受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

School Now

(「19年12月号」より転載/19年11月公開)

スクールナウ 特別編

国本女子
中学校・高等学校

グローバル時代の新たな女子教育
「ダブルディプロマコース」が誕生

 創立77年を迎える女子教育の伝統校、国本女子中学校・高等学校では、画期的な学校改革が進められています。日本の中学・高校では初めてカナダのアルバータ州教育省と提携。現地の教育プログラムを導入することで、日本とカナダ両方の高校卒業資格が取得できる「ダブルディプロマ(DD)コース」を2020年4月に開設します。校長の島野英一先生と入試広報部長の石橋瑛先生に、新しいコースとその教育内容についてお聞きしました。

カナダ留学と同じ環境で学び
2か国の高校卒業資格を取得

サピックス教育情報センター
部長 広野 雅明

広野 グローバル化が急速に進み、大学入試も変革を迎えるなか、国本女子では来年度より日本とカナダ両方の高校卒業資格が取得できる「ダブルディプロマ(DD)コース」を開設します。大きな学校改革ですが、まずは新コース開設に至った経緯と意義についてお聞かせください。

島野 グローバル社会が到来した今日、女性の社会進出は当たり前になってきています。世界共通語となった英語を習得するとともに、創立者有木春来の理念の一つでもあるこれからのグローバル社会で活躍できる女性の育成を目指して改革を決断しました。英語はコミュニケーションツールとしてだけでなく、自己表現・自己実現のための大切な手段となっています。新しく開設されるDDコースでは、ニアネイティブレベルの英語力を身につけることはもちろん、アルバータ教育が重視する課題発見や問題解決型授業を通して、思考力・表現力・判断力を身につけ、自ら考え行動し、グローバル社会で活躍できる女性に成長することができます。

広野 提携先にカナダを選んだのはなぜですか。

島野 1990年代から世界各国で教育改革が始まりましたが、カナダはその先陣を切っていました。なかでもアルバータ州は教育水準が高く、州独自で先進的な教育プログラムを確立しています。これからの時代に必要な力を育てる学びがすべてそろった教育プログラムです。それを本校に導入すれば、生徒が主体的に学べるようになり、課題発見や問題解決型のアクティブ・ラーニングを含めたグローバル教育につながると確信しました。アルバータ教育省も日本の学校とは初めての提携ということで、熱心かつ好意的に取り組んでくれています。

広野 カナダは自然が豊かで治安が良いというイメージがあります。あこがれを持つ子も多いのではないでしょうか。

森上 あこがれはモチベーションアップにつながると思います。良い環境が整いますね。

広野 DDコースとはどのようなものか、その概要を教えてください。

島野 中学・高校と同じ校舎内に、「KAIS」(Kunimoto Alberta International School)を誘致・開校し、「DDコース」を開設します。DDコースの生徒は国本女子とKAISの二つの学校に在籍し、アルバータ州の教育プログラムに基づく、英語による授業を日本にいながら受講できるので、高校卒業時には日本とカナダの両方の高校卒業資格が取得できます。

 また、「リベラルアーツ(LA)コース」も併せて開設します。これは、総合的な教養を意味する「リベラルアーツ」という言葉どおり、文系・理系の隔てのない教科横断型・探究型の総合的な学びを通じて、幅広い進路選択を可能とするコースです。

左から森上 展安先生(森上教育研究所 代表)、島野 英一先生(国本女子中学校・高等学校 校長)
石橋 瑛先生(国本女子中学校・高等学校 入試広報部長)
広野 雅明(サピックス教育情報センター 部長)

中高6年間のプログラムで
英語力を飛躍的に伸ばす

国本女子中学校・高等学校
校長 島野 英一先生

広野 DDコースでは、具体的にどのような教育が行われるのですか。

島野 DDコースは、6年間の中高一貫コースとして開設され、「KAIS中学プログラム」と「KAIS高校プログラム」から構成されます。KAIS高校プログラムでは、すべての教科の授業がアルバータ州認定教員により英語で行われるため、それに対応できる英語力をKAIS中学プログラムで身につけます。

 KAIS中学プログラムで柱になるのは、「ELA(English Language Arts)」という授業です。これは日本の国語に相当するものですが、たとえば広告・ニュース・アニメなど、幅広い分野を題材に、英語を駆使した表現活動を行い、教科の垣根を超えた学びを深めるのが特徴です。

森上 英語力はどのように伸ばしていくのですか。

島野 中学の英語の授業は現在週6コマですが、DDコースでは週12コマに倍増させます。中1では、そのうち5コマをELAに充て、残り7コマのうち2コマは日本人教員による文法の授業を、5コマはネイティブ教員と日本人教員によるチームティーチングを実施します。特に「書く」「話す」というアウトプットに重点を置いて、4技能を徹底的に鍛えます。アルバータ州認定教員による授業についても、中1で5コマ、中2で8コマ、中3で10コマと増やし、KAIS高校プログラムにつなげていきます。

森上 着実に英語力が身につきそうですね。

島野 英語力は、中3でCEFR B1・英検®2級以上、高校ではCEFR B2・英検準1級以上に相当する洗練されたニアネイティブレベルの英語力を身につけることができます。

広野 中高6年間の一貫したプログラムだからこそできることですね。

島野 はい、本校は中高6年間のダブルディプロマコースです。アルバータ州教育省は、幼稚園から高校まで一貫した教育プログラムを持っており、国本学園に幼稚園と小学校がある点にも非常に関心を持っているようです。まず中高6年間でしっかり結果を示して、幼稚園や小学校にもつなげていきたいと思います。

広野 勉強はモチベーションが大切です。何のために勉強しているのかが目に見えれば見えるほど、子どもたちは一生懸命がんばります。国内にいても英語が必要になる時代に、こういうプログラムがあれば一生懸命がんばる動機になると思います。

島野 カナダは移民の国ということもあって、英語を母語としない人に英語を教えることがとても上手です。特に、アウトプットに重点を置いた4技能を鍛えていくことになります。

広野 日本の英語教育はこれまで「読む」「書く」が中心でした。今、求められている英語力とは大きく違いますので、カナダのプログラムを導入して勉強するということは斬新な試みですね。

島野 カナダの教育は、各州の教育省がそれぞれ担っていますが、特にアルバータ州は非常に熱心です。学校との結び付きも強いものがありますし、本校に対しても非常に協力的かつ好意的です。

森上 同じ目標を共有しようという方向性がはっきりしているので、大いに成果が期待できそうですね。先生は全員カナダから来るのですか。

島野 アルバータ州のライセンスを持った先生方を日本に招き、KAISのすべての授業を担当していただきます。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

多様性を受け入れグローバル社会で
活躍できる女性に成長するために

国本女子中学校・高等学校
入試広報部長 石橋 瑛先生

森上 ダブルディプロマを導入する学校は、ほかにもありますが、国本女子ならではの利点は何でしょうか。

島野 本校のDDコースは単に英語を習得することを目的としたものではありません。アルバータ教育プログラムにより、これからの多様化・複雑化する社会で必要とされる国際理解教育が受けられることです。世界の多様な文化や価値観をどちらが正しくどちらが間違っているという判断ではなく、違いが存在することを認識するとともに、異なる価値観を受け入れ、尊重しあう態度や考え方を身につけていくことが大切です。

 異文化コミュニケーションの分野で世界的に著名なミルトン・ベネット博士が提唱した「異文化感受性発達モデル」によれば、国際理解教育により異文化や異なる価値観を受け入れ尊重することが、言語の上達にもつながると考えられています。従来とはまったく異なる「言語、すなわち英語の学び方」と言えます。まさにそのとおりで、DDコースでは英語の上達にととまらず、国際理解力をしっかり身につけてもらおうと考えています。

広野 カナダの授業は、日本の授業とどう違うのでしょうか。

島野 レクチャー型ではなく、生徒たちが自分で考えて、互いに教え合ったり、発表し合ったりするいわゆるアクティブ・ラーニング型が中心で、先生はガイド役に徹しています。モノを作るという授業が多く、創造力を引き出すことが最大の特徴でしょう。日本では授業を真面目に受けていても、そこから飛び出していくような発想力はなかなか養われません。日本の生徒たちが目を輝かしてこうしたKAISの授業を受けることを今から楽しみにしています。

森上 カナダのアクティブ・ラーニングは相当進んでいます。聞く力、話す力も鍛えられるでしょうから、たとえば海外大学に入学しても、その力が十分に生かせるでしょうね。

石橋 演劇の授業では、生徒が集まって自分たちで劇をつくっていました。ここでも、先生はアドバイザー役に徹していました。

島野 本校には全国を舞台に活躍する吹奏楽部があり、生徒は自分たちでパフォーマンスを考えることを得意としてきました。その点も新しいプログラムに合っていると思います。

石橋 生徒が「こういうことをやりたい」と言ったときに、教員は「ノー」とは言いません。何とか実現できるようにサポートする校風が国本にはあります。また、他者を尊重する「眞心の発揮」という校訓も、グローバル社会で活躍するための協調性やコミュニケーション力の育成に大きくかかわってくると感じています。

 生徒には他者を尊重し、多様性を受け入れる女性になってほしいと考えていますし、国本は創立以来、そういう精神を受け継いでいます。新しいコース、プログラムともぴったりと一致する部分だと思います。

島野 DDコースの学納金は初年度が113万3600円です。英語の習得という意味では、海外留学やインターナショナルスクールに通わせる選択肢も考えられますが、こうしたケースと比較するとかなり割安と言えます。しかも安心・安全な日本でこうした教育を受けられることから、将来グローバル社会で活躍したいと考えておられる生徒さんにはぜひお薦めしたいコースとなっています。

広野 海外留学と比べると、保護者には治安・安全面はもちろん、費用面でも安心です。それでもやはり現地に行ってみたいという生徒さんは出てくるかもしれませんね。

島野 中3の夏に4週間、高2の夏に6週間、現地のサマープログロムに参加する研修制度を設けます。さらに、留学したいという生徒には1年間、カナダの提携校に留学できる制度を整えます。

森上 大学進学についてはいかがでしょうか。ダブルディプロマを取得すれば、カナダの大学の入学資格が得られると考えていいでしょうか。

島野 カナダの大学については、KAISの卒業資格で志願できます。米国や欧州については、国や大学により進学方法が異なりますが、DDコースで勉強していれば十分に対応できると考えています。カナダの高校生もカナダ以外の米国や欧州の大学に進学する生徒も多く、アルバータ州からやって来る先生方も豊富な知識・経験があり、海外大学への進学サポートは万全です。

森上 国内の大学に進学する場合はどうなりますか。

島野 DDコースでは中高6年間、大学入試に向けた特別な勉強は必要ありません。CEFR B2以上の洗練された英語力と、異なる価値観を受け入れ尊重し合う国際理解力を身につけた上で、日本とカナダ両方の高校卒業資格/ダブルディプロマを取得できれば、総合評価型に変わりつつある国内の大学入試でも非常に高い評価を得ることになるでしょう。国本女子とKAISの二つの学校の授業を6年間きちんと受講すれば、早慶上智・ICUレベルの国内難関大学に、AO、推薦、あるいは帰国生入試を利用して進学できることになります。

世界で活躍できる女性を育成
伝統ある女子教育も継続

森上教育研究所
代表 森上 展安先生

広野 まさに大きな教育改革が進行しているわけですが、一方で、これからも変わらない教育についてもお聞かせください。

石橋 日本人としてのアイデンティティーの一つに、礼節があります。国本の校名は、中国の古典「礼記」の「重礼所以為国本也」(礼を重んずるは国の本を為す所以なり)に由来します。創立から77年間守られてきた礼節を大切にする教育はこれからも変わりませんし、身についた礼節は敬意をもって受け入れられると思います。

広野 礼儀作法が身についていて、自然に振る舞えるのは大事なことですね。

島野 カナダには第二外国語として日本語を教えている高校もありますし、日本の文化や歴史に関心を持ち、リスペクトしてくれている人も大勢います。

石橋 国本では茶道・華道を授業に取り入れるなど、情操教育にも力を入れてきました。グローバルに活躍するには、日本人として日本の文化を理解し、それを説明する力も必要です。高度な英語力を身につければ、世界中の人々に日本の文化を伝えることができるでしょう。

広野 創立から一貫して女子教育に取り組んでいますが、女子校のメリットについてはどのようにお考えですか。

石橋 男性と女性の役割分担がないところが大きな利点だと思います。共学校ではどうしても男子がリーダーシップを取りがちですが、女子校では女子が活躍し、リーダーシップを取ります。一人ひとりが活躍できる場所が必ずあり、生徒それぞれにスポットライトが当たって自律性や積極性が育ちます。共学校では自分をさらけ出せなくても、女子校であれば「やってみようかな」と思える機会がたくさんあります。

森上 日本の教育環境では、どうしても子どもたちはおとなしくなりがちですが、カナダと同じ環境で学ぶことで、自ら考え、発言し、主張する積極的な人間に育っていってほしいと思います。わが子の成長を願う保護者の方にとって、そのようにお子さんが変わっていく様子を見るのは、とてもうれしいことではないでしょうか。

広野 人前で話したり、発表したりする機会は非常に大事ですね。

森上 授業を通じて英語で議論したり、プレゼンテーションしたりすることは、大きな財産になると思います。将来、仕事に就いてもそういった場が待ち受けている時代なので、ダブルディプロマのような教育プログラムはもっと早くから導入されるべきだったと思います。

広野 新しいコースができることで、学校の特長もはっきりしてきました。貴校のDDコースで学んだことは、たとえ海外大学に進学しなくても、将来、留学したい、グローバル企業に就職したいというときに、必ずプラスになるはずです。また、日本の伝統文化を学べることも魅力的だと思います。

島野 海外に出ていく人も増えていますし、国内にいてもグローバル化は進んでいきます。そういうなかでDDコースでは、日本人としてのアイデンティティーや価値観を身につけた上で、グローバル社会で活躍できる力も育てていきます。アルバータ州認定教員による授業などを通じて、生徒たちだけでなく、こちらの先生も大いに刺激を受けることとなり、互いに切磋琢磨し、レベルアップしていくことになると思います。

石橋 わたしは理科の教員ですが、ネイティブ教員と一緒に英語で理科実験をする取り組みを始めました。理科に限らず、研究者になると英語の論文を読まなければなりませんが、DDコースを卒業すれば、その点でも将来困らないと思います。

島野 DDコースを導入するにあたり、世界水準の教育プログラムを持ったアルバータ州教育省と提携できて本当に良かったと思っています。

 今までの中等教育とはまったく異なる日本の子どもたちの未来を約束する来年度からの新しい国本教育にご期待ください。皆さんのご入学をお待ちしております。

広野 ありがとうございました。

《学校のプロフィール》

国本女子中学校・高等学校

所在地
 〒157-0067 東京都世田谷区喜多見8-15-33
 小田急線「喜多見」駅より徒歩2分 TEL 03-3416-4722
H P https://kunimoto.education 別ウィンドウが開きます。

《学校行事・公開行事のお知らせ》

学校説明会(要予約)
11月23日(土・祝)10:00~

※入試体験会8:40~

12月15日(日)10:00~

※吹奏楽部クリスマスミニコンサートを実施

入試直前個別相談(要予約)
  1月15日(水)~31日(金)
Saturday English School(要予約)
11月23日(土・祝)14:00~
12月21日(土)14:00~

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