受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

認め合い、高め合い、成長する
すべての教育活動に貫かれる
「一人ひとりを大切に」の理念

浦和明の星女子中学・高等学校 中学校長 小磯 敦 先生

「ほんとうの私」をめざす
校訓「正・浄・和」の理念

先生写真
中学校長 小磯 敦 先生

福泉 校訓は「正・浄・和」です。これについてご説明いただけますか。

小磯 「正・浄・和」はもともと新約聖書の一節にあることばです。わかりやすく言い換えると、「正」は「ほんとうの私として」、「浄」は「ありのままの私として」、「和」は「互いに助け合って」ということになります。初代校長のエブリン・ブロー先生は、この校訓を実践するための指針を“Be your best and truest self”と表現しました。「最善のあなたでありなさい。そしてもっとも真実なあなたでありなさい」という意味です。本校としては、「一人ひとりを大切にする」ことに徹底して取り組んでいます。それが教育の基本です。

神田 貴校のホームページを拝見すると、先生は「カトリック」ということばには、「すべての人にかかわる」という意味があると書かれていますね。普遍的で、キリスト教の理念にふさわしいことばだと思います。

小磯 生徒がキリスト教を信仰しているかどうかは関係ありません。「正・浄・和」は、人が生きていくうえで大切な価値です。弱い人を救うのが宗教です。強い者だけが勝ち残るような思想は、宗教にはないはずです。キリスト教を知っていても知らなくても、「すべての人にかかわる、生きていくうえで大事なことを、明の星で一緒に考えていきましょう」というスタンスなのです。

キャプションあり
上/図書館は2階建ての別棟になっており、12万冊以上の蔵書があります 下/物理系・化学系・生物系の三つの理科実験室があり、多くの探究的な実験・観察が行われています

神田 明の星祭(文化祭)では、社会奉仕委員会の生徒たちがチャリティーショップを開き、収益を寄付しているそうですね。

小磯 クリスマスの時期にも、社会奉仕委員会が中心となって、生徒たちから集めたプレゼントを施設の方々に送っています。こうした活動は、生徒たちの間から自然に生まれてくるものです。誰もが同じように弱さを抱えています。その人はたまたま苦しさが表に出ているだけで、誰しも同じ苦しみを内側に抱えているはずです。それを共有し、一緒に歩んでいこうという考え方で、難しいことではありません。ありのままのお互いを認め合い、助け合っていく、その行き着く先に、正しい生き方があると思います。

 世の中にはさまざまな仕事がありますが、どんな仕事も人を幸せにする可能性を持っています。自分がやりたいことを追求して、それで良い仕事ができれば、人も幸せになれるのです。しかし、人はそのことを忘れてしまいがちです。お金もうけのほうが大事だと考えてはいけません。

 それから、人間は誰かとのつながりのなかで生きています。生まれたときには家族がいて、学校や会社には周囲の人々がいて、やがては社会の一員という意識が芽生えます。人間は、生まれてから亡くなるまで、常に誰かと共にあるのです。その「誰か」を幸せにするのは当たり前のこと。それさえ忘れなければ、きっと大丈夫です。

25年9月号 さぴあインタビュー/全国版:
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