Spotlight
(「22年9月号」より転載/22年8月公開)
桐光学園
中学校・高等学校
主体性を高めるプログラムで
正解のない課題に向き合う力を育む
桐光学園中学校・高等学校は、「他者との関わりの中で自己を高めていこう」「失敗を恐れず失敗から学んでいこう」「一生続けられる好きなことを見つけよう」という三つの教育目標を掲げ、生徒の好奇心を刺激する教育活動を展開しています。今回は「大学訪問授業」と「TOKO SDGs」の取り組みについて、学校長の中野浩先生にお話を伺いました。
各界の第一人者が講演する「大学訪問授業」
進路選択にも大きな影響が
今年登壇した早稲田大学准教授のドミニク・チェン氏 2004年に始まった「大学訪問授業」は、大学教授や各界で活躍する著名人を招いて講演会を開催するプログラムで、全校の希望者を対象に年20回ほど実施されています。これまでにジャーナリストの池上彰氏、ノーベル化学賞受賞者の根岸英一氏、将棋棋士の羽生善治氏、作曲家の坂本龍一氏、新国立競技場設計者の隈研吾氏などが登壇しました。
「当初は各大学の説明を中心とした内容でしたが、中学・高校のうちに本物の知識や教養に触れる体験をしてほしいと考え、さまざまな分野の第一人者をお呼びするようになりました」と、学校長の中野浩先生は話します。
講師の選定や講師との交渉は、すべて中野先生自身が行います。かつては100人以上に講演依頼の電話をかけ続けたこともあったとか。
「講演の内容には制限を設けていないので、中学生には難解なものもあります。あるとき、講演後のアンケートに、『内容はほとんどわからなかったけれど、講演をしてくださった先生が楽しそうで、自分の専門分野が本当に好きなんだということはわかった』と記入してくれた生徒がいました。『学ぶことは楽しい』と考える人がいて、それを知ることは、勉強に対するイメージを変える、貴重な経験になります」
時には、大学教授の講演に感銘を受けた生徒が「この教授の講義を受けたい」と志望校を決定することもあり、進路選択にも大きな影響を与えているそうです。中野先生は「一生続けられる好きなことを見つけよう」という同校の教育目標の一つに触れ、「いろいろな人の話を聞くことで、おぼろげだった自分のやりたいことも明確になっていきます。好きなことが見つかれば、一生の宝物になるでしょう」と語りました。
中高生の目線で17の目標を設定
「TOKO SDGs」で正解のない学びに挑戦
学校長 中野 浩先生
一方、「TOKO SDGs」は学校長に就任した際、中野先生が考案してスタートした試みです。国連のSDGs(持続可能な開発目標)に倣い、中高生にとってより身近に考えられる問題を有志の生徒と教員が話し合い、独自に17の目標を設定。中1から高3までの生徒がそれぞれ興味を持った課題について解決策を考えていきます。
「学年を超えて活動し、良い刺激を与え合うことで、自発的な学びにもつながっています」と、中野先生。活動する際には、あえて正解は求めません。「正解を求めようとすると、物事を単純化してしまい、きちんととらえることにはならないからです。なるべく正しい知識を得て、自分がどう思うのかを考えること、意見を述べるときには必ず根拠を示し、ほかの人の意見も聞いて、自分の考えを振り返ることを繰り返していきます」
「大学訪問授業」と「TOKO SDGs」は、どちらも複雑な課題に向き合い、主体的にものを考える力を育む取り組みだと中野先生は言います。「これまでの教育は『どのように教えるか』という教員主体の学びでした。しかし、これから社会に出ていく皆さんは、現在の感染症やロシアのウクライナ侵攻のような、複雑で正解のない問題に向き合っていかなければなりません。何を『どのように学ぶのか』、中高6年間で一緒に考えていきましょう」
《学校のプロフィール》
桐光学園中学校・高等学校
●所在地:〒215-8555 神奈川県川崎市麻生区栗木3-12-1
●TEL:044-987-0519(代)
Information
学校説明会などの情報はこちらよりご確認ください。
http://www.toko.ed.jp/high/exam/index.html
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