言語の5機能(聞く・話す・読む・書く・考える)を鍛錬し、
認知力・思考力・表現力を磨く「言語技術」
言語技術は応用範囲が広く、大学や海外留学、ビジネスといったさまざまな場面でスキルの活用が期待できます
グローバル化が急速に進む現代社会をたくましく生き抜くためには、国や文化を超越できるコミュニケーション能力が不可欠です。森村学園では、思いやりを基調とした日本人特有の表現文化を尊重しながら、世界基準である「言語技術」に取り組み、生徒たちの国際的な視野を広げ、世界で活躍する人材の育成をめざしています。
言語技術の授業は、『つくば言語技術教育研究所』と提携し、教材の提供や指導法の支援などの協力を受けて実施しています。欧米の母語教育で行われている、「聞く・話す・読む・書く・考える」の5言語の5機能をバランス良く伸ばす指導「Language Arts」をモデルとし、「物語の再現・要約・創作」「意見文・小論文」「テクストや絵画の分析」「さまざまな説明のスキル」「対話の技術・ディベート」などを体系的に学習します。
まず、生徒たちは、認知・思考・表現における普遍的な型を学びます。その型とは、「主題文+展開文+まとめ文」というパラグラフ構成です。基本的にこの三つから文章が成り立っているという点を十分に理解したうえで、「自分の意見をどのように組み立てれば相手に伝わりやすくなるか」「複雑な情報をどのような手順で分析・整理するとわかりやすくなるか」「意見文・説明文・報告文・小論文・物語文など、用途に応じて文章をどのように書き分ければよいか」を考えながら、高度なスキルを定着させていきます。
授業は中等部の3年間で計90時間程度。中等部での3年間の学習を終えたところで、生徒たちにアンケートを取ると「書きたいことを頭の中で整理できるようになった」「とっさの場合でも感想や意見をわかりやすく言えるようになった」などの回答があり、その効果を実感していることがわかります。
●言語技術カリキュラム例
問答ゲーム |
Qあなたは花火を見ることが好きですか?
世界に通用するパラグラフ構成(主題文+展開文+まとめ文)で意見を述べる訓練 |
空間配列の説明 |
Qフランス共和国の国旗を、ことばだけで相手が正確にイメージできるように説明してください。
伝えるべき大項目、小項目を整理し、さらに項目の説明順位を論理的に分析し、簡潔な説明文を構築する訓練
|
再 話 |
Q教員が1000~1600字程度の物語を2度読みます。読み終えたら手元のメモと記憶を頼りに、物語を忠実に再生してください。
集中して話を聞き、要点をメモしながら細部まで正確に把握し、それを忠実に言語化する訓練
|
丸 本 |
年間3冊の小説を取り上げ、本格的なテクスト分析を学ぶ。導入では「読書へのアニマシオン」を使って、本を深く読み込む姿勢を養う。読書の基本を身につけるとともに、全編から客観的な根拠を取り出しながら、キャラクター、テーマ分析に取り組む
|

言語技術~3年間の学習を終えて
(中3アンケートより)
・書きたいことを頭の中で整理できるようになった
・メモを取るのが速くなり、要点だけを書き出すことが得意になった
・とっさに感想や意見をわかりやすく言えるようになった
・物事を簡潔に説明できるようになった
・本を読んでいろいろと気づくことが多くなった
・要点を的確にまとめる力がついた
・言語技術で学んだことが自分の力になっていることがほかの教科の授業でわかる
未来志向型教育を支える
外国語(英語)教育・ICT環境
「外国語(英語)教育」の特徴は、6年間の英語学習を2年ずつ段階的にアプローチを発展させながら「聞く・話す・読む・書く」の4技能の習得を目指すことです。中1・中2では、英語を使えるようになることを目指す「コミュニカティブアプローチ」、中3・高1からは、より論理的に英語で考え、意見を述べる力を育む「ロジカルアプローチ」、高2・高3では、批判的・分析的に物事を捉え、自らの考えを発信でき、創造的で知的な英語の獲得を目指す「クリティカル・アナリティカルアプローチ」が指導の柱になります。2020年度の中1から「ルート別授業」が始まりました。入学前の英語学習歴に配慮し、海外製テキストを用いて「オールイングリッシュ」で学ぶルートと、ニュートレジャーを用いて基礎から学習するルートを選択できます。
さらに英語に磨きをかけたい生徒は、放課後に「イマージョンクラス」に参加でき、また海外大学を目指す高等部生用の講習もあります。
ICTの利用環境整備を急ピッチで進めております。本校では、デジタルシチズンシップを育むことを前提とした上で、生徒は各自で2in1PCを所有しています。Microsoft(Teams)をハブとした連絡事項を一元化し、授業動画の閲覧や課題等の配布回収、データ共有、PBL型授業、プレゼンテーション、オンライン面談等において活用しております。
「進路指導」「進学指導」の両輪で
多様な夢の実現をサポート
森村学園では、「進路指導」と「進学指導」を分けて考え、一人ひとりの成長に向き合いながら“高い志”を育んでいます。
中等部の3年間は「進路指導」に重点を置き、「みずからの進むべき道」を探ると同時に「学ぶ理由」に気づく手助けとなるよう、さまざまなプログラムを用意しています。中1の「創立者森村市左衛門研究」では、日米貿易の先駆者として幕末から明治・大正時代の日本経済界を支えた森村市左衛門翁の人生と建学の精神「独立自営」、校訓「正直・親切・勤勉」の真意について学び、「自分ならどのような方面で社会貢献ができるか」を考えます。中2では職業をテーマに、「職業調べ学習」を実施。職業調査や講演会、仕事体験などを通じて未知の世界を切り開きます。中3では事前事後学習を含めたニュージーランド修学旅行から見聞を広め、海外と日本の文化比較を行うほか、「自由課題研究」を通して興味のある分野を追究し、夢の方向性を考えていきます。
高等部の「進学指導」は、中等部の「進路指導」で定まった夢の方向性を実現するために、どのような学問をどの大学で追究すればよいのか、その大学への進学をめざして実力を向上させるには何をすべきか、教員のサポートを受けながら具体的な方策を考えるものです。
この「進学指導」の要は「豊かな学力」の育成であり、その原点となるのは“毎日の授業に中高6年間、真剣に向き合う姿勢”と、生徒と教員の間にある“個のつながり”にほかなりません。「○○大学を志望しているので、英作文をチェックしてほしい」「苦手分野を克服したい」「得意科目をさらに伸ばして差をつけたい」といった個別の要望に対して、ノート添削やオリジナルプリント、講習などでていねいに対応することで、生徒の“やる気”に火をつけ、さらなる学力向上を図ります。

また、受験を終えたばかりの高3による「大学受験を語る会」では、「部活動と勉強の両立について」「学校の補習・補講や個別プリントの活用法」「受験学年を迎えるに当たって、春休みの学習計画をどのように立てるとよいか」といった具体的な体験談やアドバイスが語られます。卒業生が残したデータやことばが、身近なロールモデルとなり、在校生は大学進学への目的意識を一層強めながら、学習に励みます。
このような「進路指導」「進学指導」が両輪となり、生徒の夢の実現をサポートしています。