受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2015年3月のBooks

 「小学校と中学校はどう違うか」。皆さんは考えたことがありますか。まず中学校では、算数に替わって数学を習うなど科目が違います。科目ごとに先生も変わります。先生の教え方も変わり、みずから学習する姿勢が求められます。そういったことは、今月紹介する『なりたて中学生 初級編』を読むとわかります。この物語では、中学に入学した男子がさまざまな人との出会いにどきどきしながら、新しい環境になじもうとがんばる姿がさわやかに描かれています。「中学校ってどんなところだろう」。気になったらページを開いてみてください。

『奇人・変人・大天才 紀元前から19世紀』/『奇人・変人・大天才 19世紀・20世紀』

  • マイク・ゴールドスミス博士=著
  • 小川みなみ=編訳
  • 偕成社=刊
  • 定価=各1,400円+税

  • 対象:小学校高学年向け

やっぱり天才はどこか変! 一味違う偉人伝が教える 科学者たちの驚きの人生

注目の一冊 ニュートンは万有引力の法則を発見した偉大な科学者です。どうしたらこんな大発見ができるのでしょう。その秘訣についてニュートンは言います。「いつもそのことを考え続けていることさ」。考え続けるといっても、集中度は半端ではなく、ある考えに取りつかれると、ほかのことが目に入らなくなってしまいます。卵の代わりに時計をゆでてしまった話は有名ですが、馬を引いて丘を上っていったら、上に着いたときに手にしていたのは、馬に装着していたくつわだけだった、というエピソードもあります。
 そんなニュートンにも聖書の記述から未来を予測しようとするなど、科学者らしからぬ一面がありました。古代ギリシャのアリストテレスも「重い物は軽い物より早く落ちる」など、たくさんの間違いをしています。実験で確かめられることだけを正しいとする科学の考え方が確立されていなかった時代だったのです。
 そのほかガリレオ、ダーウィン、アインシュタインなど、本書には2巻合わせて9人の科学者が登場します。天才でも性格的に問題のあった人もいて、たとえばパスツールは、難関校に合格したのに、順位が不服で翌年受け直しています。その奇人・変人ぶりも、科学者たちの人間的な魅力の一部といえるでしょう。
 彼らが活躍した時代は、現代のように自分の考えを自由に発表できたわけではなく、聖書の内容に反する理論や、それまでの理論をくつがえす新しい理論を発表することは命懸けでした。そんななか、彼らは悪戦苦闘しながら科学の道を切り開き、この世界が驚きに満ちたものであることをわたしたちに示してくれました。当時の実験方法や難しい理論・法則なども、楽しいイラストでわかりやすく説明されています。

『おばあちゃんが
おばあちゃんになった日』

  • 長野ヒデ子=作
  • 童心社=刊
  • 定価=1,300円+税
  • 対象:幼児・小学校低学年向け

ありがとう、おばあちゃん! すべてのおばあちゃんに エールを送る絵本

 赤ちゃんが生まれて、お母さんは大忙し。そこで、おばあちゃんがお手伝いに来ました。幼稚園にあこちゃんをお迎えに行くのはおばあちゃん。歌を歌ったり、草花遊びをしたり、塀の向こうの犬にあいさつしたり。おばあちゃんは“道草名人”です。家に帰ると、お母さんが赤ちゃんにおっぱいを飲ませていました。あこちゃんは思いました。「いいな、赤ちゃん…」
 あこちゃんのおばあちゃんは、もじゃもじゃ頭の丸い眼鏡を掛けた優しいおばあちゃんです。ほかにも元気でちょっと変なおばあちゃんがたくさん登場する、おばあちゃん図鑑のような絵本です。読めばきっと、おばあちゃんに会いたくなります。

『捨て犬・未来、命の約束
和牛牧場をたずねて』

  • 今西乃子=著
  • 浜田一男=写真
  • 岩崎書店=刊
  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校中学年・高学年向け

ペットの犬や猫の命と 食べる牛や豚の命 どこに違いがあるの?

 「未来」は生後間もなく人間に虐待され、ひどい傷を負って捨てられたことがある柴犬です。今は飼い主である著者と共に小中学校を回って、命の大切さを伝える「命の授業」をしています。そこで子どもたちからこんな質問を受けました。「イヌは殺してはいけないのに、ウシやブタはどうして殺してもいいんですか」。その質問に答えるため、著者と「未来」はウシの繁殖牧場から食肉センターまで、命の旅を始めます。
 食べられる命と、ペットとして飼われる命の違い。それを決めたのは人間です。人間には決めたことへの責任があります。それはウシやブタに対して人間が果たさなくてはならない「命の約束」だ、と著者は言います。

『お米の魅力つたえたい! 
米と話して365日』

  • 谷本雄治=著
  • こぐれけんじろう=絵
  • 文溪堂=刊
  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校中学年・高学年向け

お米のすばらしさを 伝えるために大忙し お米屋さん奮闘記

 高柳良三さんは、東京都目黒区にあるお米屋さんのご主人。店先には、カブトエビが泳ぐ水槽が置かれています。カブトエビは、農薬に代わって田んぼの草取りをしてくれる名人なのです。高柳さんはこのカブトエビを持って、小学校に出前授業に出掛けます。お米の話、米作りの話、食料自給率の話など、ユーモアを交えた高柳さんの授業は、子どもたちに大人気です。
 出張食育授業、カブトエビ農法の普及活動、農業高校が作るこだわり米の販売などを行う高柳さんは、農家と消費者の間を結ぶ、いわば「お米の広報マン」。愛情を持ってお米の魅力を伝えようと奮闘するその姿から、日本のお米のすばらしさが伝わってきます。

『なりたて中学生 初級編』

  • ひこ・田中=作
  • 講談社=刊
  • 定価=1,400円+税
  • 対象:小学校高学年向け

知っている友だちゼロ それでも俺は思った 中学校は怖くない!

 6年生の夏、新居に引っ越したテツオ一家。隣の学区ですが転校はせず、卒業までバス通学をすることになりました。ところがしばらくして、テツオは重大なことに気づきます。「俺はみんなと別の中学に行くんだ」。それは親友と別れ、みんなが入学する学校とは対立関係にある学校に入ることを意味します。「俺一人が敵方に入るってこと? これは相当絶望的やないか?」
 小学生から中学生になる境目の時期を描く物語です。中学入学後、数日間の学校の様子を追いながら、テツオのどきどきぶりがユーモアたっぷりに描かれます。誰しも中学入学が近づくと期待と不安が入り交じるもの。その不安の割合を小さくしてくれるお話です。

『子育ては心理学でラクになる』

  • DaiGo=著
  • 主婦と生活社=刊
  • 定価=1,000円+税
  • 対象:保護者向け

メンタリストならではの 子ども心のつかみ方を 具体的にアドバイス

 なぜ言われたことをしないのか。なぜ反抗ばかりするのか。子育てはいらいらの連続です。親が子どもの心を見抜くメンタリストになれば、子育てはもっと楽になるはずです。
 メンタリストとして活躍する著者が、最新の心理学で立証された子育て術を伝授します。やるべきことを「やる力」、やってはいけないことを「やらない力」、目標を立て計画的に行動する「望む力」、この三つを親が身につければ、子どもにいらいらしなくなるだけでなく、子どもも目的意識を持って勉強に取り組むようになる、と著者。集中力を高める朝食や子ども部屋の模様替え、やる気を引き出す声かけなど、具体的なアドバイスも満載です。

『ここがポイント!! 池上彰解説塾1』

  • 池上彰=著
  • 海竜社=刊
  • 定価=1,000円+税

出来事の原因は一つではない ニュースの裏側を知り、 多様な立場で考えられる人に


算数科教科責任者
立見 貴光 先生

 ジャーナリストの池上彰さんが、ウクライナ危機、イスラム国、消費税、原発問題など、さまざまなニュースについてわかりやすく解説しています。世の中で起きていることの多くは、一つの理由から起きたものではありません。背景にはいくつもの問題が複雑に絡み合っています。たとえばウクライナ問題にしても、「クリミアを併合したロシアが悪い」と言うのは簡単ですが、そうではない見方もあります。そうしたニュースの裏側を、さまざまな側面からひもといてくれます。
 来年夏、選挙権年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられる見込みです。皆さんも数年後には選挙権を持つでしょう。自分の意見を政治に反映させるという意識をしっかり持って、投票に行ってほしいと思います。そのためにはニュースに関心を持つことです。この本はそのきっかけになります。
 内容的に難しければ、保護者の方に読んでもらってもいいでしょう。大人でもニュースの一方的な面だけを見て、たとえば「消費増税はけしからん」などと断言してしまうこともあります。でも本当にそれでいいのでしょうか。幅広い観点から偏りなく考える必要があります。その意味では大人にも役立つ本だと思います。保護者の方が読み、食事のときなどに話題にしていただくと、お子さんがニュースに関心を持つきっかけになるでしょう。
 著者には広いネットワークがあります。だからこそ他者の多様な意見を聞くことができるのだと思います。それが話題の豊富さや人間としての魅力につながっています。皆さんも大きくなったら、幅広く人とつき合いながら、相手の国や立場に立って考えられる人になってほしいと思います。そして自分のことだけを考えるのではなく、広い視野に立って将来、世界で活躍できる人材となることを願っています。

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