受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

獨協中学校

2025年6月9日(月)

長所を伸ばし、豊かな心、正しい心構え、確かな知性を身につけた品格ある人格を育てる

 東京メトロ有楽町線の「護国寺」「江戸川橋」両駅から徒歩8~10分程度の獨協中学校・高等学校は、明治時代の啓蒙思想家・西周を初代校長として1883年に創立された「獨逸学協会学校」から発展した完全中高一貫の男子校です。戦後、第3次吉田茂内閣で文部大臣を務めた天野貞祐が第13代校長に就き、教養と理性を重んじる人間教育を推進しました。その理念は今も同校の教育を支えています。

 この4月に校長に就任した坂東広明先生は、同校が理想とする生徒像について「本校では幅広い学びを通して生徒の長所を伸ばし、豊かな心、正しい心構え、確かな知性を身につけた品格ある人格を育てる方針です」と語りました。

 同校では中高6年間を2年ずつの3期に分け、男子の成長段階に合わせたカリキュラムを編成しています。まず中1・2の「基礎学力養成期」では、自学自習の習慣を身につけるため、「獨協手帳」に学習計画や振り返りなどを記入して自己管理意識を高めます。また、英語・数学は単元ごとに小テストを行って小まめに定着度を確認し、学習の遅れが目立つ生徒には指名補習を行います。一方、発展的な学習を望む生徒には、理科の実験教室や成績上位者向けの特別講習などを実施して、学びへの興味・関心を引き出します。続く中3・高1の「学力伸張期」では、論理的思考力が飛躍的に伸びてくる時期を活かし、中3では1年かけて研究論文に取り組み、テーマ選びから調査・研究まですべて生徒自身が決定し、進路を考えるきっかけとします。加えて、蔵書数8万冊以上の図書館を利用した読書会、学校周辺の史跡を巡る文学散歩など学習意欲を掘り起こす多彩な企画も行っています。高2・3は「学力完成期」です。高2までに高校の履修範囲を終え、高3では希望の進路に応じた演習中心の授業を進めます。

 系列の獨協大学や獨協医科大学の協力の下、オンライン講義やサマーセミナーを行うなどキャリア教育や学習面での中高大連携体制も整えています。両大学への系列校推薦制度もあり、獨協医科大学(医学科)への推薦枠は獨協埼玉高校と合わせて約10名とのことです。

 続いて、入試広報室長の古池俊明先生が特徴的な教育について紹介しました。古池先生が最初に挙げたのが外国語教育です。英語は週6コマのうち2コマを活用練習に充て、中2からオンライン英会話を始めます。海外研修プログラムも多彩で、高2全員が参加するハワイ修学旅行をはじめ、希望制でイギリスでのホームステイ(中3・高1)、ニュージーランドでの短期留学(高1・2)やターム留学(高1)、世界初の国立公園「イエローストーン」を巡るサイエンスツアー(高1・2)なども実施しています。

 また、第2外国語としてドイツ語教育にも注力しています。同校はドイツ外務省が主催するドイツ語学習支援制度PASCHのパートナー認定校で、中3から自由選択科目として世界標準のドイツ語教育を受けられるほか、毎年、数名がドイツ政府の招待により短期留学をしています。学校独自でもドイツ研修旅行を実施しており、期間中は現地の中等学校(ギムナジウム)の学生たちと環境問題などをテーマにした学び合いの機会が得られます。

 環境教育にも定評があります。校内には屋上菜園やビオトープがあり、生徒は、世界の砂漠化や食糧危機に目を向けた植物の生育実験を行ったり、ホタルの観察を通して自然との共存・共生の方法を探ったりして、その研究成果を日本環境教育学会で発表しています。また、近隣の小学生を招いて野菜の収穫体験会やホタルの観察会を催したり、小学校に赴いて環境の授業を実施したりと、環境ファシリテート活動にも取り組んでいます。古池先生は「生徒たちには、『努力次第で自然を回復できる』という強い熱意を感じます。学ぶということは興味・関心を深めていくことに尽きません。そして、学んだ知識を社会や人々のために役立てられたときに生徒は自信と誇りを感じ、人間として大きく成長します。環境教育は生徒たちに社会人としての強い自覚を生み、哲学、知性、感性、道徳観、思考力をバランス良く育みます」と力強く語り、説明会を締めくくりました。

イメージ写真 校内には都内屈指の蔵書数を誇る図書館、大型プロジェクターを備えたTECLab(テクラボ)、複数のグラウンドなど施設が充実しています。図書館の各本には、自作の帯がつけられています。中1生が次年度入学してくる新入生のために、毎年作成しています

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