受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2017年5月のBooks

 各地で花火大会が開かれる季節です。今月紹介する『絵本 江戸のまち』によると、花火はもともと、戦国時代に使われていた鉄砲の火薬が、江戸時代に使い道がなくなったため、娯楽に使われるようになったもの。この絵本には両国の花火見物の場面が細かく描かれ、当時のにぎわいが伝わります。浅草、品川宿、日本橋などの様子も生き生きと紹介され、江戸時代にタイムスリップできます。手軽にできる江戸ツアー、夏の旅行計画の一つにいかがですか。

『靴屋のタスケさん』

  • 角野栄子=作
  • 森環=絵
  • 偕成社=刊
  • 定価=1,200円+税
  • 対象:小学校中学年向け

赤い靴の思い出、 幼いときに過ごした あの宝物のような時間

注目の一冊

 1942年の初夏のこと。表通りの時計屋さんが店を畳んでから、しばらくからっぽだったお店に新しい看板が付きました。「タスケ靴店」。「お靴を直したり作ったりします」とも書いてあります。女の子は、どんなお店が入るのか心待ちにしていたので、毎日そのお店に行って、ガラス窓の外から、開店の準備をする様子をのぞいていました。
 靴屋のタスケさんは、ひょろ長い体に、ぶ厚いメガネを掛けた若いお兄さん。女の子が毎日見に来るので、ある日「おいで」と言って中に入れてくれました。仕事机の下には、親指のところに穴が空いた靴や、底がはがれた靴が置いてありました。みんな古くて汚れています。楽しい話をしながら、その一つひとつをていねいに直していくタスケさん。女の子はタスケさんが大好きになりました。
 戦争の時代の小さなお店を舞台に、女の子と靴屋のお兄さんの交流を描きます。物のなかった時代に、苦労して手に入れた上等な革を使って、ていねいに靴を作るタスケさん。そこには靴への愛情と敬意があふれています。しかし、そんなタスケさんもやがて兵隊に行くことになり、町は空襲で焼け野原になります。でも戦争がすべてを奪っても、思いは残ります。
 「そういえば、小さいときに持っていたあれ、どこにいったかな」なんて思うものが、誰にでもあるのではないでしょうか。そんなものを探したくなる心温まる物語を、美しい挿絵とともに『魔女の宅急便』の作者が描き出します。行間を味わいながらゆっくり読んでください。

『絵本 江戸のまち』

  • 太田大輔=作・絵
  • 講談社=刊
  • 定価=1,600円+税
  • 対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け

妖怪の案内で行く 春夏秋冬、 楽しいお江戸のまち巡り

 江戸で一番の遊び場だったという両国。隅田川に架かる両国橋には、かごかき、お役人、行商人などたくさんの人が行き交い、川沿いに並ぶ屋台や見世物小屋もにぎやかです。ページをめくれば今度は、江戸で多かった火事の場面です。燃え盛る炎の中、火消し衆が屋根の上でまといを振って大活躍です。
 妖怪小僧の案内で巡る江戸のまち。長屋の正月の様子や品川宿での花見、高輪のお月見など、どの場面も細かく描写され、人々の暮らしぶりが生き生きと伝わってきます。親子で、「これは何の店だろう」「この人は何をしているのかな」なんて話しながら見てください。疑問は巻末にある場面ごとの説明で解決できます。

『耳の聞こえないメジャーリーガー ウィリアム・ホイ』

  • ナンシー・チャーニン=文
  • ジェズ・ツヤ=絵
  • 斉藤洋=訳
  • 光村教育図書=刊

  • 定価=1,400円+税
  • 対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け

「セーフ」「アウト」が 聞こえなくても これなら一目瞭然!

 幼いころ、病気がもとで聴覚を失ったウィリアム。ろう学校を卒業後、靴の修理店で働きますが、大好きな野球の練習を続けていたおかげで、マイナーリーグのチームに入団します。ある試合でのこと、打席に立ったウィリアムは審判の「ストライク」の声が聞こえず、三振に気づきませんでした。立ち続ける彼を見て、みんなが笑いました…。
 19世紀の終わりごろに活躍したメジャーリーガーの生涯を、絵本で紹介しています。今では当たり前になっている「ストライク」や「セーフ」などの審判のジェスチャーも、彼のために考えられたものだったといわれています。ハンディを乗り越えてメジャーリーガーになって活躍したがんばりが、さわやかな感動を呼びます。

『雨ふる本屋とうずまき天気』

  • 日向理恵子=作
  • 吉田尚令=絵
  • 童心社=刊
  • 定価=1,400円+税
  • 対象:小学校高学年向け

想像の力を使えば 何だってできる! 不思議な世界を大冒険

 妹のサラを探して図書館に来たルウ子は、本棚の陰から聞こえるひそひそ声に、思わず耳をそば立てました。誰かが図書館の本を盗むだの、燃やすだのと話しているのです。ところが盗み聞きをしていたことがばれて、2人は一目散に逃げます。その先には「雨ふる本屋」の古い扉がありました。
 お話を書くのが大好きなルウ子とサラが、想像力がものをいう「すきまの世界」で大冒険をします。砂漠に囲まれた鳥びとの国、世界を旅するリンゴリンガ鉄道など、「すきまの世界」は不思議なものがいっぱい。ドードー鳥のフルホン氏、雨童の電々丸など、ユニークなキャラクターが物語を盛り上げます。「雨ふる本屋」シリーズの第3弾です。

『ひらけ蘭学のとびら「解体新書」をつくった杉田玄白と蘭方医たち』

  • 鳴海風=作
  • 関屋敏隆=画
  • 岩崎書店=刊
  • 定価=1,500円+税
  • 対象:小学校高学年向け

『解体新書』の完成には 気の遠くなるような 翻訳作業の苦労があった

 若狭国小浜藩の藩医の家に生まれた杉田玄白。父は殿様を診る名医でしたが、幼少期に身近な人を次々と病気で失うなか、治せない病気を治せる医師になりたいと玄白は思います。やがてオランダの医学書を見る機会を得た玄白は、そこに人間の内臓や骨格などが細かく描写されているのを見て、「実物を見たい」と強く思うようになるのでした。
 杉田玄白の幼少期から『解体新書』完成までを描く物語。漢方医術が中心だった時代に、西洋の医学書の正確さに驚いた医師たちが、オランダ語の知識も辞書もないなかで翻訳したのが『解体新書』です。近代医学への扉を開いた医師たちの、想像を絶する苦労と熱意が伝わってきます。

『カーネーション』

  • いとうみく=作
  • 酒井駒子=画
  • くもん出版=刊
  • 定価=1,400円+税
  • 対象:小学校高学年向け

どんなに願っても、 母に好かれることはない… 厳しく問われる家族の形

 中学生の日和には、母に優しくされた記憶がありません。母に嫌われていると思ったのは小学2年生のとき。生まれたばかりの妹に触れようとして、「ダメ! バイキンがつく」と言われたとき、はっきりわかったのです。日和にとって、家は帰りたくない場所になっていきました。そして母の誕生日、事件は起こりました。
 母親に嫌われていると苦しむ娘と、娘を愛せないと苦しむ母親。そんな2人から目をそらしていた父親。それぞれの思いを交互に描き分けながら、家族とは何かについて深く考えさせる物語です。時には温かく、時には息苦しくもなる家族の存在。話題作を次々に発表する児童文学作家が、難しいテーマに切り込んだ意欲作。

『世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉』

  • 佐藤美由紀=著
  • 双葉社=刊
  • 定価=1,000円+税

「豊かさ」とは何か 「幸せ」とは何かを 考えるきっかけに


練馬校 校舎責任者
鈴木 良太郎 先生

 「世界でもっとも貧しい大統領」といわれたウルグアイのホセ・ムヒカさん。日本にも来られたことがあるので、知っている人は多いでしょう。どんなことを言っているか、聞いたことがある人も多いでしょう。
 この本は最初に、ムヒカさんが世界に注目されるきっかけになった、2012年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた国際連合「持続可能な開発会議」でのスピーチの全文を掲載しています。まずこのスピーチを読んで、彼が訴えたいことについて考えてほしいと思います。
 そのうえで、後に書かれている彼の半生やその生き方、考え方について、読み進んでほしいと思います。ムヒカさんは温和な物腰からは想像できないような、激動の半生を歩んできました。社会主義革命をめざす武装グループで革命運動に参加し、警察の銃弾を受けて大けがをしつつ、13年間も過酷な獄中生活を送っています。そうした彼の過去を知ることによって、なぜこういう話をするようになったかを知ってほしいと思います。
 皆さんは、「貧乏」とはどんなことだと思いますか。「豊かさ」とは、「幸せ」とは何だと思いますか。彼は言います。「貧乏とは欲が多すぎて満足できない人のことです」。わたしたちはお金がたくさんあって、それを自分の好きなように使えることが豊かさだと思いがちです。そうではないのだと、ムヒカさんは声を大にして訴えます。彼はこうも言います。「余裕のある人には弱者を助ける義務がある」「人生はもらうだけではだめだ。まずは自分の何かをあげること」と。これが彼の政治家としての信念を貫いている考え方だと思います。個人主義の傾向が強く、助け合いの精神が薄れている今の世の中にあってこそ、考えなくてはいけないことです。
 ムヒカさんのことば自体は抽象的ですが、その意味を現代の世の中に置き換えて考えていくことが大切です。それが自分の考え方の幅を広げていくことにもなると思います。

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