授業や行事を通して
自立心と協働力を育む
左から宮山遥先生(国語科)、一條雅史先生(入試対策委員・数学科)、熊川美帆子先生(英語科主任)
創立90年という節目を目前に、これまで培ってきた女子教育や校風について、入試対策委員・数学科の一條雅史先生は次のように話します。
「本校の生徒は基本的に真面目で、こつこつと努力できるタイプです。漫画やアニメが好きな生徒もいれば、スポーツが好き、アイドルが好きという生徒もいるなかで、互いを尊重し合っています。また、クラブ活動や行事では、その場に応じて自分の役割を判断し、リーダーシップをとったり、フォローに回ったりと、臨機応変に立ち回れる生徒が多いです。本校の校訓『誠実・明朗・喜働』のなかの『喜働』とは、『何事にも創意工夫を凝らし、自分にも他者にもより良い結果をもたらすように行動する』ことですが、まさにこの校訓が、日々の学校生活に継承されているのではないでしょうか」
このような姿勢が育まれる背景には、同校の授業スタイルや行事への取り組み方が関係しています。たとえば、中1・2の数学の授業では、グループ学習の時間も取り入れています。仲間同士で教え合ったり、意見交換をしたりすることで、コミュニケーション力を上げるとともに、苦手意識の解消にもつなげているのです。理科では、夏休みなどの長期休暇中に、希望者を対象とした実験の講座を集中的に開催。中1~3が学年の枠を超えて班を作り、初めて顔を合わせた者同士が4日間、実験に励みます。一條先生は「近年、理系学部への進学者が増加しています。これからは、初対面の者同士が協働する時代です。生徒たちが授業で協力して学び合った経験は、将来社会人になったときに、きっと役立つでしょう」と、力強く語りました。
一方、国際人として活躍するためには、日本文化や歴史について発信できることが必要で、それには思考の基礎となる国語力が欠かせません。同校では、中1・2の国語の時間のうち、1時間を「論理」という授業に充てています。国語科の宮山遥先生は、「論理的思考力を高めるため、現代文では、評論の読み方の指導に力を入れています。評論文はニュアンスでわかるものではないので、論理的思考力を鍛え、考え方に筋道があることや『読み方』を理解してもらうのが目的です」と話しました。
さらに、「自立心」を育むために、社会科見学などの校外学習では、現地集合・現地解散を基本としています。たとえば、中3の修学旅行では、生徒が自分たちで新幹線のチケットを予約し、班ごとに奈良駅に集合します。宮山先生は「このような体験を積み重ねるうちに、自然と『先を読む力』が培われます。自立した女性に成長し、生きていくうえでの土台が作られていきます」と述べました。
学習面でも、ていねいなサポートで自立を促します。前期・後期の2期制を導入し、週6日制で65分授業を実施。中学生は長期休暇中に指名制の補習で苦手な教科を強化する一方、希望制の講習で知識を深めます。高校生は、さまざまな大学入試対策講習を希望制で受講できます。
中学で週1コマ設けられている「特別教育活動」では、日本古来の文化への造詣を深めるとともに、感性を磨きます
生徒が自分の目で見て、肌で感じる体験学習の場として、理科教育では実験・観察を重視しています
社会の変化に見合った
英語力や思考力を身につける
同校は1986年、併設する高校に英語科を設置して以来、30年余りにわたって、社会情勢の変化に合わせ、多様な形で英語教育に力を注いできました。そのノウハウを生かし、2021年度からは中学校に国際コースが新設されます。英語科主任の熊川美帆子先生は、「英語を母語としない者同士が、英語を使ってコミュニケーションを図る機会が増えています。グローバル社会に対応するためには、多様な価値観を尊重しながらも自分の意見を持ち、それを英語で主張できる力が求められます」と強調します。
国際コースでは、中3で海外研修を実施する予定ですが、あえて英語を母語としないマレーシアを訪れます。また、中学では約10年前から、帰国生を対象に英語の取り出し授業を実施していますが、6年間かけて英語力を鍛えた生徒のうち数名が英検®1級に合格したそうです。熊川先生は、「このような生徒たちの飛躍を目の当たりにし、国際コースの新設を決定しました」と経緯を説明します。
ネイティブ講師が副担任に
オンライン英会話・英作文も
国際コースでは、英語の授業を少人数制で行い、英検®2級以上の生徒を対象とした「アドバンストクラス」と、英検®3級・準2級の生徒が対象の「スタンダードクラス」の二つに分かれて学びます。英語で美術や音楽を学ぶ「イマージョン教育」も、ネイティブ講師とのチームティーチングで行われます。また、副担任はネイティブ講師が担当し、日常的に英語でコミュニケーションを取る機会を増やします。希望者は、第二外国語として中国語を学べるのも特色です。さらに、海外研修は、アメリカやフィリピン、ニュージーランドなどでの短期研修から、1年間のオーストラリア留学まで、実践の場が豊富にそろっています。
熊川先生は、「これらのプログラムは、本校が長年培ってきたノウハウを発展させたものがほとんどです」と語ります。たとえば、高校では現在、帰国生を対象に洋書を用いた精読やパラグラフ・ライティングなどの取り出し授業をネイティブ講師が行っていますが、国際コースでは、それに加えて、プレゼンテーションやディスカッションのスキルを磨く双方向型の授業を実施する予定です。
このほか、国際コースでは、1人1台のタブレット端末を使い、フィリピン人講師による「オンライン英会話」を行います。熊川先生は「高校でオンライン英会話を導入する前と後とでは、生徒の『英語で何かを伝えようとする姿勢』に変化が感じられました。これを中学から導入すれば、より大きな成長が期待できるでしょう」と話しました。また、情操教育の一環として、どのコースでも中1は茶道、中2は箏曲、中3は華道を学ぶほか、中学3年間の音楽の授業で弦楽器を演奏し、日本文化の発信にも役立てています。
2021年度は全部で5種類の入試を行いますが、そのすべてから国際コースへの入学が可能です。2月2日に新設する「一般英語特化型入試」について、熊川先生からは「英語筆記試験と面接(日本語・英語)で総合的に判断します。『英語に興味がある』という6年生はぜひ、受験してください」とのメッセージを頂きました。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。