コースがあることはもともと知っていましたが、中学入学時から医学部進学に向けたサポートが受けられるのはとても魅力的でした」と言います。

 医科ジュニアコースには、さまざまな分野に秀でた生徒が在籍し、中西さんはクラスメートに刺激を受けて、「自分も何かがんばってみよう」と気持ちを奮い立たせます。クラブは茶道部と軽音同好会に所属し、模擬国連や科学の甲子園など学外の大会にも果敢にチャレンジ。高3になる直前の春休みには、仲間と一緒に模擬国連同好会を立ち上げました。「わたしが卒業した今でも同好会が続いていて、後輩たちが模擬国連の大会に出場したという話を聞くたびに胸が温まります」と、後輩たちの活躍を応援しています。

 その一方で、中高ともに生徒会役員も務め、体育祭や文化祭では、実行委員の取りまとめから、本番までの準備や当日の運営まで携わりました。「校内で朝のあいさつ運動を行ったり、入試や新入生登校日の運営をお手伝いしたり、裏から支える活動が多く、とてもやりがいがあった」そうです。

 海外研修にも積極的に参加し、中3のときにはオーストラリア短期留学でホームステイを経験。ホストファミリーとのやり取りのなかで、「英語を使うことが楽しい」と感じた中西さんは、その翌年にSDGsスタディーツアーにも参加しました。「カンボジアとベトナムを訪れ、貧困や環境破壊など地球規模の課題について実感しました。事前・事後の学習も充実していて、現地で経験したことを深い学びへとしっかり昇華できました」と振り返ります。

 このように、さまざまな活動と学業を両立させ、医学部への進学を果たした中西さんですが、中高6年間のなかでは「わたしは本当に医師になりたいのだろうか」と、気持ちが揺らいだこともありました。そんなときに役立ったのが、「卒業生を囲む会」です。各分野で活躍する先輩たちの話を聞くなかで、いろいろな職業があることを知り、「わたしが抱いていた漠然とした不安の原因は、医師以外の自分の可能性について考えてこなかったことにある」と気づいたと言います。「進路に迷ったとき、先生方が親身になって相談に乗ってくださり、気持ちが定まりました。そのおかげで心置きなく医師をめざして勉強を続けられました」

 高2のときに新型コロナが流行し、登校できない期間もありましたが、「生徒の夢は学校の目標」というスローガンのとおり、先生方はICTツールを駆使して生徒をしっかりサポート。「勉強面も生活面も、先生方がしっかり向き合ってくれるのが江戸取の良いところ」と中西さんは感じています。「江戸取では、やりたいと思ったら挑戦する、やらないで後悔するよりやって後悔することの大切さを学びました。この精神をモットーに、大学生活にも全力で取り組んでいます。将来は、地域に根差した総合診療医として、茨城県の地域医療に貢献したいと思っています」と抱負を語ってくれました。

社会人に必要な『規律』と
考え続ける姿勢を身につける

沖 達也さん弁護士(慶應義塾大学法学部・中央大学法科大学院卒)校訓「誠実・謙虚・努力」には、弁護士として大切にしなくてはならない要素が詰まっています。誠実に業務に取り組むのはもちろん、人から感謝される良い仕事をするために、偉ぶらずにさまざまな意見に耳を傾けながら学ぶことを日々心がけています。

 一方、現在、弁護士として活躍する沖達也さんは、「高い進学実績に加え、各界の著名人による講演会、ハワイやカナダへの修学旅行など、ユニークな体験ができる点にも魅力を感じたから」と、江戸取を志望した理由を語ります。

 入学前は「校則が多くて厳しい学校」という印象を持っていましたが、「あいさつをきちんとする、ことば遣いに気をつける、定刻の5分前に集合するなど、できて当たり前のことを『規律』として学んでいる感覚でした」とのこと。なかでも印象的だったのが道徳の授業です。校長先生が孔子の『論語』をもとに話した「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」「己の欲せざる所、人に施すことなかれ」「遠き慮りなければ、必ず近き憂いあり」などのフレーズは今でも記憶に残っており、「人生において重要なことを教えてもらっていたのだな」と実感しているそうです。

 志望動機の一つとなった講演会にも、積極的に参加しました。ノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈先生、『バカの壁』で有名な養老孟司先生、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による四重奏、劇団四季の団員による演劇など、「今でも、もう一度観たい、聴きたいと思えるようなすばらしいイベントがたくさんありました」と振り返ります。

 クラブは硬式野球部に所属し、高3の夏に引退するまで文武両道を貫きました。限られた時間のなか、沖さんが心がけたのは、「授業を集中して聞く、通学時間を活用する、家に帰ってから1時間は必ず勉強する」こと。「おかげで、体力的にも精神的にも鍛えられました。日ごろから考えて練習に取り組むようにと監督に言われていたので、自然に考え続ける姿勢が身につきました。部活動を通じて培ってきた力は、仕事をするうえでの土台になっています」

 現在の法律事務所に入所して9年目の沖さん。弁護士をめざすきっかけとなったのが「夢を語る会」です。全校生徒の前で自分の将来の夢を語るイベントに出ることになり、当時漠然とあこがれていた検察官だけでなく、弁護士や裁判官という仕事について調べていくうちに、「法曹を志したい」と明確に思うようになります。その目標を実現するために、国立文系クラスを選択。進学先に慶應義塾大学を選んだのは、「塾生同士のつながりが強い環境で培った人間関係は、法曹をめざすうえできっと財産になる」と思ったからです。

 大学卒業後は、中央大学法科大学院に進み、司法試験への合格に向けて努力を続けた沖さん。「試験に向けて、いつまでに何をクリアすればいいのか、中長期的な計画を立てて勉強を進めました。先が見えなくてつらいと思ったことは何度もありましたし、1度目の受験で失敗したときは挫折しそうになりました。それでも何とか耐えて勉強を続けられたのは、同じ目標に向かってがんばる友人たちがいたからです」と言います。最後に、母校をめざす受験生に向けて、次のようなメッセージを送ってくれました。

 「江戸取には、生徒の視野や可能性を広げてくれるさまざまなイベントがそろっています。勉強面だけでなく、道徳の授業を通じて学んだことは、将来社会人になったときに必ず役に立ちます。ぜひ、江戸取で同じ志を持つ友人たちと一緒に学んで、ご自身の夢をかなえてください」

※行事等は当時の内容です。

《学校のプロフィール》

江戸川学園取手中・高等学校

所在地 〒302-0025 茨城県取手市西1-37-1
JR常磐線「取手」駅より徒歩25分・バス5分、関東鉄道常総線「寺原」駅より徒歩20分、つくばエクスプレス「守谷」駅よりバス20分

TEL 0297-74-8771
H P www.e-t.ed.jp 別ウィンドウが開きます。

《Information》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。

http://www.e-t.ed.jp/admission/index.html

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