受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校File

(「22年12月号」より転載/22年11月公開)

共立女子
中学高等学校

所在地:〒101-8433 東京都千代田区一ツ橋2-2-1
東京メトロ半蔵門線、都営三田線・新宿線「神保町」駅より徒歩3分、東京メトロ東西線「竹橋」駅より徒歩5分、JR「水道橋」「御茶ノ水」駅より徒歩15分
TEL:03-3237-2744
www.kyoritsu-wu.ac.jp/chukou/

「共立リーダーシップ」を発揮し、
チームに貢献できる女性をめざす

 教育界の先覚者34名によって、1886年に設立された共立女子職業学校を母体とする共立女子中学高等学校。他者との協働を重視する校風は、設立当初から脈々と受け継がれており、現在も「東京一出会いの多い女子校」として、多様性を尊重した教育を行っています。長い歴史を持つ伝統校でありながらも、新しい試みも積極的に取り入れる柔軟な教育内容について、今年4月に校長に就任され、ご自身も同校卒業生である前田好子先生に伺いました。

小笠原流礼法や伝統芸能を重視した教育で
他者への気遣いや文化への理解を深める

校長 前田好子 先生

広野 創立136年という長い歴史のなかで、卒業生が校長に就任されたのは前田先生が初めてと伺いました。ご自身の在学時と今とを比べて、お感じになることはありますか。

前田 わたしが本校に入学したのは、ちょうど50年前です。当時から、小笠原流礼法をはじめとする情操教育に熱心な学校でしたので、今も変わらずに励んでいる生徒たちの姿を見ると、懐かしい気持ちになります。礼法の授業は、中学3年間は2週間に一度。その積み重ねによって、日常の何げない所作や、相手への気遣い、慶弔や面接のマナーなど、TPOをわきまえた適切な立ち居振る舞いが身につきます。

 また、日本の伝統芸能に触れる機会が多く用意されているのも昔から変わらない特色の一つです。たとえば、芸術鑑賞会では、校内で狂言の舞台を鑑賞するほか、部活動のなかにも「能楽部」を設け、能楽師の方を招いて、生徒たちに指導していただいています。そのほか、華道の4流派(古流・小原流・草月流・池坊)も選択制の課外講座として開講。時代が変わっても、多くの生徒たちが日本文化の価値を理解し、受講を希望してくれることをうれしく思っています。

広野 今も昔も伝統教育を大事になさっているのですね。留学や進学で海外に出た際には、自国の伝統文化をきちんと発信できることが強みになります。その意味でも、日本文化に触れる機会がたくさん用意されていることは、生徒たちの大きな財産になりますね。

自分の強みをチームワークに生かす
21世紀型のリーダーシップを実践


美術はまず中1でデッサンや色彩など、基礎からていねいに学びます。油絵などの古典技法とMacを使ってのCG制作を両方体験します。高校の芸術では工芸も選択でき、美大志望者向けに美術演習の授業もあります

広野 都内の女子校でも屈指の生徒数を誇る貴校ですが、どのような点を重視していらっしゃいますか。

前田 1学年約330人と、さまざまな個性を持つ生徒が集まる学校ですので、「東京一出会いの多い女子校」をキャッチフレーズに、多様性を尊重した教育を行っています。もともと本校は、立場や専門の異なる34名の手で設立された学校であることから、「それぞれの強みを生かし、チームで目標を達成する」という精神が校風に根づいています。その精神を、今年から「共立リーダーシップ」ということばに言語化し、学園全体で実践に向けた取り組みを始めました。

 「共立リーダーシップ」が意味するものは、それぞれが強みを生かしながら、チームに貢献する21世紀型のリーダーシップです。共立女子大学ビジネス学部の必修科目「リーダーシップ開発」のフレームワークを応用し、中学生向けにアレンジしたものです。具体的には、他人からのフィードバックをもとに、自分と友人の強みを知り、それをチームにどう生かすかを考えるというもの。まずはゲーム感覚のグループワークを通じて、「共立リーダーシップ」への理解を深めてから、課題解決学習に取り組みます。

 来年度からはそれを発展させて、高2の探究の選択授業で、企業と連携した課題解決プログラムも開始します。自分の強みを発揮することで、自分も周囲も心地よく過ごせる。そんな組織を作れる女性になってほしいと思っています。

英語教育ではアウトプットを重視
海外大学に挑戦しやすい土壌づくりにも注力

サピックス小学部
教育情報センター本部長
広野 雅明

広野 英語教育にも熱心に取り組んでいらっしゃいますね。特色ある取り組みについて教えてください。

前田 昔ながらの文法教育も大切にしつつ、特に中学3年間はアウトプット中心の授業を行っています。校舎地下には、ネイティブ教員が常駐する英語教育施設「ランゲージスクエア」を設け、英語で映画やニュースを見たり、ネイティブ教員と雑談したりと、気軽に英語に親しむ場として開放しています。また、PC教室でのオンライン英会話や、多読の教材も充実させ、さまざまな角度から英語力を磨くことを重視しています。

 ようやく社会情況も落ち着いてきたので、今年から、高1を対象に東京グローバルゲートウェイ研修を開始しました。来春には、アメリカ、オーストラリア、シンガポール、イギリスから行き先を選ぶ、約2週間の語学研修プログラムも再開を予定しています。

広野 ICT教育に関しては、どのように取り組んでいらっしゃいますか。

前田 1人に1台のiPadを貸与し、日々の授業に活用しています。また、WindowsとMacに分けた、2室のコンピュータールームがあるので、目的によってパソコンを使い分けたり、MacとiPadを連携させて作業効率を高めたりと、生徒たち自身で使い方を工夫しています。常駐のICT支援員2名と助手2名もいますので、困ったことがあればすぐに質問できる環境も自慢の一つです。

広野 英語教育のみならずICT教育にも手厚いフォローが用意されているのですね。さて、卒業生の進路として、近年の特徴や傾向に変化はありますか。

前田 理系比率の伸びが顕著であることが挙げられます。それに伴い、医歯薬系や理工系に進学する生徒が増えました。また、今年度からは海外大学推薦入試制度を設け、海外大学に挑戦しやすい土壌づくりに努めているところです。

広野 多様な進路をサポートしているのですね。最後に受験生に向けてメッセージをお願いします。

前田 わたしもかつて、共立の先生方にそうしていただいたように、本校の生徒たちには、卒業後も自分らしく生きるための「種」をまいてあげたいと思っています。その「種」は、自分の強みとなり、他者への貢献を通してまた自分に返ってくることになります。まさに「共立リーダーシップ」の精神に通じるものです。女子の伝統校と聞くと、堅苦しいイメージを持たれるかもしれませんが、けっしてそのようなことはなく、生徒たちは伸び伸びと学校生活を楽しんでいます。伝統を大切にしながら、新しい試みを積極的に取り入れた柔軟な教育を実践しています。興味のある方はぜひ一度、足を運んでいただきたいと思っています。

Information

学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
http://www.kyoritsu-wu.ac.jp/chukou/exam/opencampus/

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