受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

スクール情報

(2017年10月公開)

慶應義塾普通部 第89回労作展 9月23日(土・祝)・24日(日)

持てるかぎりの力を尽くした力作を披露。1年生の展示に注目集まる

制作者自身の等身大の骨格模型。小学生たちは自分の背丈よりも大きな模型に驚きます  慶應義塾普通部を代表する行事といえば、この「労作展覧会(労作展)」です。生徒がみずからテーマを見つけ、創作や研究に打ち込み、その成果を展示・発表するもので、1927年から始まり、受け継がれている伝統行事です。

 今年の労作展は、9月23日と24日の両日開催されました。編集部が訪れた初日は、前日に降っていた雨も早朝には上がり、過ごしやすい陽気となりました。開門予定は10時ですが、その少し前から、校舎の周辺は在校生の家族や、普通部の受験を考える小学生とその保護者の方などで、大変なにぎわいを見せています。

 各教室には、生徒たちが長い時間をかけて制作した力作が所狭しと並んでいます。国語、社会、数学、理科、英語、音楽、書道、美術、技術・家庭、保健体育の各教科からテーマを選べるとあって、作品の形態は、絵画や書をはじめ、写真、彫刻、工作、論文、小説など実にさまざま。創造性あふれる見事な作品の前では、小学生から「すごい! ぼくもこういうものを作りたい!」という声も聞こえてきます。

 特に混雑を見せていたのは、1年生の展示教室です。短い制作期間にもかかわらず、ていねいに描かれた絵画、等身大の鎧(よろい)や人体骨格模型など、その集中力と努力には感服するものばかり。猫をモチーフにした大きなモザイクアートでは、その美しさとリアルさに、近づいて見てみると、モザイクの1枚1枚が小さな猫の写真になっていることに驚かされます。作品の横に添えられている制作日誌によると、写真は飼い主を待つ捨て猫たちであるとのこと。作者は、猫への思いから各地にある捨て猫のシェルターを巡り、現状をレポートしています。

 展示作品を見るだけでなく、こうした制作日誌を読むことも来場者の楽しみの一つです。すべての作品に添えられた日誌には、その作品を作ろうと思った動機や制作の過程で苦労した点、材料の調達方法、取材の様子などが、文章や図、写真などで事細かに記されています。

開場予定時刻の10時前には門が開き、多くの人々が見学へと向かいます リアルな猫のモザイクアート。モザイクの1枚1枚がみずから取材・撮影した捨て猫たちの写真です 添えられたレポートには作品の意図や制作過程が事細かに書かれています

前年のテーマを引き継ぎ、さらに内容を発展。招待試合などの部会活動発表も。

児童文学の「ズッコケ三人組」シリーズの町を再現した模型作品。起伏のある地形や鉄道など、作品の世界が伝わってきます  各教科から優秀と認められた作品には、先生方から「賞」が与えられていますが、来場者による評価も受けたいという生徒たちの思いから、気に入った作品に投票するアンケート用紙を配っている教室もあります。小学生たちの人気を集めていたのは遠くからでも目立つ作品。自画像をポップアートで和紙に描いた鮮やかな絵画や、児童文学「ズッコケ三人組」シリーズの町を創り上げた大きな立体模型などに、思わず近寄っていきます。一方、保護者たちは、トランプ大統領を考察したレポートや、日本史の研究論文などにも興味があるようです。どの作品も実にレベルが高く、個性にあふれ、なかなか甲乙は付けられません。

武田信玄の築城術を調査して考案した架空の城の模型。昨年に引き続き、「土の城編」と題し、ますます考え抜かれた設計となっています 化学の会が行った演示実験には大勢の小学生たちが集まりました  2年生、3年生の展示教室には、前年までに取り組んだ作品の成果を引き継ぎ、同じテーマでさらに踏み込んだ内容にした作品を見ることができます。1年生のときに、歴史上の名城を研究し、自分の城を設計した生徒は、2年生の今年、「土の城編」と題し、少ない兵力で守り切れる城を考案。武田信玄の築城術を知るために取材旅行なども行い、昨年よりさらにリアルな模型を完成させました。

 こうした展示のほかにも、労作展期間中の催し物として、化学の会の化学実験、音楽科・音楽部のコンサート、演劇・映画の会の演劇公演、運動部の招待試合や武道系の部の演武など、部会活動の発表も行われています。地理・GIS(地理情報システム)研究会が行った電車の運転体験や鉄道クイズ、棋道研究会の将棋体験などには、小学生たちが楽しみながら参加しています。また、選択授業の作品や国際交流の様子なども展示されており、保護者の関心を集めていました。

 労作展のモットーは「一生が変わる追求がある」。身近なことをテーマにしながらも、中学生とは思えない技術と知性、豊かな感性にあふれた作品を見ると、将来その道に進めば、第一人者として活躍できるのではないか、と想像させるものも少なくありません。同時に制作日誌からは、最後まで粘り強く取り組む生徒たちの姿勢に感嘆させられます。普通部生の熱意と実力を知ることができた小学生たちは、同校へのあこがれをますます強く抱いたことでしょう。

棋道研究会の将棋体験では、在校生たちが小学生と対局。保護者も一緒になって次の一手を考えています 合気道部の演武会。生徒が技の説明をしながら、日ごろの鍛錬の成果を披露しました 第2グラウンドでは、野球部が青山学院中等部との招待試合を行っていました

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