受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

10年一貫教育を通して
主体性と自由な発想を持った
民主的な社会の担い手を育てる

法政大学第二中・高等学校 校長 笠原 浩之 先生

中1から段階的に学ぶ探究学習
広島研修では現地調査にも挑戦

聞き手1
サピックスたまプラーザ校
校舎責任者
中嶋 守行

神田 総合学習について伺います。中1では図書館を活用し、資料の調べ方やまとめ方を身につけ、問題発見力や根拠に基づいて思考する力などを養うとのことですね。SNSが発達すればするほど、自分で判断する力が必要になりますし、根拠に基づいて思考する力を育てることは重要だと思います。

笠原 中1ではインターネット情報の扱い方も学びます。特に「フィルターバブル」など、多様な視点を失う危険性について考えます。民主主義を体現するうえではとても危険ですから、情報の扱い方をきちんと理解してもらいたいと考えています。また、「デジタル・シチズンシップ教育」として、ネット上での発言やマナーについても指導しています。

中嶋 中3になると広島研修がありますが、これはどのような内容ですか。

笠原 中3の総合学習では班単位で年間テーマを設定し、調べ学習を行います。広島研修もその一環です。広島平和記念資料館を見学して被爆体験講話を聞き、班ごとに関連テーマで現地調査もします。たとえば、「平和」を取り上げた班は、「なぜアメリカ人は原爆の使用を正当化するのか」というテーマを立て、原爆資料館を訪れるアメリカ人に直接インタビューしていました。「文化」関連では、「なぜ広島ではお好み焼きがはやっているか」というテーマを設定した班もありました。調査した結果、呉市にあった造船所の跡地に鉄板がたくさん余っていたことから、お好み焼きがはやったのではないか、と仮説を立ててまとめていました。われわれも思いつかないようなことをテーマに掲げ、自由に発想して深く探究する姿勢に毎年感心します。

キャプションあり
上/図書館の蔵書数は約7万冊。情報メディアセンターとしての役割も担っています 下/図書館に設置された学習室。調べ学習やグループワークで活用されます

神田 海軍直轄の工場のあった呉とお好み焼きをつなげるとは、おもしろい発想ですね。探究学習ではブレーンストーミングの手法も学ぶそうですね。自由に意見を出し合える環境から気づきが生まれ、新たな価値観が生まれるのがブレーンストーミングですが、中学で学ぶのは珍しいのではないでしょうか。

笠原 安心して自分の意見が言えるような場をつくることは大事です。誰かが何か言うと、「そうじゃないよ」とすぐ否定するのではなく、個々の意見を尊重し合う雰囲気づくりを教員が意識して整えています。

神田 自分が思っていること、感じたことを自由に述べられるのが民主主義の根本です。

笠原 そうですね。もちろん、その次の段階では、議論を戦わせることによって方向性を見いだす必要があります。探究の成果はプレゼンテーション大会で発表し、優秀な発表は全校生徒の前で披露してもらいます。中学3年間の学びの集大成です。

25年12月号 さぴあインタビュー/全国版:
目次|3|

ページトップ このページTopへ