受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

桐蔭学園中等教育学校

2023年5月19日(金)

自立した子どもを育てるために“生徒を主語にして考える”教育を実践

 「自ら考え、判断し、行動できる子どもたち」を教育ビジョンに掲げる桐蔭学園中等教育学校。それまで男子のみだった中等教育学校と、男子部・女子部に分かれていた中学校を2019年に統合し、共学の中等教育学校として再出発しました。

 説明会の冒頭、校長の玉田裕之先生は、「本校では“生徒を主語にして考える”という目標の下、全人教育をめざしています。学習のプロセスを大切にしながら、ゆくゆくは子どもが自立して学んでいけるようサポートしていきます」と述べ、「桐蔭で伸ばす学力」のイメージとして、氷山の写真をスクリーンに映しました。水面から出ている部分は「見える学力(知識・技能)」で、水面下に隠れている部分は「見えにくい学力(思考力・判断力・表現力)」「見えない学力(学びに向かう力と人間性)」だと前置きしたうえで、「見える学力を伸ばすためには、それを支える土台の部分が非常に重要です」と説明しました。その土台づくりのために重視しているのが、「アクティブラーニング型授業」「探究」「キャリア教育」の3本柱です。これらを通して明確な目的意識を持つことで、希望進路の実現をめざすというわけです。玉田先生は「自然豊かなキャンパスで過ごす6年間には、さまざまな学びの機会があります。“お子さんが6年間を過ごす場所としてふさわしいかどうか”という視点を大切に、本日の説明会を学校選びに役立ててください」と語りました。

 次に、教育の3本柱の具体的な内容について、3年生(中3)の担任で数学科の森祥平先生が説明しました。まず「アクティブラーニング型授業」では、どの教科でも「個→協働→個」の流れを重視しているとのことです。たとえば数学では、まずは1人で問題を解き、ペアワークで解法を他人に説明し、そして再び自分の解答を振り返るという流れで、定着を促しているそうです。

 次に「探究」の取り組みとして、「未来への扉」と称した授業を週に1時間行っていることを紹介しました。1年生(中1)では偉人研究、2年生(中2)では社会研究と各テーマに基づくリサーチを深めていき、年度末に行われる「みらとび発表会」での発表をめざします。そして、前期課程の探究活動の集大成となるのが、3年生(中3)の「15歳のグローバルチャレンジ(模擬国連)」です。これは、4人1組のグループにそれぞれ担当国を割り振り、その国が置かれている状況や周辺国とのかかわりを掘り下げて学ぶものです。最終的には「模擬国連総会」で、すべての生徒が大使になりきり、英語で発言します。森先生は「多角的な視点から物事を考える柔軟性、分析力、交渉力が身につくのはもちろん、英語力の向上も期待できます」と、取り組みの意義を説明しました。

 一方、「キャリア教育」では、生徒の発信力を重視しています。朝のホームルームで「1分間スピーチ」として、生徒が1人ずつ、将来の夢や関心のあるニュースについて話す時間を設定しているのはその表れです。発表には、それを聞いた各生徒が1枚ずつメッセージカードを書きますが、そこで共感や賞賛が得られれば自己肯定感も養われます。そして、その延長線上にあるのが、5年生(高2)での「キャリア宣言」です。通常の三者面談は、保護者と生徒が隣り合い、教員と対面する形で行われますが、5年次の三者面談は少し違います。保護者と教員に向けて、生徒がみずからの希望進路について話をする「プレゼン型三者面談」なのです。そして、5年修了次に自分の進む道を記した「キャリア宣言」を完成させます。森先生はこれを「自立した受験生として、明確な目的意識を持って大学受験に臨むための試み」と説明しました。“生徒を主語にして考える”同校の姿勢が色濃く反映された取り組みといえます。

 また、「アフタースクール」(放課後のさまざまな活動)の場として、外国人教員と英語で交流できる「グローバルラウンジ」を設置していることも紹介しました。さらに、植物採集、小動物の解剖などの多彩なプログラムが行われているそうです。緑豊かな校地と充実した施設を生かして、学びの機会を充実させていることをアピールしました。

イメージ写真 横浜市青葉区にある広大なキャンパス。里山の緑豊かな環境の下、魅力的な施設がそろい、生徒たちは学習にスポーツにと充実した学校生活を送っています

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