希望の進路に合わせた2コース制
努力に応じてコースの移動も可能
中1学年主任・英語科 橋本 順子先生
八王子学園は高等学校の野球や水泳などで活躍する数々のトップアスリートを輩出する一方、進学校としても知られる文武両道の中高一貫校です。八王子市が空襲で被災したという歴史を踏まえ、「人格を尊重しよう、平和を心につちかおう」をモットーとし、「社会において主体的に行動する人間」「大学で学問をする人間」の育成をめざしています。
同校では、こうした伝統を継承しながらも激動の時代に対応するため、アクティブ・ラーニングを軸とした学校改革「八学イノベーション」を推進しています。電子黒板やタブレットなどの最先端ICT機器を活用したゼミナール形式の授業「探究ゼミ」を開講するなど、双方向型の学びを実現することで、生徒一人ひとりの興味・関心に応じた学びを追究できる環境を整えているのです。
中学は、最難関大学や国公立大学医学部などへの現役での進学を目標にする「東大・医進クラス」と、難関国公私立大学への進学をめざす「一貫特進クラス」の2コース制を敷いているのが特長です。東大・医進クラスは、ネイティブ教員を副担任とし、曜日によってはホームルームなどでの日常的な連絡もすべて英語で行っているほか、ICTを活用した反復学習を導入し、医学部志望者を対象とするガイダンスも開催しています。中1学年主任・英語科の橋本順子先生は各コースの違いについて、「定期考査の出題形式や難度は異なるものの、基本的な授業内容や進度はほぼ同じです」と説明しました。また、定期考査や模試の成績、生活態度などの総合評価により、進級時に東大・医進クラスへの移動も可能です。
各コースの生徒の雰囲気については、一貫特進クラスには「何事にも積極的で、元気のいい生徒」が多いのに対し、東大・医進クラスには「オンとオフの区切りをつけて、学習に集中できるタイプ」が多いそうです。橋本先生は、「本校は例年、素直で明るい生徒が多く、男女の区別なく元気に過ごしています。しかし、今年度の中1は自粛生活が続いた影響でいつもと違うスタートを切ったせいか、全体的におとなしい印象です。でも、これから持ち前の積極性を引き出していきます」と語りました。
電子黒板を活用して行う、中1の英語(文法)の授業。熱中症を防ぐため、今年の夏期に限り体育着で過ごすことが認められています
副教材には『NEW TREASURE』を使用。「書く」アクティビティーに力を入れているのが同校の英語教育の特長です
オンライン授業の復習を徹底し
遅れがちな生徒をしっかりケア
新型コロナウイルス感染症の影響で3月から5月まで休校措置が取られたため、今年度の中1は入学式を6月に迎えるという異例の事態となりました。そのような状況のなか、同校では全学年対象のオンライン授業を4月中旬から開始。各教科の教員が作成したオリジナルの授業動画を配信し、生徒がそれを好きなときに視聴できるオンデマンド型を基本としましたが、授業支援アプリやビデオ会議ツールを活用したライブ授業も行われたそうです。
以前から生徒1人につき1台のタブレットを配布し、ICTを活用した効果的・効率的な教育を実践してきた同校では、そのノウハウを休校期間中の対応にも応用したそうです。橋本先生は「中1に対しては、5月中旬にタブレットを配送しました。Google Classroomを使ったアンケート形式の健康調査には、『好きな食べ物は?』『今日の夕飯は?』といった質問も交え、気軽にコミュニケーションがとれるように配慮しました。こうしたやり取りを続けるうちに、新入生たちも少しずつ打ち解けていきました。担任との面談や、クラスメートとの顔合わせもオンラインで行いました」と話します。さらに、毎朝のオンライン朝礼で情報を共有し、休校中の生活や課題に関する疑問を解決するための「質問フォーム」も用意。このように授業以外のフォローも徹底し、生徒一人ひとりの学習・生活状況を確認するよう努めたそうです。
6月には分散登校となり、教室での対面授業が再開されると、休校期間中に学習した内容がきちんと定着しているかどうかを確認しました。「1学期には中間考査に準じるテストを実施し、基礎が定着しているかどうかを確認しました。期末考査は例年どおりに行い、成績評価は中間考査よりも期末考査に重点を置いてつけました」とのことです。夏休み明けには、中1を対象に「英単語の書き取りテスト」を実施し、1学期に学んだ英単語215個の中から、100個を出題。合格基準に満たなかった生徒には、頭に入るまで何度もやり直しをさせたといいます。
英語の4技能をバランスよく伸ばし
「伝える能力」の育成を重視
英語教育では、「読む・書く・聞く・話す」の4技能をバランスよく伸ばし、自分の考えや想いを的確に伝えられる能力の育成を重視しています。まず、中1では、英語圏で発音とつづり字の関係を教える教材として用いられている「フォニックス」を使用し、つづりを意識しながら正確な発音を身につけていきます。橋本先生は「コロナ禍でのオンライン授業では、発声時の口の形などをイラストや動画で細かく解説しました。生徒は自宅でそれを見ながら気楽に、何度も練習できたようで、学校再開後の授業では多くの生徒がきれいに発音できていました」と笑顔で語りました。中3までに全員が英検®準2級を取得できるように、放課後講習で英検®対策の授業も設定するなど、レベルアップを図っています。
その集大成となるのが、中3全員が参加するオーストラリア海外研修(10日間)です。生徒は1家庭に1人でホームステイをしながら現地校に通い、豊かな英語力と国際感覚を養います。有意義な研修となるよう、事前学習にも取り組みます。たとえば、「わたしの部屋」「わたしの家族」など、自分に関するテーマについて英文で表現し、1冊のファイルにまとめるのです。それを現地に持っていき、実際に話してみることで、ホストファミリーと親しくなれる生徒も多いそうです。
最後に、橋本先生は「小学生までは保護者の方が手をかけて、育てる時期だと思いますが、中学生になったら、いかにその手を上手に離し、自立に導くようにサポートしていくかが重要です。本校では、『自分のことは自分で考え、自立して行動できる生徒』の育成をめざしています。その方針に共感してくださるご家庭は、ぜひ、受験をご検討ください」とメッセージを送りました。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。