(2012年01月公開)
クリスマスの精神と正面から向き合い、神の愛にならって他者を思いやる

パイプオルガンを備え、日々の礼拝などで使用しているフェロシップホール
キリスト教団体の伝道部が開いた「ミッションスクール」ではないものの、創立者が敬虔なクリスチャンだったため、教育の柱に「聖書」を掲げている恵泉女学園。礼拝は毎朝行い、週1回の「聖書」の授業は6年間必修です。もちろん、毎年12月下旬にはホール内を生徒が「園芸」の授業で作ったリースなどで美しく飾りつけ、特別礼拝でクリスマスのお祝いをします。

ロビーにはキリスト降誕を題材にした人形が置かれています
昨年の12月21日(水)に行われた中学校のクリスマス礼拝は、在校生の家族と同校を志望する受験生親子にも公開されました。会場であるフェロシップホールには、開始前からパイプオルガンの荘厳な音が鳴り響き、厳かな空気に包まれています。生徒の司会で粛々と進む礼拝は、生徒会宗教部の部員などが祈祷の形で神を賛美し、聖書のなかのイエス・キリスト降誕の節を読み上げます。その合間にハンドベル・クワイアの演奏、2年生による英詩暗唱、聖歌隊“Choir la Pace”の合唱、そして出席者全員で歌う讃美歌などが続きます。礼拝のため、それらの発表に対して拍手を送ることはできません。

ハンドベル・クワイアはクリスマスキャロルを披露
この日のメインは「わたしたちの隣に」と題した説教で、講壇には巣鴨ときわ教会の牧師である増田琴先生が立ちました。穏やかな物腰の増田先生は、讃美歌に込められた意味などを説明します。実は、最近、先生の長年のご友人が脳腫瘍を患い、身体の自由を失われてしまったとのこと。それでもご友人は讃美歌だけは歌うことができるそうです。「つらい闘病生活のなかでも、自分が神に愛され、見守られていることを知っているからこそ、彼女は神を讃美する歌を歌えるのでしょう」と増田先生は話します。

巣鴨ときわ教会の牧師・増田琴先生がゲストに
さらに増田先生は、中国で活動するアメリカ人伝道師の娘として育った、ノーベル文学賞作家のパール・バックの逸話も紹介。バックは『わが心のクリスマス』という著書のなかで、12歳のクリスマス前に起こった黄河の氾濫について書いています。それによると、氾濫によって多くの人々が命を落とし、必死で支援活動を行ったバック家の玄関先でも、若い母親と生まれたばかりの赤ん坊が力尽きて亡くなってしまったのです。バックは「この世に災害と飢えがある限り、世界中でこのことに立ち向かわねばならない。あの母子は今も戸口で倒れていく多くの人々のなかに生きている」などと記しています。

LEDの電飾で飾られた正門前のクリスマスツリー
このような話から、増田先生は「讃美歌を歌うクリスマスは、救い主の降誕を喜ぶだけの日ではありません。社会のなかで苦しんでいる人々に、あなたのところにも神の愛は届いていることを伝えるために、わたしたちにクリスマスが与えられているのです」と結びました。
礼拝の最後には、全員で2011年に洗礼を受けた生徒を祝福し、同校の奉仕活動についても報告がありました。以上でクリスマス礼拝は終了ですが、この日は希望者のために学校見学会も行われました。恵泉女学園の校舎は、生徒の利便性を考えたものとなっており、文学・放送・映像などの情報に関する設備を集めたメディアセンターは、4階までの吹き抜けで、開放的なつくりです。参加者は、センターの中央に置かれたすがすがしい樹木、9万冊もの豊富な蔵書、自習スペースなどに感心していました。
また、正面玄関では、恵泉園芸センターによるクリスマス用のリースやコサージュ、ポインセチア、シクラメンの鉢植えなども売られていました。この日のために心を込めて作られた作品の数々を眺め、恵泉女学園でのクリスマスの思い出にと、生徒たちと並んで楽しそうに選ぶ参加者の姿が印象的でした。
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