受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

School Now

(「22年10月号」より転載/22年9月公開)

本郷
中学校・高等学校

「文」と「武」のつながりを生かす「文武両道」
人とのつながりがお互いを高め合う

 今年、創立100周年という記念の年を迎えた本郷中学校・高等学校。「文武両道」「自学自習」「生活習慣の確立」という三つの教育方針の下、仲間同士で切磋琢磨し、お互いが刺激し合うことで成長できる土壌を培い、現在まで受け継いでいます。「文」と「武」がつながりを持ちながらそれぞれを伸ばしていくという、本郷ならではの「文武両道」について、入試広報部長の野村竜太先生に伺いました。

限られた時間で集中して行う部活動
悩んだ経験は勉強にも生かされる

限られた活動日・時間のなかで効率良く練習。中学ラグビー部は、今年関東大会3位の実績を持ち、多くの生徒が「6年間同じ仲間と部活をしたい」という気持ちで入学してきます

 「『文武両道』は、勉強と部活動を両立させるという意味で使われることが多いかと思います。その意味ももちろんあるのですが、本郷では、『文』と『武』のつながりを生かして学ぶことを大切に考えています」と話すのは、入試広報部長の野村竜太先生です。

 同校では、文武両道が当たり前のことだと、生徒も教員も保護者も理解しています。中1は必ず部活動に参加するというルールがあり、まずは全員に経験させることを目的としています。中2以降の参加は自由ですが、中学では約98%、高校では約85%の生徒が加入。部によっては高3の冬まで活動する生徒もおり、部活動に打ち込むことを学校全体でサポートしています。

 とはいえ、部活動だけに多くの時間を割いているわけではありません。活動時間は、中学生は週に平日3日、1日2時間以内、高校生は週5日、1日3時間以内と決められています。限られた時間のなかで集中して活動し、効率良く練習をしているのです。練習のメニューや活動の内容については、生徒たちが振り返りを行い、そこで出た反省点を次の活動に生かしているとのことです。

 また、部活動の種類も豊富なので、「どんな生徒でも必ず自分の居場所が見つかる」と野村先生は言います。中学・高校合わせて運動部20、文化部19が活動しており、フェンシング部、ウエイトトレーニング同好会(いずれも高校生のみ)、日本文化部といった珍しい部もそろっています。

 部活動では、先輩が後輩の面倒を見たり、技術的なことを教えたりするなど、縦のつながりが形成されます。チームスポーツはもちろん、個人で戦うスポーツや文化部でも、ふだんは部のメンバーと一緒に活動します。「部活動でなかなか上達しなかったり、人間関係に悩んだりすることも多いでしょうが、その経験が、勉強をはじめとするほかの場面でも生きてきます」と野村先生は強調します。

縦のつながりを勉強にも取り入れ
代々受け継がれる「数学合同授業」


中1と中2がペアになって行う合同授業。初回のテーマは「初めての中間考査に向けてのアドバイス」。勉強というキーワードで先輩と後輩がつながるきっかけになっています

 部活動で自然に培われている先輩と後輩とのつながりは勉強でも生かされています。その代表的な取り組みが「合同授業」です。年に4~5回、数学の授業中に実施され、中2と中1の生徒がペアになって、先輩が後輩に学習のアドバイスなどを行います。

 1回目の合同授業は、5月のゴールデンウィーク明けに実施。野村先生は、そのときの様子を次のように振り返ります。「中1は5月下旬に初めての中間考査を受けることになるため、中2は『定期考査とはどんなものか』ということから説明します。中1も単に説明を聞くだけではなく、自分からも質問して、先輩から積極的に情報をもらっています。『テストの前日は何時に寝ればよいのか』と質問した中1の生徒もいました」

 自分がアドバイスをもらったら、次の年は後輩の役に立ちたい―。そのような気持ちが代々つながって、現在まで20年以上続いています。2020年度は新型コロナの影響で、対面での合同授業はできませんでしたが、中2の生徒たちが「次の代につなげられることを残したい」と、中1に向けた動画を制作して配信しました。

 また、英単語のテストは中2・3、数学のテストは高1~3を同じ問題にするなど、学年の枠を超えて競わせるテストも行い、学習意欲を引き出しています。野村先生は「実はこれは、部活動のレギュラー争いなどで当たり前に行われていることです。『ここまでやればいい』ではなく、『もっと先までやっていいんだよ』と示すと、生徒たちはどんどん上へとチャレンジしていけるのです」と話します。

友だちや先輩・後輩と切磋琢磨
大学受験では「人のための勉強」に


本郷の文武両道は、「文と武のつながり、先輩・後輩のつながり」の二つのつながりをイメージすること。「6年間の勉強と部活動で得た経験は人生の財産となる」をモットーにしています

 本郷の「文武両道」でキーワードとなるのが、「人とのつながり」です。「人に関心を持ち、自分の時間を削ってでも、人のために動けるようになってほしい」と語る野村先生。部活動では、個人が好きなことをするのではなく、部全体のことを考えて行動しています。個々にがんばるものだと思われがちな勉強においても、友だち同士で教え合うなど、お互いに高め合う雰囲気ができています。背景には、「大学受験では『自分だけの勉強』ではなく、『人のための勉強』を心がけてほしい」という学校の思いがあるのです。

 先に述べた合同授業での中2と中1のペアは、1年間継続します。野村先生は「ペアは出席番号で組まれるためランダムです。どの人とペアになるかは、合同授業当日までわかりません。どのような人がペアになっても、コミュニケーションを取るというのは、社会に出ても大切なことです。合同授業は、このようなことも経験できる貴重な時間になっています」と説明します。

 教員は1学期に1回、生徒との面談を行い、勉強と部活動にどのように取り組んでいるかを確認。「部活が忙しくて勉強できない」「勉強があるから部活ができない」と、それぞれを言い訳にしないように、担任と部活の顧問の教員が連携を取って、対応を考えています。

 「どうして学校に来るのか?」と尋ねると、生徒たちの多くは「友だちがいるから」と答えるそうです。勉強でも部活動でも、教員のサポートを受けながら、友だちや先輩・後輩と切磋琢磨し、そのなかでさまざまな考え方と出合うことが、大きな成長につながるのでしょう。学校という空間が存在する意味は、「人とのつながり」のためだといえるのかもしれません。

 野村先生は受験生に向けて、「『どこに入学したいか』以上に『どこで何をやりたいか』という視点で学校選びをしてほしいと思います。勉強以外で何ができるのかをイメージできたところは、受験するべき学校だといえます。ぜひ説明会に参加して、『本郷で何ができるのか』を聞きに来てください」とメッセージを送りました。

《学校のプロフィール》

本郷中学校・高等学校

所在地
 〒170-0003 東京都豊島区駒込4-11-1
 JR山手線・都営地下鉄三田線「巣鴨」駅より徒歩3分
JR山手線・東京メトロ南北線「駒込」駅より徒歩7分
TEL 03-3917-1456
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《各種行事日程のお知らせ》

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https://www.hongo.ed.jp/admission/events/

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