受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2015年1月のBooks

 「努力は裏切らない」。このことばを支えに追い込みをかけている受験生は多いと思います。イタリアのサッカーチームで活躍する日本代表の長友佑都選手は、どんなにつらいときでもこのことばを胸にがんばってきました。長友選手だけではありません。今月紹介する『憧れのあの人のサクセスストーリー』に登場するアスリートや研究者、芸術家たちは、「努力は裏切らない」ことを、身をもって証明した人ばかり。もうすぐ新しい年が始まります。「2015年はこれをがんばりたい!」と思っている人の背中を押してくれる一冊になるはずです。

『先生、しゅくだいわすれました』

  • 山本悦子=作
  • 佐藤真紀子=絵
  • 童心社=刊
  • 定価=1,100円+税

  • 対象:小学校中学年向け

先生と子どもたち いつもの朝の教室で 流れていく、きらきらした時間

注目の一冊 皆さんは宿題を忘れたことがありますか。忘れたとき、先生に忘れた理由を話しましたか。
 ゆうすけのクラスでは、担任のえり子先生が毎日、宿題を出します。それを翌朝提出すると、点検係のりなが、みんなが宿題を出したか、名簿にチェックをします。「ゆうすけくん、宿題が出てないよ」。りなの声にゆうすけはドキリ。そうだ、ゆうべ寝る前に気がついたんだけど、眠くて、そのまま寝ちゃったんだった。
 ゆうすけはとっさに、えり子先生に言いました。「ぼく、ゆうべ、えっと、おなかが痛くて」。「じゃ、朝やればよかったじゃないの」と、りな。「実はお母さんもおなかが痛くて。だから朝、ぼくが朝ごはんとか作らなきゃいけなくて…」とゆうすけはしどろもどろ。そのとき先生は驚くようなことを言いました。「だめだなあ。うそをつくならもっと上手につかなくちゃ」。
 宿題を忘れるのはいけないことですが、うそをつくのはもっといけないことです。4年生のゆうすけたちなら、そんなことはわかっています。そのうえで宿題のチェックを思わぬ方向に進めていくえり子先生。その結果、みんなはおかしなことを言い出します。「先生! ぼく明日、宿題忘れると思います」「おれも忘れたい」「わたしも忘れたい」「じゃあ順番に忘れることにしようよ」。なぜみんなは、宿題を「やりたくない」ではなく「忘れたい」と思ったのでしょうか。
 学校っていいな、こんなきらきらした時間が過ごせるなんて。そんな気持ちになる物語です。今回の「さぴあ作文コンクール」の低学年向け課題図書の作者、山本悦子さんの最新作です。

『サンタクロースのおてつだい』

  • ロリ・エベルト=文
  • ペール・ブライハーゲン=写真
  • なかがわちひろ=訳
  • ポプラ社=刊
  • 定価=1,500円+税

  • 対象:幼児・小学校低学年向け

美しい写真で描く サンタの国の クリスマスの物語

 オンヤは北の国に住む女の子。夢はサンタクロースのお手伝いをすることです。クリスマスが近づいたある日、オンヤは決めました。「サンタクロースに会いに行こう。お手伝いをしますって、言いに行こう」。オンヤはスキーを履き、サンタクロースがいるはずの北をめざして、森の中に入って行きました…。
 赤い三角帽子に青いセーターと赤いチェックのスカート。足には動物の毛でできた靴を履いて、小さなオンヤの冒険が始まります。 美しい雪景色の写真でつづるクリスマスの物語です。絵の代わりに写真を使った絵本なので、目の前に本当のオンヤがいるかのように、読む人を物語の世界に誘ってくれます。

『なぜ? どうして? 宇宙のお話』

  • 渡部潤一=監修
  • 上浪春海=文
  • 学研教育出版=刊
  • 定価=800円+税

  • 対象:幼児・小学校低学年・中学年向け

直径10万光年の銀河系に 千億個の星がある! 宇宙ってすごい!

 地球から見ると、太陽と月は同じくらいの大きさに見えます。でも太陽は月に比べて約400倍も大きいのです。それなのに同じ大きさに見えるのは、太陽のほうが約400倍も遠くにあるからです。もし月までジェット機で行くとしたら、18日くらいで行けますが、太陽までは19年もかかります。赤ちゃんなら、太陽に着くころには大学生になっていることになります。
 月、太陽、惑星、恒星、銀河系やブラックホール、人工衛星や宇宙開発など、宇宙に関する素朴な疑問にわかりやすく答えてくれます。夜空に見える月の話から、何百億光年も先の壮大な広がりの話まで、未知の世界への興味をかき立ててくれる一冊です。

『10分で読める
憧れのあの人のサクセスストーリー』

  • サクセスストーリー研究会=著
  • 宝島社=刊
  • 定価=900円+税
  • 対象:小学校中学年向け

スポーツ選手から歌手、 漫画家、研究者まで 輝く18人の物語

 その少年は学校に行くのが嫌でした。アンドリューがいじめるからです。映画が好きな少年は、父親にビデオカメラをもらったのをきっかけに、自分で映画を作ることを思いつきます。そして勇気を出して、アンドリューに主役を頼みました。親しくなれるかもしれないと思ったからです…。
 『E.T.』『ジュラシック・パーク』などで有名な映画監督、スティーブン・スピルバーグの少年時代のお話です。
 あの人はどんな子ども時代を送ったのか、どんな努力をしたのか。マイケル・ジャクソン、浅田真央、宮崎駿、若田光一など各界で輝く18人の物語です。手軽に読めるので、より深くその人やその分野の本を読むきっかけになります。

『みんな知りたい!
ドクターイエローのひみつ』

  • 飯田守=著
  • 講談社=刊
  • 定価=1,200円+税
  • 対象:小学校中学年・高学年向け

新幹線の安全を守る 黄色い新幹線! そのすべてがわかる一冊

 皆さんは黄色い新幹線があるのを知っていますか。わたしたちが乗ることのできない、1か月に3回ぐらいしか走らない謎の新幹線です。その名は「ドクターイエロー」。正式名称を「新幹線電気軌道総合試験車」といいます。新幹線が安全に走れるよう、トロリ線という電気が流れている線やレール、通信回線などの状態を検査するのが仕事です。
 ドクターイエローの歴史から仕事ぶりまで、働く人たちに密着しながら、そのすべてを紹介します。実際にドクターイエローに乗って各車両を見て回った体験レポートもあり、天井の窓からパンタグラフがトロリ線に触れるところを見るなど、鉄道ファンでなくてもわくわくします。

『光と音のない世界で
盲ろうの東大教授 福島智物語』

  • 池田まき子=著
  • 岩崎書店=刊
  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校中学年・高学年向け

人間にとって 最も重要な仕事は 「生きること」

 東大教授の福島智さんは3歳で右目を、9歳で左目を失明し、18歳で聴力も失いました。光も音もない世界での想像を絶する不安と孤独。それでも周囲の人々のサポートを得ながら、日本で初めて盲ろう者として大学に進学し、初めて大学の教授になりました。その苦難の連続だった生い立ちから、バリアフリーの研究者として活躍する現在までを追います。
 外界とのつながりが次第に消えていく絶望感のなか、福島さんは「自分と同じ苦しみを持つ人々の役に立たなくてはならない」という自分の使命を感じ、新しい一歩を踏み出します。その生きざまが、「生きるとはどういうことか」を強く訴えてきます。

『17歳のための 世界と日本の見方 セイゴオ先生の人間文化講義』

  • 松岡正剛=著
  • 春秋社=刊
  • 定価=1,700円+税

  • 推薦者:第一教務部 中野 英樹 先生

親鸞から利休、ニュートン、 たらこスパゲティまで。 世界を広く見渡して 文化のつながりを考えよう


第一教務部
中野 英樹 先生

 テストの題材になる本を探していたときにたまたま書店で見かけました。何となく手にして読み始めたら先が気になり、気がついたら最後まで読んでいました。本書は大学での講義をもとにまとめた本で、「人間と文化の大事な関係」「物語のしくみ・宗教のしくみ」「ヨーロッパと日本をつなげる」など全5講で構成されています。内容は幅広く、世界の見方について、主に西洋と日本の側から宗教や文化など多くの例を挙げながら説明しています。
 グローバル化が叫ばれて久しいですが、皆さんは日本についてどれくらい理解しているでしょうか。歴史を勉強した人なら知識は多く持っているでしょう。でもそれらがどう結びついているか、全体像でとらえられる人は少ないと思います。この本を薦める理由はそこにあります。西洋との対比のなかで、日本をきちんと見つめ直してほしいと思います。
 もう一つの理由は、物事の見方、とらえ方の練習ができることです。著者の専門は編集工学という分野です。ここでいう「編集」とは、二つ以上の物事や世界観に対して、さまざまな角度から光を当て、新たな関係性を見いだすことです。物事を見るとき、この見方ができればとても役に立ちます。
タイトルに「17歳のため」とありますが、サピックス生なら中学を卒業するころには読めると思います。語りかける口調なので読みやすく、小学生でも歴史が好きな人なら挑戦できるでしょう。知らないことが出てきたら、知っている知識とどうつながっているかを調べてください。また大人の方が読んでも、知識と知識をつなげてくれるので楽しめると思います。
 知識を多く持てば、それはそれで楽しいかもしれません。でも、それが背景の部分でつながっていることがわかり、関連性が見いだせると勉強はより楽しくなります。そこに気づくきっかけになる一冊としてお薦めします。

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