個性や弱点を十分に理解したうえで、
生徒の要望に応える指導を徹底
校長 冲永 寛子先生
建学の精神に「努力をすべての基とし、偏見を排し、幅広い知識を身につけ、国際的視野に立って判断のできる人材の育成」を掲げる帝京大学中学校・高等学校。校長の冲永先生は、「本校は、主体性を高める教育を実践し、みずから考え、行動できる、心身ともに健康な生徒を育てています」と話します。
そんな同校の特色の一つが「少人数教育」です。中学では1クラスの人数は30名程度で、1学年に4クラスありますが、数学と英語については、さらに習熟度別授業を実施しています。高校から入学した生徒が一貫生に合流する高2からは、志望別コースのクラス編成となり、主要教科の大部分で分割授業を展開。英・数・国は進路別や一貫生・高入生の進度別に、理科・地歴・公民は選択科目別の授業になるので、いずれも10〜20名という少ない人数で落ち着いて学べます。
また、クラスは担任と副担任の2名で受け持ち、個別面談も随時実施するなど、生徒や保護者とじっくり向き合う時間も大切にしています。「教員が日ごろから生徒に気を配り、それぞれの個性や弱点を十分に理解したうえで、生徒の要望に応える手厚い指導を行っています」と冲永先生は語ります。
自学自習の姿勢を養う
充実の学習サポート体制
学習面については、自学自習の姿勢を養うことに力を入れています。宿題や予習のやり方、授業に臨む姿勢なども細やかに指導する一方で、中1・2生に対しては、毎日始業前に「朝講座」を実施。英単語、数学、漢字の小テストを行い、合格点に達しない生徒には再テストや補習を課しています。さらに、定期考査の2週間前からは「学習計画表」作りにも取り組ませ、目標から逆算して学習に取り組む自己管理能力を培っていきます。
また、意欲的な生徒を後押ししているのが、長期休暇中の講習です。たとえば夏期講習は、中1から高2までは英・数・国を中心にした講座を約10日間にわたって行います。高3については、理科・地歴・公民を加えた6教科の講座を40日間にわたって開講。生徒たちも積極的に受講して、実力を伸ばしています。夏期講習は、年度を追うごとに講座数が増え、高3は約100講座を開くまでになりました。加えて、講習の日の午前中に生徒から「こんな講座もやってほしい」との相談を受けて、その日の午後に希望に沿った特別講座を開くこともあるとのこと。生徒の要望に柔軟に対応する面倒見の良さが、同校の特徴といえます。
車いすバスケットボールに挑戦した新入生。体験を通じて多様性への理解を深めていくのも同校の教育の特徴です
自然との共生をテーマに、新入生は敷地内の竹林で仲間と協力しながらタケノコ掘りを体験します
人間力や協働力を高める機会を用意
将来を強く意識させる進路指導
●2018年度大学群別合格者数
[既卒生含む]
国公立大学 | 計52名 |
東京大学 |
6名 |
一橋大学 |
2名 |
東京工業大学 |
5名 |
その他国公立大学 |
39名 |
早慶上智・MARCH・東京理科大 | 計343名 |
早慶上智 |
115名 |
MARCH・東京理科大学 |
228名 |
きめ細かい指導と併せて、豊かな人間性を培う機会や、協働力・表現力を磨く体験の場も数多く用意しています。たとえば、中1・2では「共生」をテーマに、車いすバスケットボールやブラインドサッカーといった障がい者スポーツを体験。多様性への理解を促すとともに、社会貢献の在り方についても深く考えさせています。
11月の邂逅祭(文化祭)も貴重な体験の場となっています。中1では「世界」をテーマに展示発表に取り組み、班に分かれて夏休み期間中から準備を進めます。生徒たちはチームで協働することを通じて、対話しながら一つのものを作り上げる楽しさを体感。また、グループワークへの参加により、友だちとの仲が深まって積極性が生まれ、ふだんの授業にも主体的にかかわるようになり、発言が増えるとのことです。
一方、生徒に将来を強く意識させるために、キャリア教育や国際理解教育にも注力しています。キャリア教育については、中2の時期を「自分の未来を考える1年間」と位置づけて、企業などを見学する「職業調べ」を実施。生徒たちは一人ひとりが見学したい企業や職業を調べ、アポ取りから、取材、レポート(職業新聞作り)まで自力で行います。また、帝京大学との連携を生かしたプログラムも展開しています。大学のキャリアサポートセンターなどによる進路講演会を開いて職業観・社会観を育んでいるほか、大学教員による教養講座も開いて、生徒の興味・関心の幅を広げています。
帝京大学医学部と連携し、「医師体験プログラム」(高2)を展開。救急救命実習などを体験します
国際理解教育については、高1でニュージーランド語学研修を実施。これは30年間続くプログラムで、現地では1家庭に一人ずつホームステイし、授業やアクティビティーを通して英語漬けの3週間を過ごします。
これに加えて今年度からは、中3生を対象とした「インテンシブ・イングリッシュ・キャンプ」が始まりました。このプログラムは、夏休み期間中に2泊3日で八王子にある教育研修宿泊施設に滞在し、ネイティブの講師と、近隣の大学で学ぶ外国人留学生と一緒に英語によるディスカッションやプレゼンテーションに取り組むというもの。英語の4技能を高めながら、多様な文化と価値観に触れることを目的としています。冲永先生は、「生徒たちの英語力向上に対する意識は高く、特に高1の中高一貫生については、約7割が英検®準2級以上を取得しています。インテンシブ・イングリッシュ・キャンプによって、この意識がさらに高まることを期待しています」と語りました。そのことばからは、さまざまな体験を通して、生徒一人ひとりの主体性を高めながら、「知・徳・体」をバランス良く育もうという同校の教育の一端がうかがわれます。
最後に冲永先生は、2019年度入試について、特待生の枠を拡充することを説明。「2月2日午前の第2回入試を『一般・特待選抜』(募集定員40名)として、合格者のなかで成績上位15名を特待生と認定し、入学金や施設費、授業料を免除します。自信のある受験生に、積極的に挑戦してもらえたらうれしいですね」と結びました。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。