受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

スクール情報

(「18年11月号」より転載/18年10月公開)

慶應義塾普通部 第90回労作展 9月23日(日・祝)・24日(月・振休)

情熱と創造性あふれる作品が勢ぞろい

9時半を過ぎるころから門の前には列ができ、予定時刻の10時より前に開門となりました

 慶應義塾普通部の「労作展(労作展覧会)」が、9月23日と24日の両日に開催されました。今年で90回目となるこの伝統行事は、生徒がみずからテーマを見つけ、創作や研究に打ち込み、その成果を発表するものです。

 編集部が訪れたのは2日目の24日。教室には、生徒たちの創造性にあふれた力作が所狭しと並べられています。生徒は取り組みたいテーマを自由に決めます。このため、通常の教科の枠に収まりきらない取り組み、たとえば「モンゴル語の研究」なども行われます。来場者は、自分の興味を引く作品を見つけると、添えられている制作日誌にも手を伸ばします。

 日誌には、作ろうと思った動機や制作の過程、苦労した点、材料の調達方法などが、図や写真などで事細かに記されており、思わず読み入ってしまう保護者の姿も。「こうやって作ったのか、すごい!」といった感嘆の声も聞こえてきます。

本館1階ギャラリーで行われた書道と美術の選択授業作品展示。秀作の周りに人だかりができています

 労作展は、福澤諭吉のことば「高尚の理は卑近の所にあり」の下にあります。これは、まず自分の身近にあるものについてきちんと考え、扱うことが、高次元の真理に到達するための第一歩、という意味。根気良く作り上げていく過程を大切にしているため、制作日誌も評価対象となっています。

自画像のモザイクアート。モザイクの一つひとつが自分の肖像写真です

 特に小学生の関心を集めていたのは、1年生の展示教室です。入学してまだ半年という、短い制作期間にもかかわらず、ていねいに作られた完成度の高い作品がたくさんあります。鮮やかな大漁旗は、その大きさでも目を引きますが、近づいて見ると見事にグラデーションがかけられた染め物に仕上がっています。また、古代ローマのコロッセオの立体模型は実にリアルで、石造りの雰囲気を見事に表現。どうやって作られているのかと制作日誌を開いてみると、小さなブロックパーツを紙粘土で毎日こつこつと作り続け、それを一つひとつ積み上げたものとのこと。根気を要する作品であることがわかります。

 子どもたちが大きな模型や絵画に集まる一方で、大人たちは英文翻訳や研究論文にも目を通しています。過去の地震や活断層を調べて専門家に話を聞き、将来の地震予測をまとめた論文では、断層が保存されている公園に足を運んだときのレポートや、専門家とやり取りしたメールなど、大人が読んでも興味深い内容に仕上がっています。

目路はるかホールで行われた音楽科のコンサート。ピアノやバイオリンなどの個人演奏も披露

 こうした展示のほかにも、音楽科と音楽部のコンサート、演劇・映画の会の公演、運動部の演武や招待試合など、さまざまな発表や催し物が行われています。音楽科のコンサートには大勢の来場者が詰め掛け、会場となった目路はるかホールは超満員。ステージで臆することなくクラシックの名曲を弾きこなす生徒の姿に、会場からは大きな拍手が送られました。

 「一生が変わる出逢いもある」との位置づけで行われる労作展。この研究をもとに、学会発表へと発展していったものや外部で賞を受けたものもあるとのこと。来場者たちは、技術と知性、創造性あふれる作品に、普通部生の将来の可能性や才能を感じたことでしょう。

紙粘土の石で積み上げられた古代ローマの遺跡コロッセオ。内部までていねいに作られており、石作りの質感まで伝わってきます アコヤ貝のモザイクアート。きらきらと独特の色を放ち、見る角度によっても印象が異なります 手染めの鮮やかな大漁旗。波やヒレにはきれいなグラデーションがかけられています
作品に添えられている日誌には、制作過程が絵や写真で記されています 歴代のロシアの宇宙船を調べた作品は、膨大なレポートのみならず、宇宙船を描いたアート作品にもなっています 演奏できるものや、ビー玉を転がして遊べるものなど、体験型の作品は子どもたちに大人気
「星と石の会」による化石や鉱物の展示。コレクションのほかにも、生徒たちが採取した貴重な石が並べられています 校庭で行われていたラクロスの練習と体験会。中学では珍しい部活とあって、大勢の来場者が見学 合気道部の演武会。生徒が技の説明をしながら、日ごろの鍛錬の成果を披露しています

ページトップ このページTopへ