受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

※お好きな本のタイトルをクリックして下さい。その本に関する内容が、表示されます。

掲載月一覧 2014年10月|2014年9月|2014年8月2014年7月2014年6月2014年5月
2014年4月2014年3月2014年2月2014年1月2013年12月2013年11月
Books目次へ△

2014年10月のBooks

 秋の日はつるべ落とし。日が短く感じられる季節になりました。1日は24時間、秒にして86,400秒。この1秒の長さは、地球が太陽に対して自転するのにかかる時間の86,400分の1と決めているわけではありません。地球の動きは規則的ではないため、現在1秒の長さは原子の振動現象を利用して定められています。今月の「先生お薦めの一冊」は1秒を計る技術の最前線に迫る本です。著者が研究する原子時計は、何と137億年に1秒以下の誤差。そんな驚きがたくさん詰まった一冊です。

『平和のバトンをつないで
広島と長崎の二重被爆者・山口彊さんからの伝言』

  • 池田まき子=著
  • タムラフキコ=絵
  • WAVE出版=刊
  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校高学年向け

広島と長崎で被爆した 二重被爆者からの 命のメッセージ

注目の一冊 「原爆投下の三度目は絶対にあってはなりません。核兵器をなくすために力をお貸しください」。2006年8月、ニューヨークの国連本部で1人の日本人が、世界平和を訴えるスピーチを行いました。山口彊さん、90歳。1945年に広島と長崎に投下された原子爆弾を、2度その身で体験した「二重被爆者」です。
 当時、長崎の造船所で働いていた山口さんは、たまたま広島の造船所に出張していたときに被爆しました。黒い死体が折り重なる、焼け野原となった広島の街。命からがら列車で長崎に戻ったのが、広島で被爆した2日後の8月8日。長崎に原爆が投下されたのはその翌日で、山口さんは「きのこ雲に追いかけられているのではないかと思った」と涙ながらに語ります。
 山口さんは被爆の後遺症に苦しみながらも船の設計士として働き、3人の子どもを育て上げました。その間、あの恐ろしいきのこ雲のこと、苦しみにあえぐ人たちの声を忘れたことは一度もありません。それでも被爆体験を語り始めたのは90歳になってから。被爆者の子どもを結婚相手に選ぶのをためらう風潮があったため、子どもたちのために被爆の語り部になることをあきらめていたからです。
 山口さんが語る被爆体験は大きな反響を呼び、山口さんのような二重被爆者がいることに、人々は衝撃を受けました。山口さんが語る原爆投下時の惨状は生々しく、被爆した人々の苦しみは想像を絶するものがあります。そうした事実をしっかり受け止め、核のない平和な世界への祈りを受け継いでいくことが、戦争を知らない世代の使命であることを痛感させられます。

『だいすき、でも、ひみつ』

  • 二宮由紀子=文
  • 村上康成=絵
  • 文研出版=刊
  • 定価=1,300円+税

  • 対象:幼児・小学校低学年向け

恋にハードルはつきもの? 親指が小指を好きになる 楽しいお話

 右足の親指が右足の小指を好きになりました。でも親指は告白する勇気がないので、人差し指が中指に頼み、中指が薬指に頼んで小指に親指の気持ちを伝えてもらいました。「ばんざい、こゆびもおやゆびとつきあいたいって」。人差し指の話を聞いて親指は大喜び。とはいっても親指と小指の間には3本の指があって、小指は親指の顔を見ることすらできません。つき合うといっても、どうやってデートをしたらいいのやら。
 足の指が恋をするなんて誰が思いつくでしょう。小指にはダンゴムシやトマトのへたとつき合った過去があって、意外にも恋多き女の子なのです。どのページも、足の裏のイラストばかりのユニークな絵本です。

『しんかい6500で行く、深海への旅
海中大探険!』

  • 井上よう子=作
  • 木下真一郎=絵
  • 海洋研究開発機構=監修
  • 岩崎書店=刊

  • 定価=1,500円+税
  • 対象:小学校低・中学年向け

不思議な魚、 熱水噴き出す海底火山、 深海は驚きがいっぱい

 「しんかい6500」は、人を乗せて水深6500mまで潜れる潜水調査船です。主人公の少年と共にこれに乗って、深海の世界を探検してみましょう。
 太陽の光が届く表層はプランクトンが多く、生き物の種類も豊富です。深くもぐっていくと海の色が濃くなり、ぎょろ目の魚が多くなります。さらに潜るとクラゲがいっぱい。ダイオウイカも泳いでいます。深海底は餌の少ない厳しい世界。それでもさまざまな生き物が生きています。
 細密なイラストが描き出す深海の生き物は迫力満点。深海魚の体の秘密のほか、海底火山や海底資源についてのわかりやすい説明もあり、深海への興味をかき立ててくれる絵本です。

『もどれっ! ルイ』

  • 矢部美智代=作
  • 陣崎草子=絵
  • 国土社=刊
  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校低・中学年向け

突然いなくなった かわいい愛犬ルイ そのときぼくは…

 お父さんの知り合いが海外に行くことになり、飼っていた犬を引き取ることになった伸。犬の名前はルイ。もともと捨て犬だったため、最初は伸を警戒していましたが、少したつと、伸とルイは大の仲良しになりました。ところがある日、学校から帰ってくると、ルイの姿が見当たりません。空っぽの小屋の前に、目を赤くしたお母さんが立っていました。
 一緒に遊んでいるときのルイの息遣いやぬくもり。ルイのいない小屋に残された湿った臭いと、小さく揺れる茶色の毛。その時々の細やかな描写を通して、主人公の気持ちが痛いほど伝わってきます。突然やってきた愛犬との別れを通して、成長していく少年の姿を描きます。

『明日は海からやってくる』

  • 杉本りえ=作
  • スカイエマ=絵
  • ポプラ社=刊
  • 定価=1,300円+税
  • 対象:小学校高学年

漁師をめざす竜太 都会から来た灯子 2人の将来は…

 竜太が暮らす辰島は人口120人ほどの小さな島。ほとんどの世帯が漁業を営み、竜太も高校を出たら、父の跡を継いで漁師になるつもりです。島には竜太を含めて中学生が3人。その1人、灯子は都会から転校してきたばかりですが、ひ弱なところなどなく、積極的に島の人たちのなかに入り込み、地元っ子になろうと努力をしていました。そんな灯子を竜太は尊敬し、いじらしくも思うのでした。
 一度島を出て戻って来た兄。漁師を生きがいとする島の老人。そしてかけがえのない存在となっていく灯子。周囲の人々とのかかわりを通じて、将来に悩みつつも自分らしく生きようとする竜太の姿を、離島を舞台に鮮やかに描き出します。

『親の「その一言」がわが子の将来を決める
幼・小学生篇/中・高校生篇』

  • マデリーン・レヴィン=著
  • 片山奈緒美=訳
  • 新潮社=刊
  • 定価=1,400円+税

  • 対象:保護者向け

わが子の成長のために 親がすべきこと してはいけないこと

 親なら誰しも、わが子に幸せになってほしいと願うもの。とはいえ親がどれほど子どもを守ろうとしても、人生は子どもに試練を与えます。それがなければ子どもは成長できないのです。「だからこそ子どもには広い視野と、問題が起こったときに対応したり、立ち直ったりできる力を持ってほしい」と著者は言います。
 親の過剰な期待につぶされる「病んだ秀才」を診てきた心理学者の著者が、健全で自立した子に育てるための親の在り方を説く、全米ベストセラーの書です。年齢ごとに直面する問題への対処法について、親はどんなことばを掛け、何を言ってはならないかを、豊富な事例をもとに具体的にアドバイスしてくれます。

『1秒って誰が決めるの? 日時計から光格子時計まで』

  • 安田正美=著
  • 筑摩書房=刊
  • 定価=780円+税

  • 推薦者:理科科副教科責任者 森本 洋一 先生

「時間」を切り口に 理科の考え方、おもしろさを 教えてくれる一冊


理科科副教科責任者
森本 洋一 先生

 日時計から振り子時計、ぜんまい時計、クオーツ時計、原子時計に至るまで、時計には精度向上に向けた長い技術の歴史があります。その歴史をたどるとともに、「1秒をどこまで厳密に定義できるか」という究極の目標に向けて進化を続ける技術の最先端を、原子時計の研究者が解説しています。
 前半は、時を計ることについての歴史的な話なので読みやすいと思います。後半は原子時計の仕組みの話が出てきて難しい部分もありますが、たとえ話を使ってわかりやすくていねいに説明されているので、小学生、特に理科好きな5~6年生なら興味深く読めると思います。
 中学入試では、時間や時計をテーマにした問題が出題されるケースは珍しくありません。特に、理科が好きな子が興味を持って解くような、思考力・記述力を重視する問題を出す学校をめざす場合は、ぜひ読んでほしい内容です。
 理科という教科で学ぶ内容は、長い歴史のなかで、多くの科学者たちが試行錯誤をしながらさまざまな手法によって明らかにしてきた成果の結晶です。本書では時計をテーマに、過去の科学者たちの功績をわかりやすく紹介する構成になっており、科学的な考え方のおもしろさがわかる話がたくさん盛り込まれています。また、何かの現象に興味を持ったとき、どのようなことに気をつけて調べればよいかといったことも説明されているので、これから理科を学んでいくときにも、とても役立つと思います。
 理科を学ぶうえで大切なのは、できる限りいろいろなものに知的好奇心を向けて、興味を持って勉強することです。そのきっかけになる本としてお薦めします。

ページトップ このページTopへ