受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校File

(2011年10月掲載/2011年11月公開)

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富士見中学高等学校

所在地:〒176-0023 東京都練馬区中村北4-8-26
西武池袋線「中村橋」駅より徒歩3分、関東バス「中村橋」下車徒歩2分
TEL:03-3999-2136
http://www.fujimi.ac.jp


板倉 清 校長先生

好調な大学進学実績を支える “チーム富士見”の連帯感

 今年度から高校募集を停止した富士見中学高等学校は、これまで高1で行っていた文理分けを、現在の中学1年生からは高2に延ばすなど、積極的な教育改革を展開しています。近年は大学進学実績も着実に向上しており、2011年は国公立大に12名、医歯薬保健系学部に25名、早慶上智に52名、GMARCHに225名の生徒が現役合格を果たしました。ここでは、一連の改革の狙いと、好調な大学進学実績の背景について学校長の板倉清先生にお話を伺いました。聞き手は、森上教育研究所の森上展安先生です。

特進コースをなくし、学校内に一体感が芽生えた


図書室では、読みたい本があればいつでもリクエスト可能。蔵書は5万2000冊を誇ります

森上 近年の貴校の進学実績、とりわけ早慶の合格者数の伸びには驚かされます。

板倉 ありがとうございます。本校では「進路指導」「学習指導」「人間教育」の三分野を基本に、生徒の人間力・総合力を育てています。8年前から行ってきた、その三分野でのさまざまな改革が、実を結び始めたと考えています。

森上 大きな転換点は、8年前、選抜による特進コースをなくしたことでしょうか。

板倉 そうですね。特進コースがあったころは、そこに入れなかった生徒のモチベーションを維持するのが難しく、特進コースと一般の生徒の間に温度差がありました。そこで、生徒全員ががんばれるようにと、2003年に特進コースの廃止に踏み切ったのです。

森上 廃止したことで、どのような変化がありましたか。


自習室では高3生が受験勉強に励んでいました。明るく静かな空間で勉強もはかどります

板倉 あらゆる面で、生徒同士の連帯感が強くなりました。受験も“チーム富士見”の団体戦ととらえ、みんなで最後まで戦い抜こうという考えです。かつては多くの生徒が塾に通い、学校ではなく塾で個々に勉強するという雰囲気がありましたが、現在では自学自習が定着し、学校の講習を積極的に活用しながら、全員で励まし合うようにしてがんばっています。

森上 改革は大成功だったわけですね。

板倉 はい。行事などでの生徒たちの様子も大きく変わりました。毎年、体育祭の閉会式では校歌斉唱を行うのですが、以前は整然と並んで、静かに歌っていたのが、今では全員が肩を組んで大合唱するようになりました。

森上 競争意識ではなく連帯感を原動力にするやり方は、女子に合っているのかもしれませんね。

板倉 そうして生まれた絆は卒業後も強く、ここ数年、成人の日には学年の8割近くのOGが学校にやってきて、担任とおしゃべりしたり写真を撮ったりしています。また、生徒の進路選択のためにと、OGに大学や仕事の話をしてもらうシンポジウムを適宜開催していますが、そうした場にも喜んで来てくれます。我々の指導よりも、年の近い先輩が話す内容のほうが素直に聞けるようで(笑)、生徒たちにもとても好評です。

学校行事を通して、人間力を鍛える

森上 学業以外の活動にも力を入れていらっしゃいますね。

板倉 本校では、行事と部活は「人間教育」の基本を成すものとして重視しています。中学生の部活への加入率も90%以上。特に絵画活動やダンスは活発で、高校のダンス部は全国大会で1位になるほどです。学校行事としては、体育祭や文化祭、中学生の合唱大会、高1でのホームステイ(希望者対象)、高2での沖縄体験学習などが好評です。

森上 中3では卒論を書くと聞いています。


多目的教室には48台のパソコンを完備。情報教育だけでなく語学の授業にも使われます

板倉 はい。中学では理科と社会を中心に、興味や関心があることを調べて提出する「調べ学習」を奨励しています。ユニークなレポートも多く、それによって、暗記だけでなく考えて理解する習慣を身につけます。そうした中学での学習の総まとめとして、卒業論文を課しているのです。
 もちろん、いきなり中学生に長い論文は書けません。まずは論文の書き方を教え、テーマを決めさせます。その後、途中で何回かグループで経過報告をさせます。生徒同士でも、「こうしたほうがいいんじゃないかな?」「この本は読んだ?」などと知恵を出し合っているようです。出来上がった論文はみんなの前で発表します。

森上 ずいぶん骨っぽい、しっかりとした「学問」をさせるのですね。今どきの中学生がそうした発表ができるというのはすばらしい。

板倉 確かに、かつては、自分の考えが合っているかどうか不安なのか、発言を控える風潮もありました。しかし、道徳の時間などを利用してコーチングやグループワークの機会を増やし、安心感を土台とした自己表現力や他者を理解する力を育てることで、生徒たちも変わってきました。パワーポイントを使っての発表は堂々たるもので、大人も顔負けです。

高1までは学力の土台づくりの時期

森上 現中1からは、文部科学省の新学習指導要領の施行に合わせ、コース選択の時期を高1から高2に変更されるそうですね。

板倉 高1で文理を分けるという従来のシステムは、早くから目標を意識させるという狙いがありました。ただ、それにはデメリットもあって、たとえば高1で私立文系を選択した場合、早い段階で英国社という狭い範囲の勉強で終わってしまいがちです。それでは生徒の伸びも止まってしまいます。生徒の総合力を強化するには、もっと学力の土台づくりに時間をかけるべきではないかという考えから、コース選択の時期を高2まで延ばすことにしたのです。


対談中の板倉先生と森上先生

森上 コース選択までの4年間はどのような方針で指導されるのですか。

板倉 中学ではあまり詰め込み過ぎないよう心がけます。英国数は、徹底して基礎力をつけさせますが、それ以外はアウトプットを重視。「調べる」「まとめる」「発表する」のサイクルを定着させるというわけです。中学の間にこうした力をしっかりつけておけば、高校生になって、本格的な受験勉強を始めようというときに、ダッシュが可能になると考えています。

森上 生徒さんたちの今後の伸びがますます期待できそうですね。本日はありがとうございました。

森上先生のワンポイントチェック

 選抜クラスを導入する学校が増えるなか、20年以上続いた特進コース制度をなくすという富士見中学高等学校の改革は思い切ったものでした。いたずらに競争心を煽るのではなく、連帯感と安心感を持たせることで生徒の向上心を高めるこの改革の効果は、近年の大学進学実績にしっかり表れています。同校は、今年度から高校の募集を停止し、完全中高一貫校となりました。これにより、生徒同士の連帯感はますます強くなるはず。今後の伸びにも注目したい学校です。

森上展安先生:森上教育研究所代表。私学や私塾を対象に調査・コンサルティング機関を主宰。中学受験・中高一貫教育をはじめ教育全般に関する研究・提言を行っている。

《平成23年度 各種行事日程のお知らせ》

●学校説明会【保護者対象】(要予約)
11月12日(土) 10:30~
12月 3 日(土) 10:30~
 1 月14日(土) 10:30~
●学校見学会(要予約)
10月29日(土) 14:00~
11月19日(土) 14:00~
 1 月21日(土) 14:00~

※詳細については必ず学校HP等を確認してください。

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