受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2014年5月のBooks

 この夏、受験勉強があったり、家族に受験生がいたりして旅行に行けない人もいると思います。そんな人にお薦めしたいのが、今月紹介する乗り物図鑑『のりもの2000』です。まず、出てくる乗り物の種類の多さに圧倒されます。鉄道だけでも新幹線、特急列車、SL、地下鉄、路面電車など772点。小さな日本列島にこんなにたくさんの鉄道が走っていることに驚かされます。「今度はどこに行こうか」などと考えながら眺めるだけでも楽しいですし、走行区間を地図で確かめながら見ていくと、地理の勉強にもなります。

『竹取物語』

  • 石井睦美=編訳
  • 平澤朋子=絵
  • 偕成社=刊
  • 定価=1,200円+税
  • 対象:小学校高学年向け

現代語訳でつづる 日本最古のSF 「かぐや姫」の奥深い世界

注目の一冊 「かぐや姫」で知られる『竹取物語』を、小学生でも読めるようにわかりやすいことばで現代語に訳しています。
 光る竹の中で見つけられた小さな女の子、かぐや姫は、おじいさんとおばあさんに育てられて美しい姫に成長します。その美しさに引かれた5人の貴公子たちは、姫が求める、手に入るはずのないものを求めて四苦八苦。誰も姫の愛を勝ち取ることはできず、やがて姫は月に帰って行きます。童話のかぐや姫は、おおよそこんなストーリーですが、『竹取物語』にはこれだけでは終わらない、豊かで多彩な世界が描かれています。
 『竹取物語』は、平安時代の作といわれています。その雰囲気が最も感じられるのは、登場人物の気持ちが歌で詠まれているところです。貴公子と姫との歌のやりとりは優雅そのもの。ここではおじいさんも歌を詠む教養人です。また、おじいさんは童話では優しい人物として描かれていますが、意外に乱暴なことを言う一面ものぞかせます。姫も美しいだけではなく、わがままなところがあり、それに振り回された貴公子が、姫を「大悪党」とののしる場面など、童話では見られない人間臭さが伝わってきます。
 突然月からやって来て、やがて月に帰っていく。これはまさにSFの世界。『竹取物語』は日本最古のファンタジーといわれますが、作者もわからなければ、書かれた正確な年代もわかっていません。物語のなかにも月にいたころのかぐや姫にまつわる大きな謎が隠されており、その謎解きに挑戦してみるのもおもしろいかもしれません。

『だいすきな おばあちゃん』

  • 日野原重明=文
  • 岡田千晶=絵
  • 朝日新聞出版=刊
  • 定価=1,300円+税

  • 対象:幼児・小学校低学年向け

日野原先生が 絵本を通して描く 大切な人との別れ

 マリちゃんにはおばあちゃんがいます。一緒にお散歩をしたり、箸の持ち方を教えてくれたり、お手玉やあやとりで遊んでくれたりする、大好きなおばあちゃんです。でもおばあちゃんはだんだん体が弱って、やがて寝たきりになってしまいました…。
 聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生が、102歳で初めて書き上げた絵本です。身近なお年寄りの死に立ち会うことで、子どもであっても、「死ぬ」とはどういうことかをきちんと理解してほしい、そしてお世話になったその人に感謝の気持ちを伝えてほしい。医師として長い間、命を見つめ続けてきた日野原先生の思いが真っすぐに伝わってきます。

『完全保存版 のりもの 2000』

  • 小賀野実=監修・写真
  • ポプラ社=刊
  • 定価=2,000円+税
  • 対象:幼児・小学校低・中学年向け

鉄道、自動車、飛行機、船 全国で活躍する乗り物 2000点が大集合

 火事を消し、人を助ける消防車。その種類は何種類ぐらいあると思いますか。はしご車とポンプ車はおなじみですが、ほかにも化学車、空中作業車、レスキュー車、山岳救助車、耐熱救助車、震災工作車、空気充填車、資材搬送車、衛星通信車、照明電源車など何十種類もあります。
 はたらく車や乗用車から、鉄道、飛行機、船、遊園地や観光地の乗り物などまで、日本で見られるありとあらゆる大人気の乗り物2000点をわかりやすく分類して、写真とともに紹介しています。今活躍している乗り物だけでなく、昔活躍して引退した乗り物から、これから活躍する最新の乗り物まで取り上げられている、親子で楽しめる一冊です。

『世界中で沖縄にしかいない飛べない鳥
ヤンバルクイナ』

  • 江口欣照=写真・文
  • 小学館=刊
  • 定価=1,300円+税
  • 対象:小学校低・中・高学年向け

絶滅の危機にある 貴重な鳥の生態を 10年かけて撮影

 沖縄島北部にある「やんばる」の森には、世界でこの森にしかいない鳥、ヤンバルクイナがすんでいます。赤いくちばしと赤い目を持ち、大きさはハトと同じぐらい。でもハトとは違い、飛ぶことができません。このため、歩き回って餌を探さなくてはなりません。特に子育て期ともなると必死で、ひなの餌を探すため、道路に出て車にひかれてしまうこともよくあります。
 絶滅の危機に直面している国の天然記念物、ヤンバルクイナの写真集です。ひなに餌を与えたり、水浴びをしたり、木に登って眠ったり。10年かけて撮影された貴重な写真は、その生態を教えてくれると同時に、「森の自然を守ってほしい」と強く訴えかけてきます。

『はりねずみのルーチカ』

  • かんのゆうこ=作
  • 北見葉胡=絵
  • 講談社=刊
  • 定価=1,200円+税

  • 対象:小学校中・高学年向け

秘密の国の住人たちは とても不思議で 心優しい生き物たち

 ルーチカは、ジャム作りが大好きなはりねずみ。特にあかすぐりのジャムは、お日さまが食べたら沈むのを忘れてしまうくらい、おいしいのです。今年もジャムを作るため、あかすぐりの実を取りに森に出掛けたルーチカ。ところが空が灰色になり、雨が降り出しました。すると、どうでしょう。空をゆっくり泳いでいる生き物が見えました…。
 不思議な生き物たちがすむフェリエの国を舞台に描かれる、友情の物語です。「どこの誰であっても、顔や形が違っても、受け止めることが大切だ」。そんなメッセージが伝わる温かい物語です。同じシリーズの続編として、第2巻『カギのおとしもの』、第3巻『ふしぎなトラム』も出ています。

『5年2組 横山雷太、
児童会長に立候補します!』

  • いとうみく=作
  • 鈴木びんこ=絵
  • そうえん社=刊
  • 定価=1,100円+税

  • 対象:小学校高学年向け

勝ち目のない選挙戦を どう勝ち抜くか 俺たちの戦いが始まった

 雷太はクラスの仲間と「なんでも屋」をやっています。忘れ物を取りに戻る、野球の人集めをする、ラブレターを渡す、といった仕事を低料金で引き受けています。ある日、6年生の新藤くんから「児童会長選に出て」と依頼された雷太。児童会長なんて俺、絶対に無理。ところが、全財産をくれるという新藤くんのことばに、雷太はつい「やる」と答えてしまいます。
 雷太の公約は「行くのが楽しいと思える学校にすること」。そのために、毎朝校門前であいさつをしたり、昼休みに清掃活動をしたり。仲間と共に不慣れな選挙活動をする毎日のなかで、大事なことに気づいていく主人公たちを明るくさわやかに描きます。

『はじめて考えるときのように  「わかる」ための哲学的道案内』

  • 野矢茂樹=著
  • 植田真=絵
  • PHP研究所=刊
  • 定価=619円+税

  • 推薦者:海浜幕張校校舎責任者 滝田 浩一 先生

「考えることを考える! 」 考えるということは 思っていた以上に奥深いもの


海浜幕張校校舎責任者
滝田 浩一 先生

 わたしがこの本の著者、野矢先生の本に初めて触れたのは、学生のころです。本といっても小説とは違って、『論理学』という大学の授業で教科書として使われているものです。内容は記号ばかりで、わたしにはかなり難解でした。当時、「論理学って、何て難しいんだろう」と思いました。
 今回、皆さんにお薦めする『はじめて考えるときのように』は、その野矢先生の本ですが、読んでみると論理学の本とはまったく別の印象を受けました。哲学の本は大人でも難しくて敬遠しがちだと思いますが、この本は違います。話し掛けるような文章で、とてもわかりやすく読みやすいものです。小学生でも十分に読むことができるでしょう。
 まずこの本を手に取ってみてください。本を開けてびっくり! 文字が黒ではなく茶色なのです。何で茶色なの? また一見すると、本文とはまったく関係のなさそうな挿絵がたくさん散りばめられています。「この絵にはどういう意味があるのだろう? 何で?」と、最初から疑問だらけです。
 「考えることを考える」。
 本書はこんなことばから始まります。わたしたちはふだん「考える」ということばをよく使っています。わたしも皆さんに対して「よく考えて答えて」とか、「もう一度考え直してみよう」などと気軽に使っています。本書ではその「考える」ということばを、さまざまな例を出しながら、さまざまな角度から考察しています。読み進めていくと、「考える」ことは思っていた以上に奥深いものだとわかります。
 最後に野矢先生は、考えるということは「つめこんで、ゆさぶって、空っぽにする」ことだと言っています。わたしはそのことばの説明を読んだとき、「確かにそうだ!」と思いました。
 この本が、皆さんに「考える」きっかけを与えてくれればうれしいです。

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