受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校File

(「22年11月号」より転載/22年10月公開)

東京農業大学第一
高等学校・中等部

所在地:〒156-0053 東京都世田谷区桜3-33-1
小田急線「経堂」駅より徒歩15分
東急世田谷線「上町」駅より徒歩15分
TEL:03-3425-4481
www.nodai-1-h.ed.jp

理科を中心に体験重視の教育を展開
「知耕実学」で本物の学力を育てる

 本物・実物に触れる実学を通して、「知」を耕し深めていく「知耕実学」を教育理念に掲げる東京農業大学第一高等学校・中等部。理論の学習と実践を繰り返し、本物の学力を身につけるとともに、学ぶ楽しさを見いだす実学教育を展開しています。来秋以降には新校舎が完成し、設備面がより一層充実する予定です。大学との連携も活発な同校の教育の特色について、今春校長に着任された幸田諭昭先生に伺いました。

実験・観察に重点を置く理科教育
大学施設を利用できるメリットも

広野 東京農業大学の付属校として1950年に創立された歴史ある学校です。現在はどのような教育を行っているのですか。

幸田 本校の教育理念「知耕実学」は、本物に触れる実学を通して「知」を「耕す」という意味を持ちます。これは実学教育を推進する東京農業大学の精神を引き継ぐもので、この理念を今もあらゆる教育活動に生かしています。さまざまな体験活動や、多様な学びから興味を引き出す「一中一高ゼミ」など、生徒が主体的に取り組むプログラムはその象徴といえます。

広野 前任の東京都立立川国際中等教育学校では、国際教育に力を入れてこられました。

校長 幸田諭昭 先生

幸田 学校にはそれぞれ個性があり、立川国際は文字どおり国際教育に特化した学校でした。その経験を生かしつつ、本校の理念と個性を大切にした教育に取り組んでいるところです。

広野 以前から理科教育には定評があります。

幸田 中等部の理科の授業は週4コマですが、その半分を実験や観察が占めます。基礎知識や理論の習得はもちろん、実践と考察を繰り返すことで、科学的な手法やデータの取り方・分析から論理的な思考法や論文の書き方まで学習していきます。

広野 隣接する東京農業大学の付属校であるメリットも大きいのではないでしょうか。

幸田 最先端の研究を行う大学の施設を利用できるのは大きなメリットです。たとえば中1の稲作体験では、大学の専用農場で田植えから稲刈りまで一連の米作りのプロセスを経験します。さらに中2では大学の研究施設を利用して、大学の先生や大学生のサポートを受けながらお米を科学的に検証します。中3ではみそ作りに挑戦しながら、大豆の化学変化(発酵)を体験します。専門家に学ぶ貴重な経験だと思います。

広野 充実した施設を活用して、実体験から農業や科学を学べるのは魅力ですね。

思考のプロセスを身につける学び
実践の場になる新校舎が来秋完成


自分でさばいた新巻鮭と自分で収穫した野菜がいちばんのお土産になりました

広野 新校舎の建設が始まっていますね。

幸田 2023年秋に1棟目が完成し、2025年にはすべての校舎が完成する予定です。新校舎では「サイエンスストリート」というかたちで理科実験室を充実させ、最新の設備を整えます。また、生徒たちがもっと読書に親しめるよう、図書館設備も拡充する予定です。

広野 サイエンスを重視し、多くの実験を経験させて科学の芽を育てる教育環境は、今後ますます重要になりますね。

幸田 科学教育は本校の大きな柱です。理科には仮説を立てて実験し、考察して発表するという思考のプロセスが必要です。中学のときにそこをしっかり鍛えておきたいのです。だからこそ授業では多くの実験を取り入れていますし、そのための設備は新校舎の建設でさらに充実させます。もともと理系に興味を持って入学する生徒が多いこともあり、本校の生物部の部員は100名を超えています。授業はもちろん、こうしたクラブ活動においても充実した施設・設備があることは大いにプラスになるでしょう。

広野 学校選択の際に重視される英語教育やグローバル教育には、どんな特徴がありますか。

幸田 英語の授業は習熟度別に少人数クラスで行い、基本はオールイングリッシュで行うのが基本です。中1の夏休みには5日間、大学施設を使ったイングリッシュキャンプを実施します。中2では河口湖で6泊7日の英語漬けの宿泊研修も行っています。そのほか、中1から受講できるオンライン英会話や、中3でのオーストラリア夏期海外研修など、希望者を対象にしたプログラムも充実しています。オーストラリア夏期海外研修ではファームステイをしながら文化体験できるのが特徴です。

本物に触れる体験と学力向上で
「夢の創造と実現」をサポート

広野 学校行事も非常に多彩ですね。

サピックス小学部
教育情報センター本部長
広野 雅明

幸田 9月には中3の北海道自然体験研修があり、東京農大のオホーツクキャンパスがある網走などで自然体験や文化体験に取り組みました。たとえば、サケの生態について学んだ後、大きなサケを1人1匹ずつさばいて新巻鮭を作るなど、貴重な学びをわたしも一緒に経験してきました。この体験をそれだけで終わらせてほしくはないですね。ぜひとも、思考のプロセスに結び付けてほしいと考えています。

広野 最近の大学進学実績はいかがでしょうか。

幸田 進学実績は着実に伸びてきましたが、さらに上をめざす大学受験対策を行っているところです。たとえば、今年度からは高3生対象の自習室を日曜や祝日にも開放することにしました。いつでも勉強に取り組める環境を整えています。

広野 東京農大に進学する生徒の割合はどれくらいなのですか。

幸田 今春、専願で進学した生徒は十数名です。推薦による内部進学が可能なので、最初から東京農大をめざす生徒もいますが、外部の難関大学を選ぶケースがほとんどです。

広野 付属校というよりは中高一貫の進学校ととらえたほうがいいですね。一方で理系大学に内部進学できる仕組みがあるのは安心材料になると思います。また、数年後には付属小学校の生徒が中学に入学します。中学入試にも影響がありますか。

幸田 2019年4月に開校した東京農業大学稲花小学校は各学年2クラスで、現在4年生までそろいました。その卒業生が2025年4月から本校に入学予定なので、それ以降のクラス編成やカリキュラム、中学入試の定員などの詳細は来春までに公表する予定です。

広野 それでは最後に、受験生と保護者の皆さんへメのッセージをお願いします。

幸田 本校は「知耕実学」の教育理念に基づいて本物に触れ、考えて、判断して、表現していく思考のプロセスを踏む活動が非常に多い学校です。さまざまな活動を通じて本物の学力を身につけていきます。「夢の創造と実現」を教育目標に掲げる本校でぜひ夢を見つけ、その実現に挑戦してください。

Information

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
https://www.nodai-1-h.ed.jp/?page_id=16

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