任期切れが重なり、同じ年に重要な選挙
2012年は主要国の指導者の顔触れが大きく変わる年になるかもしれません。というのも、3月にはロシアで、4月にはフランスで、11月にはアメリカで、そして12月には大韓民国(韓国)で、それぞれ大統領選挙が予定されているからです。これは各大統領の任期切れのタイミングがたまたま重なったために起こりました。大統領の任期はロシアとアメリカが4年、フランスと韓国が5年と決まっているのです(ロシアの大統領の任期は2012年の選挙以降、6年に)。
これに対し、日本の内閣総理大臣(首相)の任期に定めはありません。強いて言えば、与党の党首(民主党なら「代表」)の任期が首相の任期に相当するといえるでしょう。たとえば、民主党代表の任期は3年(2012年9月に選ばれる新代表から。それまでは2年)。しかし、再選回数に制限はないため、民主党が政権の座にある間は、民主党代表である限り、同一人物がずっと首相を務めることもできるのです。これは日本の政治の仕組みが「議院内閣制」であることと関係があります。議院内閣制とは、議会で多数の議席を占めている政党の党首が首相になり、内閣を組織するというもの。日本で与党の党首を決める選挙が毎回注目されるのはそのためです。
また、一般的に、大統領と首相の権限も異なります。たとえば、アメリカでは大統領に強い権力があり、議会が可決した法案を拒否することも可能です。ロシア、フランス、韓国には、大統領とは別に首相もいますが(アメリカにはいません)、首相を指名する権限は大統領にあります。一方、日本の国の最高機関は国会で、首相は内閣というチームで政治を進めます。なお、日本の首相は国会議員による投票で決まるのに対し、これら4か国の大統領は国民の選挙で選ばれます。この点も首相と大統領の大きな違いの一つです。
●2012年、主要国・地域の指導者選び

ロシア
●最有力候補であるプーチン氏への批判も
ロシアの大統領選挙は3月4日に行われます。現職のメドベージェフ氏の前に大統領を2期8年務めたプーチン首相が再度立候補するほか、4人の候補者が確定しました。大統領だった時代にロシア経済を成長させたプーチン氏の人気は高く、今回の選挙の最有力候補となっています。
ただし、「反プーチン」の動きも出ています。実際、2011年12月の下院議員選挙では、プーチン氏が党首を務める与党・統一ロシアが勝ったのですが、与党が不正行為を行ったとして、これに抗議する大きなデモが起きました。また、プーチン氏が言論活動や反政府活動を抑えてきたことについても批判が集まっています。
フランス
●現職のサルコジ氏の支持率は低迷
4月22日に行われるのがフランス大統領選挙です。現職のサルコジ氏は支持率が低迷しており、苦戦が予想されています。その主な要因は経済運営がうまくいっていないこと。失業率が上昇したり、フランス国債の格付けが最上位のAAAからAA+へ1段階格下げされたりしているのです。
現在、ヨーロッパ連合(EU)加盟国の一つで、統一通貨ユーロを使用しているギリシャの財政が極端に悪化したことが主な原因となり、ヨーロッパは金融危機に直面しています。フランスはギリシャを支援するための中核となっており、自分たちの税金が使われることに対するフランス国民の不満が高まっています。このことも大統領選挙に影響を及ぼしそうです。
アメリカ
●共和党では1月から候補者選びが活発化
民主党と共和党の二大政党制であるアメリカでは、大統領選挙は事実上、両党の候補者の一騎打ちになります。アメリカ大統領は2期8年まで務めることができるため、民主党の候補者は、現在まだ1期目のオバマ大統領で確定しています。
一方、共和党では今年早々から候補者選びが活発に進められています。全米50州で6月まで、州ごとに党員集会や予備選挙を行い、党員による投票によって候補者を絞り込むのです。その後、共和党は8月の全国党大会で大統領候補と副大統領候補を決定。あとは11月6日の一般国民による大統領選挙の日を待つばかりとなります。
現在、アメリカでは経済政策に対する国民の不満が高まっており、オバマ氏の再選は必ずしも楽観できないようです。
韓国
●まずは4月に行われる総選挙の結果に注目
韓国では憲法の規定により、大統領の再選が禁じられています。そのため、現職の李明博氏は立候補できません。現在のところ、李明博氏と同じ政党に所属し、韓国大統領を務めた父を持つ朴槿恵氏や、IT企業家でソウル大学教授の安哲秀氏らが立候補を検討しているようです。
12月の大統領選挙に先立ち、韓国では4月に国会議員の総選挙が実施されます(韓国の国会は一院制)。その結果は大統領選挙に大きな影響を及ぼすので、十分に注目したいものです。また、韓国大統領はいわゆる南北関係のキーパーソンの一人でもあるため、大統領候補者の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する態度についても留意しましょう。
台湾と中国
●台湾の総統選挙と中国の国家主席の交代
太平洋戦争の終結後、中国大陸では共産党と国民党の争いが再燃し、勝った共産党が大陸に残り、負けた国民党は台湾に逃れました。それ以来、台湾と中華人民共和国(中国)は犬猿の仲となっています。
その台湾では1月14日に指導者である総統(大統領に相当)を選ぶ選挙が行われ、現職の馬英九氏が再選されました。馬氏は1期目に大陸との関係改善に力を入れただけに、その再選は台湾の人々が大陸との関係を良くしたいと望んでいることの表れともいえるでしょう。
一方、中国では2012年秋に第18回中国共産党全国代表大会が開かれる予定です。この大会で共産党総書記が現在の胡錦濤氏から習近平氏に代わる見込みです。2013年には国家のトップである国家主席も同様に代わると見られています。中国は今や大国となっただけに、指導者の交代は台湾との関係にとどまらず、世界的にもさまざまな影響を及ぼしそうです。
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