受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2014年10月のBooks

 今年も残すところ1か月余り。受験勉強も大詰めです。受験勉強の気分転換の方法としてよく挙げられるのは読書です。とはいえ、どきどきはらはらのおもしろい物語だと、途中でやめられなくなるかもしれません。そこで、お薦めなのは文字の少ない図鑑や絵本、スポーツや手芸などの趣味の本、それからクイズの本など。このコーナーでも図鑑や絵本はよく紹介しており、今月はクイズの本も取り上げています。好きな本で上手に気分転換をして、勉強の集中力を高めてください。

『五日市憲法草案をつくった男・千葉卓三郎』

  • 伊藤始・杉田秀子・望月武人=著
  • くもん出版=刊
  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校高学年向け

今から130年前、 農民たちが考えた 画期的な憲法があった!

注目の一冊 日本国憲法がつくられる60年余り前、日本国憲法とよく似た憲法が、ある山村でつくられていました。その存在は長く埋もれたままでしたが1968年、歴史学者によって東京都あきる野市五日市の旧家の土蔵で発見されました。「五日市憲法草案」と名付けられたその条文は、仙台藩士の子として生まれ、当時、五日市の小学校教師をしていた千葉卓三郎がまとめたものです。
 当時、日本各地では、自由民権運動が広がり始めていました。薩摩藩や長州藩など一部の人が政治を行うのではなく、議会で話し合って政治を行うべきだという主張が広まり、民間の手で憲法草案をつくろうという気運が高まっていました。五日市でも早くから町の有志を中心に勉強会が開かれ、新しい日本について熱く語り合う若者たちがいました。彼らの思いが実を結んだのが「五日市憲法草案」です。
 本書では卓三郎の生涯を追いながら、草案ができるまでの過程を読みやすい物語形式で描いています。一日中働いて疲れ切った夜、勉強会に集まり、自由について、女性の選挙権について、あるいは安楽死と人権について熱心に話し合う農家の人たち。みずからの体験から語る彼らの話には説得力があります。
 こうした勉強会から、国民の権利と自由が明確に保障された、当時としては画期的な憲法の草案がつくられました。しかし、大日本帝国憲法の制定が決まったため、日の目を見ることはありませんでした。「国民の願いが政治に生かされる世の中を」という強い思いが込められた「五日市憲法草案」。憲法とはどうあるべきか、憲法の原点を考えるきっかけを与えてくます。

『シカになったシバ』

  • 藤原理加=文
  • 中山玲佳=絵
  • ポプラ社=刊
  • 定価=1,600円+税

  • 対象:幼児・小学校低学年向け

不思議な旅で 少年が手にした 宝物とは?

 ある夜、不思議な歌声に誘われて旅に出たシバ少年。声の主に息を吹き掛けられ、シカの姿に変えられてしまいます。「なんでやねん」。文句を言いたくても口から出るのは「ぴーっ」という鳴き声ばかり。気づけば落とし穴に落ち、パラシュートで空を飛んでいました。
 顔はシカになったものの、背中にはリュック、おでこにはゴーグル、足にはオレンジ色のスニーカー、というシバ少年の旅のスタイルが笑いを誘います。予測がつかないストーリーのおもしろさ。ページをめくるごとにがらっと変わるダイナミックな色彩。まぶしい太陽、美しい鳥のいるジャングル、聖なる山の石の神様など、ラテンアメリカの風が感じられる絵本です。

『ていでん★ちゅういほう』

  • いとうみく=作
  • 細川貂々=絵
  • 文研出版=刊
  • 定価=1,200円+税
  • 対象:小学校低学年向け

暗くたって 怖くない! 立ち上がれ! ゲン!

 バリバリバリ! ゲンが、お姉ちゃんと留守番をしていると、雷の音とともに家中の電気が消えました。「ゲン! 懐中電灯どこやったの? この間、いじってたでしょ!」。懐中電灯を探すうちに、2人は2段ベッドから落ちるやら、おもちゃを踏んづけるやら、てんてこ舞い。おまけに見つけた懐中電灯は電池切れ。そのうちお姉ちゃんはベッドに突っ伏して、何も言わなくなりました。お姉ちゃんは暗いところが大嫌いなのです。どうする? ゲン!
 姉弟2人だけの停電の夜。ゲンの勇気ある行動が、怖い夜を温かい夜に変えてくれます。誰にでも起こりそうな日常生活の一コマから生まれた、小さな冒険物語です。

『もっとくらべる図鑑クイズブック』

  • 加藤由子=監修・指導
  • 小学館=刊
  • 定価=850円+税
  • 対象:小学校低学年向け

どっちが大きい? 比べて実感できる 楽しいクイズがいっぱい

 問題です。次のなかでランドセルに収まるのはどれ? ①エリマキトカゲ ②コガタペンギン ③ツラナガコビトザメ。トカゲかペンギンかサメかと問われればトカゲのような気がしますが、正解は③。全長が約22cm、深海にすむ世界最小のサメの一つです。答えのページには、ランドセルの大きさと比べた写真も出ており、なるほど納得です。
 生き物の大きさや重さ、ジャンプ力、ミルクを飲む量などは、身近なものと比べるとよくわかります。そんな比べて調べる『もっとくらべる図鑑』から生まれたクイズブックです。生き物、宇宙、建造物などにかかわるクイズが全部で100問。楽しみながら知識が身につきます。

『流れ星☆ぼくらの願いがかなうとき』

  • 白矢三恵=作
  • うしろだなぎさ=絵
  • 岩崎書店=刊
  • 定価=1,200円+税

  • 対象:小学校中学年向け

流れ星に願い事をしたら 流れ星が家に来た! そんなことってある?

 ゆうは地元の野球チームに所属する4年生。レギュラー入りをめざして、今夜も庭で素振りの練習です。すると夜空にぼんやり、星が動いていくのが見えました。とっさに空に向かい「どうかレギュラーに選ばれますように」と手を合わせるゆう。ところが光はすぐに消え、そばに見知らぬ男の子が立っていました。「願いをかなえてあげる」と男の子。この子、もしかして、さっきの流れ星?
 流れ星に願いをかけたら、その流れ星が目の前に現れた。そんなところから始まる楽しいお話です。流れ星にもライバルがいることを知ったゆうの気持ちの動きを軸に、ライバルのすばらしさ、努力することの大切さを伝えてくれます。

『「謎」の進学校 麻布の教え』

  • 神田憲行=著
  • 集英社=刊
  • 定価=759円+税
  • 対象:保護者向け

麻布の懐の深さを 通して見えてくる 「自由に生きよ」の精神

 麻布といえば全国屈指の名門男子進学校。一方で「自由過ぎる学校」というイメージがあるのも事実です。実際はどうか。2年に及ぶ徹底取材を通して、麻布の素顔を明らかにします。先生や生徒へのインタビューからは、授業の様子や生徒たちの本音が生き生きと伝わります。入試問題の作り方や採点方法の話も具体的で、受験生には見逃せません。
 教育の根底を貫くのは、教師が生徒を管理することを求められた時代に、「自由に生きよ」と勇気を持って教えた麻布の精神です。変容する社会のなかで「流されないように必死に杭にしがみついている」と語る前校長の氷上信廣先生。退任される際の生徒に向けた最後のあいさつは感動的です。

『葉っぱのフレディ ─いのちの旅─』

  • レオ・バスカーリア=作
  • みらいなな=訳
  • 童話屋=刊
  • 定価=1,500円+税

  • 推薦者:サピックスキッズ代々木校室長  金澤 信介 先生

「生きる」とは?「死ぬ」とは? 人生を考える きっかけになる絵本


サピックスキッズ代々木校室長
金澤 信介 先生

 春に生まれた葉っぱのフレディが、葉っぱの仕事を終えて、冬に土に返っていくまでを描いた絵本です。葉の一生を描いた物語として幼児でも読めますが、小中学生や大人が読んでも深く考えさせられる本です。
 テーマは「命」です。どんなに科学が進歩しても、どんなに人種が違っても、普遍的なテーマです。誰でも必ず人生について考える時期があります。「人生とは何か」「生きるとはどういうことか」。そして、生きることの裏返しとしてある「死ぬ」とはどういうことなのか。この普遍的なテーマを考える材料になる本です。
 フレディは、その一生のなかでさまざまなことを学びます。大きな木の太い枝に生まれ、夏にはたくさんの葉に取り囲まれたフレディは、同じように見える周りの葉が、実は一つひとつ違うことに気づきます。夏に木陰を作って人々が喜んでくれたときは、それぞれが役割を果たすことの大切さを学びます。また冬になると、枯れて葉が落ちることは変化することの一つであり、死ぬことは自然なことなのだと知ります。
 ここに描かれているフレディはかえでの葉です。なぜ作者はかえでを選んだのでしょうか。かえでは手のひらに似ています。人生の経験を積んでいくなかで、知恵や教訓などさまざまなものをつかんでいく手です。小学生の皆さんは「なんで勉強なんかしなくてはいけないのか」と思うことがあるかもしれません。でも勉強を通していろいろな知識を得ることは、生きることにつながるのです。このかえでを見ていると、そんなことも感じます。
 同じ本でも人によってそこから感じることは違うので、それぞれの視点で読んでもらえればいいでしょう。ただ同じ本でも読む時期によって味わい方が異なるので、思い出したときに何度も読み返してほしいと思います。

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