特色ある3コースのプログラムで、自分の価値を「自覚」する力を育成

　1904年に創設された上野女学校を前身とする上野学園中学校・高等学校は、1949年に日本で初めて高校に音楽科を設置した学校としても知られます。長く女子校でしたが、2007年に男女共学校へと移行しました。建学の精神に「自覚」を掲げており、生徒には自己を深く見つめさせ、人間としての真の価値や可能性を引き出す教育を実践しています。

　この日のオンライン説明会では、最初に、教頭補佐の川村翼先生が、地下2階・地上15階建ての校舎について紹介しました。それによると、3階にはカフェテリアがあり、中学生は月曜日から金曜日まで、全員がここで一緒に給食を取るとのことです。また、4階の自習室は職員室に近いため質問がしやすく、放課後には大学生コーチが常駐する自習教室「ALCOアルコ（After School Learning Commons）」も開設されます。10階以上は短大のフロアですが、最上階にある短大の図書館は中高生も利用可能で、スカイツリーを眺めながら自習ができます。ICTルームや冷暖房完備の体育館も備えるなど、学習環境は非常に充実しています。

　同校では、中学校には「普通コース」「音楽コース」「国際コース」の3コース制を、高校には「普通科」「音楽科」「国際コース」を、それぞれ設置しています。「普通コース」と「音楽コース」は、中学の進級時や高校進学時にコース変更が可能ですが、「国際コース」は6年間クラス替えを行いません。川村先生は「『普通コース』と『音楽コース』の生徒は基本的には同じカリキュラムで学びます。ただし、『普通コース』がフィールドワークを行う時間には、『音楽コース』ではソルフェージュや専門実技のレッスンに取り組みます」と述べました。1クラスは20～30名程度の少人数制で、主要教科をじっくり学べる授業時間数を確保しています。英語と数学の授業は習熟度別に行われます。

　グローバル教育にも力を入れており、中1は、浅草を訪れた外国人観光客に英語でインタビューを行う「Trip to ASAKUSA」に挑戦します。中2ではTOKYO GLOBAL GATEWAYや福島県のブリティッシュヒルズでの語学研修を、中3では3日間英語で過ごす「イングリッシュキャンプ」をそれぞれ行います。さらに高校では、オーストラリアで10日間の海外語学研修やターム留学など希望制のプログラムもあります。

　「科学（Science）」「技術（Technology）」「工学（Engineering）」「芸術（Art）」「数学（Mathematics）」の5分野を統合的に学ぶSTEAM教育の一環として、芸術・情操教育にも力を入れています。フルート、クラリネット、サクソフォン、トランペット、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リコーダー、アイリッシュハープのなかから各自が一つの楽器を選び、中学校の3年間継続して専門家の指導を受けられるのも、同校ならではの特色です。

　また、探究学習にも注力しており、上野駅に近い立地を生かした地域散策などのフィールドワークを実施しています。探究スキルを身につけたうえで、中3の卒業研究に挑戦します。川村先生は「高校では興味や適性に応じて探究ゼミに参加し、桜美林大学・産業能率大学とも連携して学びを深めていきます。生徒たちはその成果を大学受験だけでなく、卒業後の生き方にもつなげています」と語りました。

　最後に、2024年度からスタートした「国際コース」についての説明がありました。同コースでは、高校卒業時に国内外の大学進学に有利となるケンブリッジ国際教育プログラム（ASレベル、Aレベル）の取得をめざします。授業には教科横断型の「CLIL（内容言語統合型学習）」を取り入れており、そのうちの7割が英語で行われ、ネイティブ教員が担当しています。

　2026年度の「普通コース」の入試は、「2科型」（国語・算数）・「4科型」（国語・算数・理科・社会）のほか、「4科理社得意型」（国語・算数・理科・社会の4科を受験するが、理科・社会は高得点の1科を採用する）、「得意科目型2科選択」（算数・国語・英語から2科を選択）、「特待チャレンジ4科型」（国語・算数・理科・社会）、「適性検査型」など、さまざまな方式が実施される予定です。音楽コース希望者には実技も課されます。一方、「国際コース」（一般）では、算数と英語（4技能）、面接（日本語）による入試が行われます。

「自ら学ぶ、あなたを育てる」をスローガンに掲げる同校は、JRほか「上野」駅から徒歩約8分の場所に15階建ての校舎を構えています。エントランスホールは広々とした吹き抜けになっています

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