受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

スクール情報

(19年10月公開)

慶應義塾普通部 第91回労作展 9月22日(日)・23日(月・祝)

長い時間を費やした創作や研究の成果を披露

9時半を過ぎるころから門の前には列ができ、予定時刻の10時より前に開門となりました

 今年で91回目となる慶應義塾普通部の「労作展(労作展覧会)」が9月22日と23日の両日に開催されました。労作展は、生徒がみずからテーマを見つけ、夏休みを中心に創作や研究などに打ち込んだ成果を展示・発表するものです。

 編集部が訪れたのは2日目の23日。教室には、生徒たちが長い時間をかけて制作した力作が所狭しと並び、あちらこちらから「こんなに小さなところまで、ていねいにできているよ」「すごい迫力だ」といった感動の声が聞こえます。作品の形態は絵画や書をはじめ、写真・彫刻・工作・論文・小説・音楽など実にさまざま。芸術科目とともに学術研究も大事な柱となっており、フランス語やスペイン語など、教科の枠に収まらない作品もあります。

ブリューゲルの傑作「バベルの塔」に感銘を受け、その世界観をモザイクアートで再現。奥深い不思議な魅力が表現されています

 1年生の展示教室では、入学してまだ半年という短い制作期間にもかかわらず、努力と工夫を重ねてつくり上げられた力作に、受験生と保護者たちの関心が集まっています。段ボールで作られた恐竜模型は、今にも動き出しそうなほどリアル。また、アクリルケースの中に並んだ鉛筆には、よく見ると、芯に細かく彫刻が施されており、小さな作品を見逃すまいと人だかりができています。

「小さな命」と題し、以前から興味を持っていた恐竜の誕生の瞬間を段ボールで制作。今にも動き出しそうなほどリアルです

 体験型のコンピューターゲームやパズル、動かすことのできる模型などには子どもたちが集まっています。一方、論文やレポートをじっくりと読んでいるのは、中学受験を控えた小学生や大人たちです。

 来年開催される東京オリンピック・パラリンピックをテーマにした作品にも注目が集まっていました。パラリンピックの魅力をまとめたレポート展示では、ブラインドサッカーを実際に体験したり、水泳選手にインタビューしたりしてまとめた記事が写真とともに壁に張られ、大勢の人が読み入っていました。

姫路城をモチーフにした切り絵は1枚の黒い紙から2作品が完成。モノクロアートを追及したいという作者の思いが伝わってきます 混雑している1年生の展示教室。作品だけでなく、制作日誌にも関心が寄せられています 鉛筆の芯を削って作られた小さなアート。ルーペが置かれていて拡大してみることもできます

部活動や選択授業の展示・作品にも注目

目路はるかホールで行われた音楽科出品者コンサート。ライブ会場のように観客に囲まれながらも、堂々たる演奏を披露します

1年生で取り組んだ書道に2年目も挑戦。前回作のときに受けた指導を意識しながら練習を重ね、今年は特別展示の評価を獲得

 来場者は、展示作品のなかから自分の興味をひくものや、各教科で優秀作として評価され「賞」が与えられた作品を見つけると、添えられた制作日誌にも目を通しています。労作展の意義は、「普通部生一人ひとりが自分自身の頭や手足を使い、持てる力を注ぎ、ひと夏(あるいは1年)の時間を費やし取り組んだ成果を披露する場」(パンフレットより)であるため、制作日誌にはテーマを選んだ動機から完成に至るまでの途中経過が、写真やイラストを添えて、事細かに記されているのです。制作日誌は作品の評価対象にもなっています。

 2年生、3年生の展示教室では、前年までに取り組んだテーマを引き継ぎ、さらに完成度を高めた作品を見ることができます。1年生から練習を続けていた書の作品では、今年は「賞」のみならず、期間終了後も特に優秀な作品として校内に展示される「特別展示」の評価を獲得。2年生でヨーロッパの古楽器制作に挑戦した生徒は、今年はなんとスピネット(小型のチェンバロ)を制作。来場者たちは、まずスピネットの見た目の美しさに驚き、次に鍵盤をたたいて独特の音色を確かめています。

手作りのスピネット(小型のチェンバロ)。1年間を掛けてひとつひとつの部品調整や塗装作業などを行い、見事な音色の楽器が完成

 労作展の見どころは作品発表だけではありません。期間中は部活動の発表も行われています。星と石の会の展示や科学実験、棋道研究会の将棋体験、演劇・映画の会の演劇公演、音楽科・音楽部のコンサート、運動部の招待試合などがあります。また、選択授業の作品やオーストラリア・フィンランドの国際交流プログラムのレポートなども展示され、保護者の関心を集めていました。

 福沢諭吉のことば「高尚の理は卑近の所にあり」の下に行われる労作展。そのことばの意味である「まず自分の身近にあるものについてきちんと考え、扱うことが、高次元の真理に到達するための第一歩である」との考えにふさわしい作品の数々に、来場者たちは普通部生の可能性や才能を感じたことでしょう。

国際交流プログラムの展示コーナーには、参加した生徒たちによる現地での体験や感想を読むことができます 剣道部の公開試合。迫力ある素早い動きと体育館中に響き渡る竹刀の音に、来場者から大きな歓声がわいています 本館1階ギャラリーでは書道と美術の選択授業作品を展示しています

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