さぴあインタビュー/全国版
世界に通用する教育を通して
「新しい価値」を生み出す
グローバルリーダーを育成する
海城中学高等学校 校長 柴田 澄雄 先生
「新しい人間力」「新しい学力」を
兼ね備えた「新しい紳士」を育成
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹
神田 初めに、海城学園の沿革についてご紹介いただけますか。
柴田 本校の前身は1891(明治24)年に古賀喜三郎が設立した海軍予備校です。古賀先生は20歳のとき、佐賀藩の修習生として長崎港に停泊していた英国の軍艦に乗船し、そのときに教えを受けた英国の海軍士官の指導方法や考え方に深く感銘を受けました。その思いがあって、後に海軍兵学校の教官を退官してから、私財を投じて海軍兵学校に入るための予備校を創設したのです。
その学校は戦後間もなく閉校命令を突きつけられましたが、何とかしのいで再スタートを切りました。そのときの先生方の思いは、国のために命を捧げることを善しとした戦前の教育の反省から、「生徒一人ひとりに寄り添って、個々の自己実現を支援することこそを最大の使命としよう」というものでした。この思いを核に練り上げられたのが、教育理念としての公正さ(フェアネス)を前提としたリベラリズムであり、「リベラルでフェアな精神を持った『新しい紳士』の育成」という教育目標です。
神田 古賀先生は、後に渡米もされていますね。そこで圧倒的なアメリカの国力を見せつけられ、人材を育てなければ日本は世界の中で取り残されてしまうという意識を持たれたということですね。それが海城学園のグローバル教育にもつながっているのだと思いました。
堀口 そして、教育目標の「新しい紳士」を育てるうえで重要なのが、「新しい人間力」と「新しい学力」ですね。
柴田 「新しい人間力」とは、コミュニケーション能力とコラボレーション能力を兼ね備えた力のことです。その力を育てるために、二つの体験学習プログラムを導入しています。一つは「プロジェクトアドベンチャー」(PA)といって、立木や丸太、ロープなどを使ったさまざまな活動のなかで、チームで課題に取り組んでいくものです。もう一つが「ドラマエデュケーション」(DE)で、演劇の手法を用いて体験的に学ぶプログラムです。一方、「新しい学力」とは課題設定・解決能力のことであり、これを育成するために、中学での探究型の「社会科総合学習」や、選択制の特別講座「KSプロジェクト」を行っています。
こうしたプログラムを通して、生徒は興味・関心のあることに取り組みながら、少しずつ将来の方向性を固めていきます。生徒たちにいつも伝えているのは、「目標を持って主体的に考えて勉強しなさい」ということです。たとえ小さくても、主体的に企画して行うことで、達成感が得られます。もう一つは「仲間とつながろう」ということです。中学に入ったら、クラスやクラブなどの仲間と協働することを大事にしてほしいと思います。中高6年間は、そういう経験をしながら人間性を育んでいく時期だと考えています。
理科教員のアイデアを反映して設計された新理科館
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