受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京女学館中学校

2025年9月24日(水)

グローバル人材の育成を強化し、2026年度より国際学級を2クラスに拡充

 伊藤博文、澁澤栄一、岩崎彌之助ら各界の重鎮の提言を受けて1888年に創立された東京女学館は、「諸外国の人々と対等に交際できる国際性を備えた、知性豊かな女性の育成」をめざして設立された女子進学校です。この理念を継承しながら、現在では「高い品性を備え、人と社会に貢献する女性の育成」を教育目標に掲げています。

 この日の説明会の冒頭、校長の渡部さなえ先生は「本校が考えるリーダーシップとは、常に一人が先頭に立つのではなく、一人ひとりが自分の得意分野を生かし、同じ人がある時はリーダーに、またある時にはサポート役になる『インクルーシブリーダーシップ』です。そのため、本校では、たとえ意見がぶつかっても、それを乗り越え、時間をかけて互いを敬う心を育てています」と語りました。

 同校では「品性を高め、真剣に学べ」というスクールモットーの下、主体的に学び、考え、こつこつと積み重ねる姿勢を大切にしています。また、「日本の心を知る」「本物を体験する」「感性を豊かにする」ことを軸に、歌舞伎や相撲などの伝統文化や一流の芸術に触れる機会を数多く設けています。茶道や華道を学んだり、立地を生かして博物館や大使館を訪問したりもします。

 中学には一般学級のほか、今年で22年目を迎える国際学級を設置しています。2026年度の中1生からは、国際学級が1クラス増えて2クラスに、一般学級は1クラス減って、4クラスになる予定です。帰国生の滞在していた国が15か国に及ぶこともある国際学級では、自分のことばで思いを伝える「北米型ランゲージ・アーツ」の授業を実践しているのが特徴です。英語力を問われずに入学した一般生と、英語が堪能な帰国生、英語を母語としない帰国生が共に学び、異なる価値観を持つ相手に、自分のことばで思いを伝える力を育てています。

 高1では国際学級の全員が11日間のボストンリーダーシップ研修に参加し、現地の大学生と活発に議論したり、ニューヨークの国連本部を訪問したりします。組織内の多様なメンバーの個性を生かしながら、組織全体の力を最大限に引き出して共通の目標に向かうインクルーシブリーダーシップのあり方を学ぶためです。渡部先生は「国際学級では多様な背景を持つ生徒が共に学んでいるので、こうしたマインドセットが養われます。国内外で活躍する人材をこれまで以上に育てたいと、クラスの拡大を決めました」と語りました。

 なお、国際学級では来春の入学者から、段階的にケンブリッジ国際教育のカリキュラムを導入し、高校卒業までにケンブリッジ国際Aレベル資格の取得をめざします。これにより、ファウンデーションコース(大学進学前の準備課程)を経ずに、世界の多くの大学に直接入学できるようになります。国際学級は高校では国際コースとなりますが、今年度の高2生からは国際文系・国際理系の選択が可能となりました。

 学校概要については広報室長の坂田充先生が紹介しました。学習指導は、生徒の発達段階に応じてきめ細かく行われます。たとえば、中1から「フォーサイト手帳」というスケジュール帳を活用し、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のPDCAサイクルを身につけ、自発的な学習習慣を確立します。また、「チューター制度」では、毎日放課後にチューターとして常駐する卒業生が在校生の学習面や生活面の相談に応じてくれます。中2では「自分史作り」で自己理解を深めます。高1の箱根研修旅行では自分の生き方を考え、「3分間スピーチ」で発表します。さらに、津田塾大学、東京女子大学、北里大学などとの連携により、出張講義や特別講座を開講し、進路への意識を高めています。こうした取り組みの成果として、毎年確実に最難関の国公立大学や医学部への現役合格者を輩出しています。

 2026年度入試では、募集人員に変更があります。国際学級の拡充に伴い、国際学級の帰国生入試と国際学級の一般入試はそれぞれ2回ずつ実施され、各回15名、計60名の募集となります。一般学級は第1回・第2回が各35名、第3回が20名、第4回が10名の募集です。第3回・第4回の募集人員が減少したため、第一志望者には第1回・第2回での受験を推奨しています。このほか、英語資格取得者への優遇措置などについては、学校ホームページでご確認ください。

イメージ写真 各国大使館が点在する、渋谷区広尾の閑静な環境に立地。約6万冊の蔵書を誇る図書館、記念講堂、ビオトープなど、充実した施設が整っています

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