受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

和洋九段女子中学校

2025年10月31日(金)

伝統文化と最新の学びに触れながら、社会で活躍する自立した女性へと成長

 和洋九段女子中学校高等学校は、1897年創設の和洋裁縫女学院を前身とする伝統校です。創立当初は和裁と洋裁、すなわち「伝統」と「先進」の両方を学ぶ学校として、「手に職を持ち自立して生きていける人材の育成」を目指していました。その精神は「先を見て齊(ととの)える」という校訓に引き継がれており、現在も、生徒たちは日本文化の素養を身につけながら、グローバル社会で活躍するための実践的なスキルを磨いています。

 この日の説明会で、校長の水野修先生は、伝統校の本質は「改革」にあると強調しました。時代の流れや社会の変化に合わせて教育内容を進化させ、常に先を見据えた取り組みを行ってきたからこそ、長い歴史を刻むことができているというわけです。

 現在、同校ではPBL型学習(Problem Based Learning:問題解決型学習)に力を入れる「本科クラス」と、英語教育に力を入れる「グローバルクラス」に分かれて学んでいます。このうち「本科クラス」のPBL型授業は、答えが一つではない「トリガークエスチョン」から始まります。たとえば歴史の授業なら、単純な知識を問うのではなく、「江戸幕府が約260年続いたのはなぜか」といった、多様な視点から考察できる問いを投げ掛けます。生徒たちはまず自分で考え、その内容をまとめたスライドをタブレットで作成します。次にグループに分かれて各自が発表し、グループ内で最も優れた意見を選びます。そして、選んだ意見をグループ全員でさらに良いものに磨き上げていき、最後に、各グループの代表者が教室の前に出てプレゼンテーションを行います。クラス全体で自分たちの学びや友人の発表から得た気づきを言語化し、心理的安全性を確保しながら積極的に発言できる環境が整えられているのが特徴です。水野先生は「PBL型授業には、大切なルールがあります。それは、『他者の意見を否定しない』ことです。答えが一つではない問いに対して、まず相手の意見を受け入れるのです。周囲に受け入れてもらえるからこそ、生徒たちは自由に意見を述べ、失敗を恐れずにチャレンジできるようになります」と説明しました。

 このようなPBL型授業によって、生徒たちの発信力は格段に向上しています。進路選択においても、「自分の学びたいこと」を見極めたうえで、豊富な指定校推薦枠をあえて使わず、総合型選抜にチャレンジするケースが増えているとのことです。

 一方、英語教育においては、日常的に英語に親しむ環境があります。たとえば、グローバルクラスでは副担任としてネイティブ教員がつき、ホームルーム活動を英語で実施します。その成果は英検®の取得率に表れており、昨年度は中3全員が年度末までに準2級以上を取得しました。なかには2級や準1級を取得している生徒もいるそうです。もちろん、グローバルクラス以外の生徒も英語の学習には力を注いでおり、昨年度の中3の73%が3級以上を、高3の85%が準2級以上を取得しています。取得率が高い理由について水野先生は、いずれのクラスでも、2次試験の面接対策をネイティブ教員が個別に行っていることなどを挙げました。

 最後に2026年度入試についての説明がありました。「4科型」(算数・国語・理科・社会)、「2科型」(算数・国語)、得意科目2科を受験し高得点の1科で判定する「得意科目入試」、英語(リスニングを含む)と英語スピーキング基礎力テストによる「英語・英語スピーキング型」などさまざまな形式の入試が実施される予定です。水野先生は「2月1日午前には、PBL入試も行います。これは、グループに分かれて課題に取り組むというもので、日本でいちばん入試らしくない入試だと自負しています。受験生はとても楽しそうに取り組んでいますよ」と話します。そして、「どんなに知識があって、どんなに考えても、行動しなくては何も変わりません。本校は、生徒が主体的に考え、失敗しながら行動することで、今を、そして未来を変える人物に成長できる学校です」と述べ、説明会は終了しました。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

 このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。

イメージ写真 キャンパスの周囲は多くの学校が集中する文教地区です

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