受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

School Now

(「19年11月号」より転載/19年10月公開)

市川
中学校・高等学校

中2生を対象に「職場体験」を実施
将来について考えるきっかけに

 将来、自分はどんな職業に就くべきか−。ある側面において、学校での学びはその問いに対する答えを見つけるためのものといえるでしょう。中学・高校でキャリア教育を実施することが一般的になってきた今、より積極的な取り組みを行っているのが、市川中学校・高等学校です。2019年度は中2生を対象に職場体験を実施中。自分の希望する職場での体験をきっかけに、将来の夢や仕事について視野を広げた生徒もいるようです。

保護者の方々の協力を得て
11の企業や法人が参画

 2019年度、市川中では夏と冬の2回に分け、2年生全員を対象に職場体験を実施しています。その狙いについて、中学2年学年主任の吉田康彦先生はこう語ります。

 「中学生も社会の一員であるだけに、わたしたちは中学生のうちから社会を構成する者としての意識を育みたいと考えています。保護者の方々にもお願いし、生徒を受け入れてくださる職場を募ることにしました。その結果、11の企業や法人から協力を得ることができました。本校独自のプログラムで実施していただき、たいへん感謝しています」

 夏の職場体験は7月に延べ18回実施し、学年のおよそ半数に相当する150人ほどが参加しました。なかには三つの職場を体験した生徒もいるそうです。吉田先生は「冬にも同じ規模で実施する予定で、2年生全員に1度は何らかの職場を体験してもらおうと考えています」と話します。

(後列左から)山根彩子先生、宇佐美凛生くん(三井ホーム)、鈴木景介くん(市立市川歴史博物館)、弓野光毅くん(東京勤労者医療会 野田南部診療所)、池田幹央くん(日建設計)、吉田康彦先生
(前列左から)川﨑彩美咲さん(たんぽぽ訪問看護ステーション 野田南部出張所)、日詰涼さん(千葉中央メディカルセンター)、小川凛乃さん(日本医科大学千葉北総病院)、城市明日香さん(千葉中央メディカルセンターなど)、林日菜子さん(東京城東病院)※生徒の氏名の後のカッコ内は体験した職場名

病院の厳しい現場を体験し
医師志望になった生徒も

 夏の職場体験に参加した皆さんはどんな理由で職場を選び、どんな気づきを得たのでしょうか。ここでは男子4人、女子5人に集まっていただき、お話を聞かせてもらいました。

 11の協力企業・法人のうち、五つを占めたのが医療関係です。男子で唯一、医療関係を選んだのは弓野光毅くんです。「医師って診察以外にどんなことをしているんだろうと興味を持ったのが、東京勤労者医療会 野田南部診療所を選んだきっかけです。外来の診察を見学したり、往診に同行したりしたのですが、医師が患者さんとコミュニケーションをとる際、患者さんが不安にならないよう明るく話していたことが印象に残りました」と振り返ります。

 この診療所の2階には、たんぽぽ訪問看護ステーション 野田南部出張所があります。「妹が訪問看護を利用したことがあるので、どんな職場か見てみたいと思いました。何人もの患者さんの家を訪問し、足湯の手伝いなどをしたのですが、看護師さんはずっと笑顔で明るく振る舞っていたので感動しました。将来の仕事の選択肢の一つになったように思います」と話すのは川﨑彩美咲さんです。

 日詰涼さんと城市明日香さんは千葉中央メディカルセンターを選びました。「病院の裏側を知りたかった」と言うのは日詰さんです。「印象的だったのは車椅子やストレッチャーに乗り、患者さんになったつもりで移動したこと。また、生命維持管理装置の操作や保守点検を受け持つ臨床工学技士という職業を知ることができたのもよかったです」。城市さんは「手術室や集中治療室(ICU)を見学したのですが、空気が張り詰めていました。命にかかわることの厳しさを実感したことにより、将来は医師として働いてみたくなりました」と力を込めます。城市さんは日本取引所グループと日建設計でも職場体験をした積極派です。

 病院という職場をもっと詳しく知りたいと、東京城東病院を選んだのは林日菜子さんです。「実は母がこの病院で医療ソーシャルワーカー(MSW)として働いています。院内をあちこち見学した結果、病院は医師や看護師、MSW、栄養士などのチームワークで回っていることがわかりました。将来はできれば医師になりたいです」

日本医科大学千葉北総病院にて。ドクターヘリをバックに

 テレビドラマ『コードブルー』をよく見ていたという小川凛乃さんが選んだのは、日本医科大学千葉北総病院。「ドクターヘリが有名なので興味を持ったのですが、そのヘリの中に入ることができて感動しました。医療に興味があるので、人を助けることのできる仕事をしたいですね。また、父が会社を経営しているので起業にも関心があります。今後もいろいろ体験したいです」

それぞれの思いで職場を選び
将来の夢が一層具体化

市川住宅公園にある三井ホームのモデルホームにて

 「家を建てるのが夢。建築に興味があったので三井ホームを選びました」と話すのは宇佐美凛生くんです。「職場体験では住宅展示場に行き、新人研修のようなことを行ってもらったのですが、モデルハウスを紹介する動画を作り、社員の方にプレゼンもしました。将来は建築士になるという気持ちが一層強くなりました」

 一方、組織系建築設計事務所の日建設計を選んだのは池田幹央くんです。「電子機器の設計の仕事をしている父から『設計といってもいろいろな分野がある』と聞かされていたので、まず建物の設計について体験できる会社を選びました。現場では物事をさまざまな角度から見ることの大切さを教えてもらいました。これからの勉強や進路選びなどに役立てたいと思います」

 市川市には市立博物館がありますが、「歴史が好き」という鈴木景介くんは、その一つの市川歴史博物館を選択しました。「何度か見学したことがあるのですが、今回は学芸員の方の解説つきで見られたのがよかったです。午後には史料整理を体験しました。学芸員という仕事が身近になったので、将来は学芸員として働きたいです」

「ムーンショット」の一環として
誰もが何らかの気づきを

職場体験に参加後、生徒が思い思いにつづった事後レポート。写真なども使用され、どれもわかりやすくまとめられています

 吉田先生によると、現2年生のスローガンは「ムーンショット」とのこと。今年はアポロ11号が人類初の月面着陸に成功してから50周年です。

 「月面着陸のような困難なことにチャレンジする取り組みを『ムーンショット』といいます。そうしたことができるだけの力をつけるためにさまざまな施策を行っていますが、職場体験はその一環です。社会での問題意識を実体験から感じてもらいたいと考えています。今後も続けていきたいですね」

 一方、事後レポートの取りまとめなども担当した山根彩子先生は「生徒のレポートを読むと、視野が広がった様子が伝わってきます。社会に対するとらえ方が変わった生徒も多く、今回の気づきをこれからの学校生活の糧にしてほしいですね」と話します。

 吉田先生と山根先生が口をそろえて「まずは成功だった」と語る夏の職場体験。2回目となる冬の取り組みはもちろん、来年以降も期待できそうです。

《学校のプロフィール》

市川中学校・高等学校

所在地
 〒272-0816 千葉県市川市本北方2-38-1
 JR総武線・都営新宿線「本八幡」駅、JR武蔵野線「市川大野」駅よりバスで各11分、「市川学園」下車。JRほか「西船橋」駅より直通バス20分(登下校時のみ運行)。京成本線「鬼越」駅より徒歩20分 TEL 047-339-2681
H P www.ichigaku.ac.jp 別ウィンドウが開きます。

《学校行事・公開行事のお知らせ》

学校説明会(要予約)
10月26日(土)  9:30〜10:30
11:30〜13:00
14:00〜15:30
2020年2月29日(土)
10:00〜11:30(現5年生以下対象)
スクールツアー(抽選制・各回定員35名)
各回10:00〜11:30
11月  2日(土)・9日(土)・30日(土)
12月  7日(土)

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