少人数・レベル別で
英語力を強化する国際コース
英語科主任
熊川 美帆子 先生
江戸川女子中学校・高等学校は30年以上も前から英語教育に力を入れ、高校では1986年に英語科を設立。中学でも10年ほど前から英語力がある生徒を中心にネイティブの教員による「取り出し授業」を進めるなど、先進的な取り組みを実践してきました。
そのノウハウを生かして、今年度から開設されたのが、帰国生をはじめとする高い英語力を持つ生徒を対象にした「国際コース」です。同校英語科主任の熊川美帆子先生は新コース設立について、「取り出し授業を継続するなか、6年間を通して英語力を磨いた生徒たちが英検®1級に合格するなど、その効果がはっきりと表れ始めています。そこで、英語力をさらに伸ばすために、よりハイレベルな教育環境を整えようと、新たに国際コースを設けることにしました」と話します。
国際コースの英語の授業は、「アドバンストクラス」と「スタンダードクラス」の二つに分けて行われます。アドバンストクラスは英検®2級以上、スタンダードクラスは3級・準2級レベルの生徒が対象。今年度の入学者は、アドバンストクラス14名、スタンダードクラス10名の合計24名となっています。
アドバンストクラスの授業では、ネイティブの先生を中心にプレゼンテーションやディスカッション、ライティングなどに取り組みます。また文法の授業は、英語を感覚として身につけている帰国生のために、日本人の教員が担当してていねいに指導するなど、4技能をバランスよく学んでいきます。熊川先生は、「英語力の異なる生徒が学びを共にするなかで、自然と助け合う光景が見られます」と新入生の様子を説明します。
国際コースでは副担任もネイティブの教員が担当するなど、日ごろから英語に触れる機会が豊富です。また、国語や算数が苦手な生徒に対してはフォローアップも行っています。さらに、探求型のプログラムが用意されている点も注目されます。ネイティブの教員2名が担当する「グローバルスタディーズ」では、世界のあいさつ・マナーから経済・宗教・時事問題など、多様なテーマを扱います。「こうしたグローバルな課題に対して4〜5名のチームで調べ、ディスカッションを行い、最後は英語で発表することで発信力を磨いていきます」(熊川先生)
真のグローバリズムを育成
新しい入試制度も導入
海外研修を通して、多様な経験を積む生徒たち
国際コースでは、美術と音楽を対象に、オールイングリッシュで学ぶ「イマージョン教育」も取り入れています。熊川先生は、「芸術系の授業のため、リラックスした雰囲気のなかで、身近な英語表現を身につけることができます」と、その効果を話します。
海外研修も充実しています。中3では1週間、マレーシアでのホームステイや現地校での学習が予定されています。英語を第2言語とする人々との交流を通じて、共通語としての英語の重要性を実感させることを目的としています。そのほか、高校では希望者対象のオーストラリア短期留学、ニュージーランドの語学研修、ニュージーランド・オーストラリアの1年留学、フィリピン・アメリカの語学研修など、多彩なプログラムが用意されています。
国際教育とともに日本の文化を学ぶ機会も多く設けています。同校では情操教育の一環として、中1で茶道、中2で箏曲、中3で華道の授業を実施。日本の伝統文化や歴史への理解を深めることで、真の国際性を育成します。熊川先生は、「英語力を生かすためには、多様な知識や教養、経験を養うことも大切です。中学3年間は英語力だけでなく、そうした基礎力を身につけることも重視します。そして高校では、培った英語力や知識などを活用して将来自分が何をしたいのかを考えていきます」と説明します。
国際コースの開設に合わせて、同校では「英語特化型入試」を導入しました。英検®2級レベルの英語筆記試験と日本語・英語による面接を実施し、合格者は全員が国際コースに入学します。また、一般入試の「2科」「4科」「AO入試」の合格者でも、英検®3級以上を取得していた場合には同コースへの入学が可能です。
入試対策委員で数学科の一條雅史先生は今年度の入試について、「『国際コースで勉強をしたい』という第一志望の受験生がたくさん挑んでくれました。結果的に優れた英語力を有する24名の生徒が入学し、来年度以降への手応えも十分です」と話します。
45分授業で多様な学習に対応
国際性を意識した新制服
入試対策委員 数学科
一條 雅史 先生
創立90周年を迎え、国際コースを開設した同校は、学校改革に向けて来年度も新たな取り組みを展開します。
その一つが、教育システムの変更です。これまで「65分授業・5時間・2期制」を実施してきましたが、来年度から「45分授業・7時間・2期制」を導入します。一條先生はその利点について、こう説明します。「45分授業にすれば、短時間集中でスピーディーに知識を習得できるようになります。また、45分を2つ組み合わせた90分授業も展開できます。たとえば、理科の実験では90分にすることで、座学による知識習得→実験の演習→振り返りといった幅のある学習が可能になります」
制服も来年度から一新されます。新制服は紫を基調にしたデザインで、スカートだけでなくパンツも用意されるとのこと。熊川先生は、「生徒が語学研修などで海外に出るときに、紫の色調で日本らしさを表現できる、国際性も意識したデザインになっています」と語ります。
新校舎のイメージ図。来年度から高3生専用棟として使われます
さらに、創立90周年の記念事業として新校舎の建設も進めています。来年完成予定の新校舎は高3生の専用棟となり、受験勉強に専念できる設備が整えられています。
こうした取り組みについて、「90周年を迎えて、学校改革が一気に進んでいます。今後も、生徒一人ひとりが自分の個性を大切にしながら学べる環境づくりに邁進していきます」と力強く語る一條先生。最後に、熊川先生は「英語力に自信はあるけれど、その生かし方について迷っているという受験生の話をよく聞きます。本校では、そうした生徒たちに幅広い知識や経験を身につけてもらうことで、その英語力を存分に活用できるようにしていきます。ぜひ、国際コースにチャレンジしてみてください」と締めくくりました。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。