受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

母校再訪

(「22年10月号」より転載/22年9月公開)

母校再訪

八王子学園八王子中学校・高等学校

佐藤 諒さん(2022年卒業)
伊藤 璃紗さん(2022年卒業)

自由な校風と探究型の教育が
何事にも挑戦する姿勢を育てる

 1928年に「多摩勤労中学」として設立された八王子学園。戦後は「人格を尊重しよう、平和を心につちかおう」を教育理念として、2012年には中学校を新設しました。そして、2016年には「東大・医進クラス」が開設され、今年、その第1期生を送り出しました。国公立大学や難関私立大学に多くの合格者を輩出した同校は、今後も進学校としてのさらなる躍進が期待されています。今回は、東大・医進クラス第1期生の2人に、学校の魅力などについて語ってもらいました。

中学から取り組んだ「探究ゼミ」での経験は
大学でも役立っている

佐藤 諒さん東京大学文科一類1年東京大学では、3年次から学部・学科に進みます。まだ将来の目標は定まっていませんが、1~2年次の2年間で、歴史や政治、語学をはじめ、幅広い分野を履修し、さまざまなことに挑戦して決めたいと思います。

―お二人は東大・医進クラスの第1期生ですが、6年間過ごしてみて、どのような印象を受けましたか。

伊藤 最初は、授業の進度がとても速く感じられました。けれども、おかげで高3では発展的な学習に時間をかけてもらえました。日々の復習を欠かさず、授業に集中していれば、学力が確実に身につくクラスだと思っています。わたしは、受験対策用の数学の授業がとても役立ちました。

佐藤 中学までは好きなことや遊びに没頭し、自分を含め、自由に過ごしている人が多かったと思います。それでも、クラス名が「東大・医進」なので、自然に「東大をめざそう」と思える雰囲気があるからか、高2のころには、みんな勉強に集中するようになりました。先生との距離感が近く、何でも相談できるところも魅力でした。

—部活動や委員会活動で、思い出に残っていることはありますか。

伊藤 八王子の伝統芸能である「車人形」の同好会に入って、学園祭や地域の公民館などで発表したのは良い思い出です。車人形とは、ろくろ車と呼ばれる3輪の台車に腰かけて、一人で1体の人形を操る芝居のことです。公演の内容や場所なども、一から自分たちで考えなくてはならないのですが、中学で部長を務めたときは、部員をまとめるのが特に大変でした。この経験を通して、計画的に行動する力がついたと感じています。

佐藤 ぼくも車人形同好会に所属していたので、その活動に熱中していました。長期休暇中には高尾の家元の稽古場に行って練習するなど、特別な体験ができたと思います。このほか、高2・3では学園祭実行委員も務めました。思い出深いのは、地元のお米屋さんとの「コラボおにぎり」を提案し、販売まで手がけたことです。大掛かりな企画を実行し、成功につなげられたのはとてもうれしかったですね。

 また、この学園祭はちょうど新型コロナウイルス感染症の影響を受けた年でもありました。さまざまな制約がありましたが、その分、みんなで協力し合い、一致団結できました。オンライン上ではなく、直接会ったり、話したりすることの楽しさもあらためて実感しました。

高2・3時での担任の小山俊宣先生。「中学生のときに代数を教えていたので、知っている生徒たちでしたが、高校で担任となり、学びにも行事にも主体的に取り組む姿を見て、成長を感じました」と振り返りました

—大学生活を送るなかで、中高での学びや経験が生きていると感じることはありますか。

佐藤 中学から学んできた「探究ゼミ」での経験が、大学に入ってからとても役立っています。探究ゼミでは、自分の好きなテーマについて調べ、スライドを作成し、発表などをします。プレゼンの場が多かったため、「どうしたらわかりやすく伝わる発表ができるか」のこつをつかめるようになりました。大学では「プレゼンがうまい」とよくほめられます。これは八学(八王子学園)のおかげだと感じています。

伊藤 探究ゼミは八学の特徴的な授業かもしれません。基本的に年度の前半では、中1は八王子周辺を、中2は修学旅行先の京都・奈良・広島を、中3は海外研修先のオーストラリアをテーマに進めていきますが、それぞれの年度の後半には、先生方がさまざまなテーマを用意してくれます。生命倫理をテーマに、安楽死の是非やクローンについて取り上げたときがありましたが、いまだにその内容は考えさせられます。また、英語の授業で発表する機会も何度かあったので、英語でわかりやすく表現する方法も学べました。

 このほか、現在、大学では生物・物理・化学の講義で高校の総復習のようなことをしているのですが、高校の理科のテキストや授業のノートを見直すと理解できることがあります。この高校の授業がなければ、大学の講義についていくのは相当大変だったと思います。

高校の授業で学んだ内容や
先生のことばが進路の決め手に

伊藤 璃紗さん東京農工大学工学部1年高校のときに創薬や医療機器開発の分野に興味を持ち、東京農工大学の工学部生命工学科を志望しました。今は人の生命と直接かかわる分野への関心が高まり、将来は難病の研究に携わりたいと考えています。

―現在通っている大学を志望校に決めたのは、どのような理由からでしょうか。

伊藤 もともとは医学部をめざしていましたが、中学の3年間と高3の1年間に生物を教わった東京農工大出身の先生が、大学での研究についていろいろと話をしてくれたので、医師よりも研究職に興味を持つようになりました。特に、創薬や医療機器の開発の分野で貢献したいと考え、最終的に、どちらの分野にも関連する「生命工学」を選択しました。

佐藤 先ほど話したように、クラス名もあって、漠然と東大をめざしていましたが、先生が成績を見ながら、「佐藤くんなら、東大に行けるんじゃない」と軽い感じで背中を押してくれたのが、決め手になりました。文科一類を志望したのは、「どうせめざすなら最高峰に」という思いからです。高2の学園祭が終わったころから本格的に勉強し始め、毎日友人と学校に残って自習したり、先生に何度も質問しに行ったりするようになりました。

—現在、大学で学んでいることや今後の目標について、教えてください。

伊藤 具体的な職種は決まっていませんが、工学よりも創薬や細胞に関する研究を行う生命分野に進みたいですね。特に創薬には興味があります。がんや糖尿病など世の中に広く知られ、研究が進んでいる分野よりも、まだ治療法などが確立していない難病についてアプローチし、病気に苦しむ人を少しでも減らしたいと考えています。

佐藤 ぼくの場合は3年次から学部・学科に所属することになるのですが、まだ進路は明確に決まっていません。まずは1・2年次のうちに、歴史や政治、語学から社会生態学といったような講義まで幅広い分野を履修し、知見を広げるつもりです。文科一類には、法学や政治の分野をめざす人が多いのですが、そこだけにこだわらず、大学の研究職、中学・高校の教員なども視野に入れたいと思います。何にでも挑戦してみようという姿勢は八学で養われました。

—最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします。

八王子市の伝統芸能である『八王子車人形』は、一人遣いならではの躍動感ある動きが魅力。車人形同好会に所属した2人は、毎年の学園祭や地域のイベントなどで公演しました

伊藤 八学は、ただ教室で座って学ぶだけではなく、やりたいことを先生に提案して、どんなことにでも挑戦できる学校です。勉強はもちろん、さまざまな活動をしたい人にはお勧めの進学先なので、ぜひ、チャレンジしてください。

佐藤 カリキュラムがしっかりしているので、高1くらいまでは授業を復習していれば、きちんと学力が身についていきます。先生からのフォローも手厚いので、安心できる学校です。ぜひ、受験を考えてみてください。

《学校のプロフィール》

八王子学園八王子中学校・高等学校

所在地 〒193-0931 東京都八王子市台町4-35-1

     JR中央線「西八王子」駅より徒歩5分

TEL 042-623-3461
H P www.hachioji.ed.jp/ 別ウィンドウが開きます。

《Information》

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。

https://www.hachioji.ed.jp/junr/exam/session/

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