受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

桐朋中学校

2025年7月9日(水)

敬愛と勤労が自主的態度を育み
みずから考えて判断する力に

 桐朋中学校・高等学校は「自由」と「個性」を重んじる校風で知られる男子進学校です。今春は卒業生の森井翔太郎選手が、米大リーグのアスレチックス傘下のマイナー球団に入団するなど、多彩な進路が話題となりました。卒業生は政治・経済・法曹・医学・文学など、幅広い分野で活躍しています。

 同校の教育理念「自主的態度を養う」「他人を敬愛する」「勤労を愛好する」は、戦後日本の教育理念として制定された、当時の教育基本法を基にしています。この日の説明会に登壇した広報部長の河村理人先生は、「『○○くんすごいな』という敬愛の気持ちが『ぼくもやってみよう』へとつながり、勤労に対する『〇〇くん、ありがとう』という思いが『次はぼくがやるよ』へと変わっていきます。敬愛と勤労が、自主的精神を育むのです」と語りました。自主的精神とは、他者とのかかわりのなかでこそ獲得できるものであるという考えです。さらに河村先生は、「自主的精神は『みずから考えて判断できること』と言い換えられます。自分で課題を見つけ、自学自習の姿勢を身につけるためには、異なる意見を聞き、正解のない問題に挑戦することが大事です」と続けました。

行事とクラブ活動が成長を後押し
中学では基本的な学習習慣の確立を重視

 「行事が生徒を育てる」という方針の下、同校では遠足・桐朋祭(文化祭)・林間学校などの行事ごとに委員会が設置され、生徒が主体的に活動しています。教員はサポート役にまわり、生徒の自立を促します。「クラスの号令係も含め、すべての生徒が何らかの役割を担います。行事のたびに主役が入れ替わりますが、その分担を大切にしています」と河村先生。その集大成が、高2で実施される4泊5日の修学旅行です。委員の生徒を中心に半年以上かけて準備を進め、旅程も自分たちでつくり上げます。

 クラブ活動も同校の学びの重要な要素です。委員会や係活動が「できることを担う場」であるのに対し、クラブは「興味や関心を共有する仲間と出会う場」として位置づけられています。河村先生は「クラスにはさまざまな人がいて、クラブには一つのことを共に掘り下げていく仲間がいます。自分には興味や関心がないことに一生懸命取り組んでいる友だちがクラスにいるとき、『ぼくがこれだけの思いを込めてクラブ活動をしているのだから、彼も同じように思いを込めているのだろう』という想像力がはたらき、世界は広いことにも気づけます。多くのクラブがあるので、生徒の多様な関心に応えることができます」と語りました。中学生のクラブ加入率はほぼ100%ですが、生活習慣や学習習慣の定着を重視し、中1のクラブ登録は1学期中間考査後に行われます。

 最後に河村先生は、「大学入試だけがゴールではありません。常に“今ここぼくたち”を大切にするという考え方を持ちたい」と述べ、説明会を締めくくりました。なお、2026年度入試より中学校の1学年の定員が従来の252名から240名へと変更されます。そのため、募集人員は併設の小学校2校からの内部進学者約70名を除いた約170名となります。詳細は最新の募集要項をご確認ください。

イメージ写真 敷地内にある約4000㎡の雑木林「みや林」は、創立当初から大事に育てられてきました。さまざまな鳥が飛来し、訪れる人を和ませてくれます

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